貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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317話

「あれが、お姉様と海外で戦ったウマ娘……!!」

 

メジロのウマ娘として、ランページの全レースには目を通している。メイクデビューからラストランまで、もう何回見たのかを数えるのもばからしくなるぐらいには見た。入学してからも暇があれば見ていた、同室のタイキも一緒に見ていたが途中から呆れて見なくなるぐらいには見た。そんな自分は既に分かっていた筈なのに驚愕させられる―――あれが海外のトップウマ娘。

 

「一々女々しい奴だな、三度目の正直は直接じゃなくて俺の記録に挑戦とは……せめて凱旋門で晴らせよ面倒くせぇ」

「い、いいじゃないこのぐらい!!」

「どうせそれで出しても、"勝ったって言ったってランページの最悪の凱旋門と比べてもねぇ……″って突っ込まれるだけだぞ」

「か、勝ちは一緒よ!!」

 

エルグッツ、ランページとは過去2度激突した凱旋門ウマ娘。あの凱旋門でもランページと競り合い続けた覇者。

 

「シルバーはエリザベス女王杯行くのか、キツいぞ」

「大丈夫よ、私2600までならいけるから」

「いやそういう意味じゃねぇんだわ。安田記念っつうレースを三連覇したバケモンが出んのよ」

「―――三連覇ぁ!!?」

 

シルバーストーン、アイリッシュチャンピオンステークスで大逃げ対決を演じた海外の大逃げウマ娘。

 

「俺はチャンピオンズカップだ、レディとダイナが出るんだろ、そいつらに勝つだけよ」

「お前で勝てればいいけどな。あいつら俺と真正面と殴り合い続けた奴らだぞ」

「俺だって同じだぁ!!」

 

シュタールアルメコア。芝ダート両刀、そして―――ランページを最も敗北へと近づけたウマ娘。

 

「これが私なりの総評よ」

『……』

「な、何で引いてるの?」

「当たり前デース……」

 

ドーベルは雄弁に海外からの客人に対する評価などを語ってみせた、前述のそれはあくまで入りの部分だけでその後に熱のこもったランページへの思いも綴られていた。それだけでも凄いのだが、3人の分析も中々に凄かった。最早感心を通り過ごして呆れを感じる、そしてタイキの場合は同室なので自分が寝ようと思ってもスマホにいれたランページのレース映像を見ているので余計に呆れも強かった。

 

「ドーベルはランページさんへの思いが強すぎまーす、この前だって凱旋門とBCクラシックのレースを見過ぎて夜更かししてました。私が起こしてなかったら遅刻だったですよ?」

「タ、タイキそれは言わないって……!!」

「ランページさんに言われました。親しき中にも礼儀あり、時には痛い言葉も必要だって」

「その通りだな」

 

と頷くエアグルーヴ、ドーベルは正論なので反論出来ずにいたが同じようにランページの事になれば幾らでも語れる同士ともいえるエアグルーヴにそう言われるのは何とも遺憾、というか明らかな嫉妬が見て取れた。ランページの全レース映像集、しかもメジロ家の力で集めたものだから様々な角度などの物なのでエアグルーヴは是非ともそれが欲しいというのが伝わってくる。

 

「あれがシルバーストーンさん……」

「やっぱ気になるよね……ランページさんと同じ大逃げのウマ娘だし」

「ええっ私達が目指すべき存在」

 

スズカとサニーが気に掛けるのは矢張りシルバー、海外でも屈指の大逃げを行う強豪。単純なトップスピードならばランページにも引けを取らないし去年のジャパンカップではテイオー、ターボと熾烈なトップ争いを繰り広げた。テイオー、ターボに次ぐ3位ではあったがその差は1.7㎝差という極めて勝利に等しい差。逃げウマ娘にとって目指すべき存在として数えられているほど。

 

「あれがシュタールアルメコア……ランページさんが、敗北を最も強く意識した相手」

 

エアグルーヴは思わず、目つきが鋭くなった。憧れのあの人を最も追い込んだ相手が目の前にいる。だが相手は尊敬すべき人、その鬩ぎ合い故か顔が歪んでいる。それを隣で見るステゴはニヤニヤしているが同時に強い闘争心もむき出しにしていた。

 

「(やってみてぇ……勝てねぇってのは分かるけど、やりてぇ……走って、みてぇ……!!!)」

 

「ったく俺ちゃんの事を大好きちゃんかよテメェら、ガキじゃあるまいしせっつくんじゃねぇよ。悪い皆、この後は少し休憩入れさせてくれ」

「ぁぁっ?」

 

不満げな声を思わずステゴが上げる、当然だろう。これから地獄と称したメニューが始まると思っていたのに……期待からの落胆だ、この位は許せよと言わんばかりの分かっていたと分かる不満。だがそれは次の言葉で吹き飛んでしまった。

 

「俺、エル、シルバー、アルでレースするからそれと休憩時間込みでお前を休ませる」

「―――んだとぉ!!?」

 

正式のレースでもこんなカードは滅多に見られない。凱旋門ウマ娘同士が対決するレースなんて……そこにいる全員が意地でも見たいと思った。

 

「言っとくが調整目的ではあるが、俺はガチで勝ちに行くからな。トレーナー業にかまけて鈍ってますなんて許さねぇからな!!」

「テメェの何倍重い蹄鉄を普段使いにしてると思ってんだ、簡単に鈍ってたまるかよ」

「えっマジであの重い蹄鉄を普段使ってんの?バカなの?」

「私も使ってるわよ、結構脚に来ていいトレーニングになるのよ」

「俺も使ってんぞ」

「……何、私が、私がおかしいの……!?」

「おかしいのはそこの暴君だから落ち着け」

「エースさんひでぇっす」

 

そんなやり取りを経て、急遽ランページ参戦の模擬レースを行う事になった。エースも誘ったのだが、あたしは遠慮すると言われてしまった。そして早速勝負服をその身に纏った。

 

「あれが勝負服姿のランページさん……!!」

「なんでそんな興奮してんだよ、普段から見てんだろ」

「レース前を生で見るのは初めてです!!」

 

スーツが仕事着だが、自分が走る日は勝負服、着替えるのが面倒だったりで一日中を勝負服で過ごすこともあるので新鮮味なんて無いだろうと思うのだが……プレアデスのメンバーは酷く興奮していた。本気のランページが見られる、その期待があったから。その願いは―――現実となった。

 

「げ、現役のころよりお前、速くなってねぇか!?」

「それはない。精神テンション的には全盛期以下だ、まあ肉体スペック的には上がってるかもしれないからトントンだな」

「ば、化け物め……」

「まだ、上を目指せるって素晴らしいわね!!」

 

結果、ランページはエルグッツ達を5バ身差を付けてブッちぎった。まだまだ衰え知らずな暴君、これほどまでの強者の下で自分たちは走るという事をプレアデスは再認識せざるを得なかった。

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