貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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333話

『私は、私は―――この時を待っていたのだぁぁぁぁ!!!』

「うるっせぇなテメェは!!」

 

プレアデスの部室に響き渡る歓声とランページの鬱陶しそうな声、パソコンに向き直りながらもスマホで連絡をしているのだが繋げている相手が歓喜した事による大声で耳が痛くなってきた。

 

『だってだって、公式だよ、認定だよ、もうどうでもいいや~!!!』

「まあ言いたい気持ちは分かる。というか羨ましすぎるわ、こっちは仕事あるっていうのによ」

『ふふん、私の場合はお仕事だもんね~』

「マジで羨ましいわ」

 

連絡を取っている相手は海外遠征戦線で最強の一角でもあったアームドリンクス。個人的な付き合いもある良き友人として付き合っている訳なのだが……今回、彼女が贔屓にしている会社からの連絡を仲介した結果、彼女の感情が逆流した結果となった。

 

「だが、10年……10年か。我々にとってその時間は長かったか、短かったかの何方なのだろうな」

『私的には前シリーズを楽しみまくってたから何とも言えないかな~、今回はどんな闘争が待っているのか楽しみだよ』

「やれやれ、んじゃまあ今度感想でも聞かせてくれ」

『は~い。私の要望も通るらしいし色々言っとくね~』

 

そういうと直ぐに通話は切れた。これから彼女は忙しくなるのだろうな、ウマ娘とは別の意味で……この場合はなんと呼ぶべきなのだろうか。そんなことを考えているとプレアデスのメンバーが入ってきた。

 

「お待たせしました、ランページさん」

「応お疲れ、歓迎しよう盛大にな」

「ンだよどこぞのザーボンみてぇな事言いやがって、どんな歓迎してくれるってんだ?」

 

ステゴの挑発的な瞳に応えるように部室備えつきの冷蔵庫からケーキの箱を取り出した。メジロ家お抱えの洋菓子店から買ってきた特製フルーツケーキに全員の瞳が輝いた、そして同時にテーブルの上に置かれた最高級のニンジンジュースに更にしっぽが跳ね上がった。以前の宣言通りにプレアデスの定例会議ではランページがお茶請けなどを用意しており、皆何が出て来るのかを毎回楽しみにしている。

 

「Very very delicious!!最高デース!!」

「やっばっ手が止まらない……お代わり良いですか!?」

「応、沢山用意してあるからどんどん食べてくれ」

「わ~いってあっ~プレートはマヤ狙ってたのに~!!」

「早い者勝ちだ」

「むっ~!!!」

「このジュースも中々……」

 

と舌鼓を打ってくれているのは嬉しいのだが、一応定例会議としての体裁も保たなければならないので食べながらで良いので進行する事にする。

 

「つってもプレアデスは今のところ現状維持としか言いようがない訳なんですが、マヤヤのデビューも最短で考えても6月だしな」

「マヤはそれでいいよ!!」

 

プレアデスの本格始動は来年から、それまでは力を蓄えておくことだけに集中しておくべき……その一方でやっておくべき事も多いので何だかんだでプレアデスの日々はまだまだ忙しいままだろう。

 

「つっても、G1戦線はまだまだ続いていくんだぜ?菊に秋華、んでエリ女にジャパンカップにチャンピオンズカップ、この時期はマジで忙しくなんだな」

「ある種身に染みてるよ、秋華からエリザベス女王にジャパンカップは中々堪えたからな」

 

今思うと本当にこのローテは如何かしている。完遂しようとしたらイクノ並に頑丈なウマ娘でないと出来ない事だろう、だが今年秋のG1戦線は今まで以上に荒れる事は間違いないだろう。何故ならばエルグッツにシルバーストーン、シュタールアルメコアらが参戦するのだから。世界の舞台で走った事があるG1ウマ娘たちが日本に乗り込んでくる、これは自分の存在が一番作用しているともいえる事象だ。

 

「これからお前らにも関係する事だ。多分だけど今まではジャパンカップにだけ狙いを絞ってきたであろう海外ウマ娘が殴り込みをかけてくるって事だ」

「そういえば海外のウマ娘と走れるのはジャパンカップ以外にもあるのに、基本的にジャパンカップだけですよね」

「日本の名前があるっていうのもあるが、スケジュール的な問題もあるからな。だがそれを無視する連中が今年は3人いる、という事は来年以降も来る可能性があるって事、多くなるのはやっぱり……プレアデスの本格始動に合わせてだからエアエアがシニア辺りかな」

 

何故そこを上げたと言われれば、史実ではその年にファインの姉であるピルサドスキーが来日して優勝を掻っ攫っているからである。アイルランドでは仲良くさせて貰っていたし恐らく確実に日本には来る、というか史実よりも早く来る可能性もあるから困ったものである。

 

「海外かぁ……なんか途方もない話だと思ってたのに、お姉様の下だと凄く身近に思えるわね」

「タイキもいるっていうのもありそう」

「Oh?」

 

それはある意味でプレアデスだけが持ちうる特権という物なのかもしれない。

 

「ンでまあ俺も俺で忙しくなってくるかもしれないから、面倒見れないかもしれない事があるかもしれないけどその時は上ちゃんの言う事ちゃんと聞くんだぜ?」

 

ランページの隣でニンジンジュースではなくコーヒーを啜っていたサブトレーナー、ランページと比べるとまだまだ覚束ない所もあるのでエアグルーヴを始めとしたいわゆるランページ派のメンバーには頼りなさげに見られる一方でタイキやサニーにマヤといったメンバーからはランページと違って楽しいとトレーナーというよりも遊び相手といった感じで見られている。ステゴは一切興味がないのか我関せずと言った感じだが……

 

「その時は任せてくれ、と言っても信頼性は0だろうから行動で信用されるように努力するつもりだ」

「その意気だ」

 

少しずつ自分のやり方を覚えて頑張ってはくれてはいるが、まだまだ新人トレーナーとしての若葉マークを取るには至っていない。長い目で頑張ってくれとしか言いようがない。

 

「というか年末は多分俺もマジで忙しいだろうかなぁ……スズカ、その時は峠は勘弁してな」

「まだ行っているのかスズカ……」

「月2、3で連れて行って貰ってるけど?」

「え~何々、マヤも行ってみた~い!!」

「ンでなんで忙しいんだ?」

「第一回、URAファイナルズとレジェンドレースの開催があるからだ」

 

その言葉に思わず全員が息をのんだ。遂に行われるのか……ランページが主導で進めてきたあのレースが。そしてある事に気づいたスズカが言った。

 

「あ、あのもしかしたらレジェンドレースに出走するんですか!!?」

「するよ?」

 

あっけらかんと言ってのけるランページだが、そのインパクトは果てしなく大きかった。もう本当のレースに出走している姿は見る事が難しいと思っていたが、本当にまたレース場を駆け抜けるこの人の姿を見ることが出来るのか……思わず身体が震えてしまう。

 

「分かってるだけでもマルゼン姉さんにエースさん、TTGのお三方。まだまだ増えるだろうな」

「な、名前を聞くだけでも凄いぞこれは……!!」

「絶対見に行きたいデース!!」

「来年以降はマヤヤとかの事もあるから出走も難しくなるかもしれないからな、今年は絶対に出るつもりさ」

 

聞く限りではドリームトロフィーリーグのウマ娘もレジェンドレースの出走を願い出ているという。レジェンドレースの規定を考えれば出る事に問題はない、が、こちらに出てしまうとドリームトロフィーへの出走は自動的に辞退という事になる。何故ならばファイナルズとレジェンドレースの開催予定日は年末、そしてドリームトロフィーリーグのウィンターレースは年始に行われる。身体の負担を考えれば辞退するしかない。

 

だが、レジェンドレースに参画するレジェンドの名前を聞けばこちらに出たいと思う者も多くおりURAはそれを認めるべきか否と頭を抱えているらしいが自分は知った事ではない。自分は自分らしくやらせて貰うだけである。

 

「さて、どんなレジェンドと走れることやら」

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