貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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310話

新星の集い、チーム・プレアデス。ランページが選んだのは中等部ばかり、中にはデビュー間近の者もいたがそれらは他のトレーナーなどがスカウトをした。一部からは即戦力になりえる逸材を見逃すのを首を傾げられたが、彼女はじっくりと時間をかけて育てたいという思いからこれらのメンバーを取った。

 

「エアエアはルートを見極めつつ追い抜いてみろ、スズカとサニーはそのまま先頭を守れ。ステゴは……まあ好きな時に全員ぶち抜いてみな」

 

チームとして始動したプレアデス、早速のチームの面倒を見始めたランページ。始まったばかりなのもあって全員意欲があって練習にも身が入っていて―――いるとは言い切れない。

 

「ステイゴールド、貴様真面目に走れ!!」

「うるせぇなぁ……ランページが言ってんだろ好きな時にぶち抜けって、是非そうさせて貰うぜ」

「お前はランページさんを呼び捨てにするな!!」

 

ステゴは自分のチームに入ったことで一応メニューには取り組んでくれてはいる、態度が悪いのは相変わらずではあるがそれでも確りと取り組んでくれているだけでもいいと思っていたのだが……そう思わないのが居た、真面目なエアグルーヴだ。極めて真面目に自分に憧れている彼女とステゴの相性は最悪だ、少々不安ではあるその辺りは自分が上手くカバーするしかないだろう。

 

「とっても賑やかデース!!やっぱりチームでの練習はとっても楽しいデース!!」

「賑やかで済ませて良いものじゃないと思うんだけどなぁ……」

 

そんな様子を見つめるタイキとドーベル、賑やかなのは確かだ。常に騒がしかったカノープス所属だったものとしてはこんな雰囲気の方が落ち着くまである。

 

「そういえばタイキ、この前一緒のパールは入部テストに来なかったな」

「Ohパールですか?オ誘いしたんですが―――」

 

『簡単に決めてしまっては自分の可能性を縮める事になるわ、好きな事だけに集中したら見聞が狭まる……そう、私はもっとビッグになってからこのチームに入部するわ!!』

 

「って言ってマシタ~」

「成程、立派な考えてる意見だ」

 

常に自分を磨き高める事に余念がない彼女らしい意見だと思う、直ぐに自分の下で更なる輝きを磨くのも一つの手。だがそれではいけないと自分を戒めて自分の脚で様々な事を見る事を決断した。彼女がプレアデスの門を叩く時を楽しみにさせてもらう事にしよう。

 

「先頭は、譲らない!!」

「ぐぬぬっ私だってぇぇっ!!」

 

先頭は矢張りスズカ、だがその真後ろに付きながらも必死に追い抜こうと走るサニーことサニーブライアン。スタートダッシュが悪く逃げウマ娘としては中団辺りからのスタートになったがスタミナがある為か、ペースを上手くスズカに合わせる事で直ぐにその背後についた。あの折り合いは中々に上手い。

 

 

1番人気はいらない。1着が欲しい。サニーブライアン。1番人気に推されたことはただの一度だけ、8戦2勝という戦績で皐月賞に挑んだ彼は11番人気だった、加えて大外18番だったがゆえに完全なノーマーク。誰もがメジロライアンの子供であるブライトに注目していた、だがこの皐月賞を制した。世間からはフロック(まぐれ)だと言われ、日本ダービーでもなんと皐月賞馬にも拘らず6番人気。そんなダービーで騎手の大西が言ったのが一着が欲しいだった。そしてあのサイレンススズカを抑え込みつつ、そのままダービーを取り二冠馬の栄誉を取った。その後は故障で菊花賞に挑戦することなく引退してしまったがもうフロックとは呼ばせない、そんな走りをした名馬。

 

 

「幻惑逃げを仕込むのも面白いかもな……」

 

そんなサニーの走りの良い所はペース配分が上手い所にある、折り合いの付け方が上手いのも相まって逃げウマ娘とは思えないほどに最後まで脚を残し切れる。自分のもう一つの十八番だった走りを仕込むのもいいかもしれないと思わず思ってしまった。

 

「それだけの大口を叩くのならばそれだけの走りをするのだな、たわけが!!」

「ほう……吐いた唾、飲むんじゃねぇぞゴラァ!!」

 

そんな二人の後方からエアグルーヴが追い上げて来るが、それよりも後方で自分のペースで走り続けていたステゴがその言葉で一気に火が付いたというよりもキレたのか凄まじい末脚を発揮して駆け上がってきた。仮にも1年先輩であるエアグルーヴが前に出始めているのにも拘らず、その差をどんどんと詰め始めた。

 

「出来るのならば最初からやれたわけ!!」

「知るか、文句ならランページに言いやがれ!!」

「私はお前の態度を言っているんだ!!」

「これが俺だ!!」

 

最早口喧嘩をしながら走る二人、怒りがパワーを生み出しているのか二人はスズカとサニーを抜いて先頭に立ちながらどんどん突き進んでいく。

 

「は、はえぇっ……」

「―――負けない、先頭の景色は譲りたくない!!」

「あっちょっとスズカ!?わ、私もっ!!」

 

負けじと加速するスズカと遅まきながら加速するサニー、逃げの二人が追いかける結果になった。

 

「凄い事になってきまシタ~!!」

「エ、エアグルーヴ先輩、ステイと喧嘩しながら走ってる……」

「水と油だなこりゃ」

 

そのまま縺れ合うようにしながらもエアグルーヴとステゴが先頭のままゴール。スズカとサニーは流石に追いつけずじまいだったが練習なので構わない。

 

「ハッどうだ俺のハナ勝ちだな」

「そういう事を言ってるんじゃない!!ランページさんを呼び捨てにした上に真面目に練習をしないとはなんという事だと言っているんだ!!プレアデスの名を汚すつもりかお前は!?」

「実績も何もねぇ看板だけのチームの名を汚すもねぇよ、そもそもランページ自身が自由なタイミングでぶち抜けっつったんだ。つまり俺は悪くねぇ」

「屁理屈を言うな!!」

「あ~はいはい二人ともそれまで」

 

流石に仲介はしておく。規律を重んじる真面目と奔放且つ荒ぶるマイペースは相性が悪い―――が、その一方で互いが互いを刺激し合ういい関係にもなる。事実、ステゴはエアグルーヴに挑発されて自身の能力を最大限に活かした走りをし、エアグルーヴはそれに負けじと全力で対抗した。

 

「いい走りだったぞステゴ、お前さんはそれでいい。自分らしく走るのが一番だ」

「ハッ分かってるねぇ流石暴君様だ」

「貴様っ!!」

「はいはいエアエアもその辺りにな、カノープスの時からの蓄積が上手い事噛み合ってるな。これからは少しずつ応用も織り交ぜていくからな」

「はっはい!!」

「スズカも悪くなかったぞ、サニーもな。二人には俺の後継者にでもなって貰うかな?」

「「こ、後継者……!!」」

 

様々な言葉でそれぞれのモチベーションを上げながらもこれからの事を話していく。自分たちはまだ生まれたばかりの幼い星団(プレアデス)、これから経験を積んでもっともっと強く輝けるようにならなければならない。

 

「という訳で―――今年の夏は合宿します」

「WOW!!合宿、つまりスペシャルトレーニング!!!」

「い、いきなりですか!?馴らすとかじゃなくて?」

「その為の合宿だ、チームの事をよく知る為の合宿をするんだ。もちろん練習は確りとやるからな」

 

チーム・プレアデスはまだまだこれから、その成果が出るのは数年後……だがその時には世間は驚くだろう。その星々の輝きに。

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