貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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328話

感謝祭も終了し、またトレセン学園はいつもの日常へと戻ろうとする―――訳ではない。感謝祭と同日に行われた天皇賞(秋)のトライアルレースでもあるオールカマー、そこではまた大きな戦いがあった。ツインターボ、ライスシャワー、イクノディクタスといったカノープスが誇るメンバーの戦いであった。これは感謝祭の大型モニターでも見ることが出来たが、白熱したレースが行われ続けていた。

 

『先頭はいまだにツインターボ、しかし後方からライスシャワーとイクノディクタスが迫ってくる!!このまま逃げ切れるのかツインターボ!!残りは500を切った、激しい鍔迫り合いが行われております!!』

 

スタートダッシュを決めて先頭を張り続けるターボをぴったりとマークするライス、ターボお得意の超ハイペースがいきなり火を噴いたがそれをものともせずに追従するライス。そんな二人を一歩引いたところで俯瞰するかのように静かに追いかけるイクノ。それがいつまでも行われ続けると思われた最後の直線でライスがターボを抜きにかかり、イクノも末脚を爆発させて抜きに掛かった。

 

『ツインターボが第四コーナーを、超えていくが此処でライスシャワーも一気に来る!!の先頭も此処で―――いや粘る粘る!!ツインターボが抜かせない、つかせはしないと最後のターボが火を噴いた!!ライスシャワーとイクノディクタスも必死に抜きに掛かる、加速している筈だ、後方との差は開いているのにターボエンジンは限界を越えて極限噴射中!!エンジンが叫んでいる!!全身全霊を燃やし尽くして、今ッ11番のツインターボがゴールイン!!決めたぞ逃亡者ツインターボ!!』

 

ライスとイクノの走りは最高の物だったと南坂はインタビューで語っていた。だがそれすらをねじ伏せる程の走りをターボがしたのだった、何故ならばこの時のタイムは2:10:3。この数字を見てその言葉は真実ではないという者なんていない事だろう、ランページが引退した事で暫定的と言ってもいいカノープス最速の称号をターボが改めてこのレースで得たと言ってもいい程のレースだった。

 

「ふふんっ!!」

「分かった分かった、何時までここでどや顔決め込むつもりだお前」

 

オールカマーである種の伝説的な勝利をもぎ取ったターボ。この勢いのまま天皇賞へと向かって勝利をもぎ取るつもりとの事。

 

「ターボは勝つ、マックイーンにもテイオーにも勝つんだから!!」

「そりゃ結構な自信だがそう簡単にいけばいいけどな……」

 

テイオーもさることながらマックイーンの成長幅が一番やばいというしかない。テイオーも強敵である事も事実ではあるのだが……それ以上にマックイーンが厄介だと言わざるを得ない。

 

「つってもお前はどうせ逃げる事しかしねぇんだろ?」

「だってターボだもん!!」

「ですよね~まあお前はそれを極めるのが一番だろうからな」

「ふふんっ流石師匠分かってるね!!んじゃ磨いてくる~!!!」

 

と宣言しながらもプレアデスの部室から出ていく、本当に何をしに来たんだと思うが自分に顔を見せに来たついでに勝つことを言いに来たのだろう。ターボなのだから本当にその程度にしか考えていないだろう、まあターボはあれでいい気もする……。

 

「ランページさん、なんかターボさんが飛び出していったみたいなんですけど何かありました?」

「ターボの何時ものだから気にするな」

「は、はぁ……?」

 

頭にハテナを浮かべて首をかしげるスズカ、カノープスのあれこれを知らないプレアデスの面々にとってはいつものでは通じなかったか。通じるとしたらエアグルーヴあたりだけだろう。

 

「スズカはこの前のオールカマーは見たか?」

「あっはい、大型モニターで観戦しました。凄かったですねターボさん、ラストのあそこからまだ伸びるなんて」

「ドッカンターボの二段階目の持続時間が伸びて来てるんだ、溜め方とその使い方が上手くなってきてる。ターボはまだまだ伸びるだろうなぁ……」

 

溜めてしまったら一気に放出する点は全く同じだが、溜め方が分かってきたのか最後の直線で使えるように調節が出来てきているしターボの持続も出来るようになっている。純粋なドッカンターボの性能向上、同じチームであったイクノとライスですら振り切ってしまう程のスピード……仮に自分が現役だったとしたらどうなっていただろうか……

 

「あれも峠で見つけたって聞きましたけど本当なんですか?」

「ああマジだ。あれ自体は本当にあったドッカンターボって奴から着想を得てる、習得に当たっては本当のドッカンターボを使う走り屋の協力も得たしな」

「やっぱり……でも私には合わないかも」

「ターボとスズカとじゃ逃げって意味だと同じだが全く違うからな」

 

ターボの場合は最初からアクセルを全開にして突っ走るが、スズカは走るまでの数歩で完全にギアチェンジが終了する。これは随分と特性が違う、何方が上かと言われたらしいて言うならばスズカの方が上であると言えるかもしれないが、それこそ瞬間的な加速度ではターボに軍配が上がる。

 

「ターボのやり方を真似る方法もない訳じゃないけどな、俺も凱旋門じゃそれやった訳だし」

「そうなんですか?」

「ダウンヒルの加速を加速に使ってそのままキープしたのよ」

「そうなんだ……やっぱり、峠って凄い」

「う~ん……そう、なのかな……」

 

これはまた峠に連れて行けと言われるな……と新しいタイヤの相談を行きつけになりつつあるショップの店長にしなければ……最近ではGT-Rを買ってご機嫌に走り込みをしているサンデーもそこを利用しているせいか、あのサンデーサイレンスの行きつけ!?と忙しくなってるのに悪いとは思うが。まあ最近また足回りのバランスを変えたのでその確認はしたいとは思っているが……と考えていたらスズカがいい顔をしてきた。これは今週末は峠で決定。

 

「ああそうだ、プレアデスに新しいメンバーが増える事になった」

「えっ増えるんですか?」

「ああ、たづなさんから頼まれちまってな」

 

普通はたづなからウマ娘の担当をしてほしいという事はないのだが……今回は上水流トレーナーのように事故に合ってしまい長期の入院を余儀なくされてしまった。リハビリなどを踏まえると年単位で復職出来ないのでその間に担当のデビューも始まってしまう、だから他のトレーナーに自分の担当を託すという事になったらしい。正確にはまだトレーナー契約は正式なものではなかったらしいが、結ぼうとウマ娘側は決めていたしトレーナー側も意欲を示していた。が、こんなことになってしまい、担当の将来を考えて泣く泣く降りる事になったらしい。

 

「そうなんですか……お見舞いとか、行った方がいいんでしょうか」

「挨拶って意味だと行った方がいいかもな、ンでまあ他のチームだと集中したいウマ娘もいるって事で断られたらしいんだ。んでうちはまだデビューしてるのもいないしサブトレーナーもいて環境的には安定してるからお願いしたいって事な訳」

「成程……それで一体誰なんでしょうか」

「ああ、エアエアの一つ上だ」

「って事は……来年にデビューな方なんですね」

 

世代で言えばいわゆる95世代。ネメシスにも在籍していたジェニュインとも同じ学年、最初は断ろうとも思ったのだがそのウマ娘とは知り合いな上に仲もいいし自分が見た方がいいかもしれないと思った。そう思っていると部室の扉が開いてそんな彼女がやって来た。やって来たのは―――

 

「失礼しま~す!!中等部3年、マヤノトップガン本日よりチーム・プレアデスの配属となります。ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いします!!」

「応、よく来たなマヤ。言っとくがウチは甘くないから覚悟しとけよ、Do you copy?」

「I copy!!」

 

彼女に合わせるような事を言うと嬉しそうに、先程までの丁寧な言い回しから一転して彼女らしい元気いっぱいな動きをしながら敬礼を交えて答えた。これでプレアデスも来年にはトゥインクルシリーズに殴り込みをかける事が決定した、そしてそれは同時に―――あのブライアン、ローレル、アマゾン、ドラランに戦いを挑むという事を意味する。相棒が育てたウマ娘と戦う、そう思うとゾクゾクとしてしまう。

 

「さてと、んじゃ行くか。マヤ、まずは走りを見せてくれ」

「は~いマヤ頑張っちゃう!!」




という訳でマヤ加入。多分これでメンバーは暫く固定かな。やっぱり来年度もレースで動きがあった方がいいかな~と思いまして。

そこでエスコン好きなのでそのネタも使えるマヤちん加入、同時にブライアン世代にも戦いを挑みます。
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