貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

314 / 635
314話

宝塚記念が終わればすぐに季節は夏となる。ウマ娘にとって暑さは大敵、故に夏のG1はないのでチームの殆どは夏を合宿に費やしてウマ娘の能力向上に努めるのが一般的。それはプレアデスも同じで設立1年目から合宿を行う事になっている、曰くそれは異例の事であるらしいがランページはたとえ許可が出なかったとしても自費で確保していく気だったので合宿をすることには変わりはない。

 

「合宿とっても楽しみデース!!」

「お前さんが楽しみなのはバーベキューなんじゃないのかタイキ~」

「そうでもありまーす!!」

 

ランページが運転する車で合宿場へと向かう一同、と言ってもインプレッサではなくメジロ家から借りたハイエース。アサマから運転手も付けようか?とも言われたのだが自分で運転するのも合宿の楽しみだと断った。そんな車に乗り込んでプレアデスが車に揺られる事数時間、到着したのは砂浜を一望出来るようになっているコテージ。因みにここもメジロ家所有、ランページのコネがフル稼働している。

 

「素敵なコテージデース!!」

「ここに泊まるのか……ちょっとした旅行のようだ」

「景色もいいわ……海沿いに走ったらすごく気持ちよさそう」

「風も気持ちいい~」

「以前此処で泊まったけど夜には星空がよく見えるのよね」

「ふわぁぁぁっ……やっと着いたか」

 

着いたことだし早速車から荷物を下ろしていく、前以て食材やらは送っておいたのを確認しつつもそれぞれに部屋を確保してもらった。一人につき一人の部屋があるので問題は無いだろうと思いながらも自分の荷物を大部屋の机の上などに置いておく。

 

「さてとお前ら、水着に着替えてビーチに集合だ」

「Ohスイムですね!!」

「タイキ、遊びに来たんじゃないぞ」

「そうよ、ランページさんも言ってやって―――」

 

とエアグルーヴとドーベルのコンビが真っ当なツッコミをしたのだが―――同意を求めてランページの方を向くとそこでは浮き輪にクーラーボックスを出しているトレーナーの姿があって思わず嘘でしょ……と言葉を漏らすのであった。

 

「何やってるんだ、折角海に来たんだ泳がないなんて損でしかないだろう」

「だ、だって私たちは合宿で……」

「この合宿は親睦を深めるという意味合いもあるんだ、それに合宿中ずっと張り詰めるつもりか?それじゃあ意味がない、メリハリは確りとつける為にも遊ぶときは全力で遊ぶ、休む時は全力で休んで鍛える時も全力でやるのが一番効率的」

「これも折り合いですね!!」

「そゆこと」

 

言っていることは分からなくもない、寧ろ正論だ。だが初の合宿だと気合を入れていたからか、何処か肩透かしを食らったような気分になってしまった。

 

「じ、実は新しい水着を買ってきたんです。浮かれ過ぎかと思ったけど、良かった……」

「実は私も……」

「Me too!!」

「……」

「なんだ、ステゴは興味ねぇか?」

 

そっぽを向いていたステゴ、彼女はこちら側なのか……とエアグルーヴは内心で意外と思い、ドーベルは乗り気だったし嫌なのかな……と不安に思っていたのだが、ステゴは服に手をかけると脱ぎだした、その下には―――見事な金と黒のビキニがあった。

 

「早く行くぜ!!海が、俺達を呼んでる!!」

「一番楽しみにしていたのか貴様は!!?」

「しかも結構センスのいいビキニ……」

「遊びは、全力でやってこそ楽しいんだぜ?」

 

どや顔でセクシーポーズを取るステゴは嫌なほどに絵になっていたのでエアグルーヴとドーベルは無性に腹が立った。一瞬感心しかけた自分が情けなくなってきた。着替えに行ったスズカたちに置いて行かれてしまった二人をランページが肩に手を置く。

 

「さっきも言ったが折り合いをつけるっていうのは大切な資質だ、休む時に休むのも才能、食える時に喰うのも才能だ。ずっと練習しっぱなしじゃ俺達は前に進めないって事さ、さっ二人も着替えてきな、学園指定の水着以外にもあるんだろ?」

「え、ええまあ……空いている時間があれば泳ごうとは思っていましたので……」

「私も一応おニューのを……」

「じゃあそれに着替えて砂浜に集合だ」

 

そう言いながらランページは荷物の整理を始めた、それを見ながらも二人は顔を見合わせて取り合えず着替えに行ったのであった。何だかんだで二人もしっかりと新しい水着を用意していた。砂浜に到着すると自分たちだけではなく全員が確りとした水着であったことに肩の力を抜いた。もうこうなったらしっかり遊んで英気を養う事にしよう。

 

「揃ってるな?」

「WOW!!」

「凄い……」

「いい身体してるぅ!!」

「ハンッ何だかんだで女らしい身体してんだな」

 

ランページの登場に真っ先に声を上がった。黒いパレオが腰に巻かれるようにしながらもランページの身体を艶めかしく演出する。普段はスーツか勝負服上に強く意識する事は無いだろうが、肌を露出すると露わになるその暴力的なまでのスタイルの良さが爆発する。

 

「さてと、改めまして皆さんチーム・プレアデスの夏合宿へようこそ。合宿と言っても毎日ずっとガチガチにメニューを組み続ける方針じゃない、お前さんらはまだまだ身体が出来上がってない、そんな段階からやっても悪影響の方が出やすいから上手い事調整していく。本格的な合宿は明日からが初日となる……明日にはカツラギエースさんが来る、きつい合宿がお目見えする―――その前に今日は盛大に海を楽しめ!」

 

地獄の合宿前、楽園の一時とでもいうべきか。合宿を楽しみにしていた気持ちと海の楽しさで精神面を充実させ、明日からの合宿に繋げていくつもりでいる。まあランページ自身も海を楽しみたかったというのはあるだろうが……。

 

「お~いビーチフラッグやるぞ、俺に勝てたらこの後の昼飯豪勢にしてやるぞ」

「もしかして、バーベキューですか!?やりますやりマース!!!」

 

ビーチフラッグで砂浜を走り込んだり、徹底的に泳いだり、スイカ割りをしたりと気づけばエアグルーヴとドーベルも他の皆と同じように海を存分に楽しんでいた。そして―――

 

「私の、スイカを取るなたわけぇぇぇ……」

「よく寝てやがる」

 

夕食を食べて湯船につかるとあっという間に皆は眠ってしまった。何だかんだで移動の疲れもあるし存分に遊んでエネルギーも使い果たしてしまったのだろう。それぞれの部屋を覗いて全員が寝ていることを確認したランページはノートパソコンを叩きながらも夕食の残りを肴にしてビールをやっていた。

 

「砂浜に慣れてないせいで全員走りがいまいちだったな、爪先のメニューは予定通り。スタミナは全員思った以上に付いてたっと……バランス感覚と体幹も中々っと……」

 

遊びと言いながらもランページは全員のデータを取っていた。砂浜の走り方にスピード、海での泳ぎによるスタミナ、スイカ割りでの三半規管の強さなどなど……それぞれの個人データを纏めておく。これが明日直ぐに役に立ってくる。

 

「さてと、俺も早めに寝るか……」

 

残ったビールを流し込むとランページは夏の夜空を見上げた。楽しい楽しい夏合宿の始まりだ。




まさかのウマ娘3期でドゥラメンテが来るとは…ウマ娘、気合入ってるなあ!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。