貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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341話

エリザベス女王杯が終わっても日本の熱狂は収まらない、秋から続くG1レースの波は恐らくだが冬が終わらない限りは収拾がつかない事だろう。ターボは秋華賞以来となるG1制覇、それに喜びながらも次はジャパンカップだと意気込んでいたが南坂に窘められて有記念へと方向を修正するのであった。これによってまた年末は白熱したレースが見られると皆が興奮する中でその一役買おうとランページは行動を起こしていた。

 

「URAファイナルズ最終予選、間もなくスタートです!!」

 

そう、ランページが企画し、主催しているURAファイナルズに関する事であった。日本全国で行われているURAファイナルズとレジェンドレースの予選、それぞれのトレセンが中心になって行われているがそれでも数は酷く多く時間がかかる。今年の開催だって危うく来年が狙い目立ったのにも拘らず、地方トレセンの皆様方の努力の賜物というべきか、今年の開催が間に合う事になった。中央に一泡吹かせてやろうという意識が此処まで強いとは自分も思わなかった。

 

「この大井地区から中央に殴り込み、そしてファイナルズに名を連ねる猛者が間もなく決まります!!この大井から中央、そしてドリームトロフィーリーグにまで進んだイナリワンに続く者よいざ集えぇぇえ!!!」

 

実況の熱も乗っている、そしてイナリの名を出したせいか熱狂が更に加速していった。因みにイナリはドリームトロフィーリーグではなくレジェンドレースへの出走を決めており、確りと大井地区からエントリーして出走を勝ち取った。その時には大井レース場は文字通りのお祭り騒ぎだったと聞いた。

 

「このファイナルズ、我々にとっても楽しみが尽きません!!それは解説も同じ!!」

「また帰ってきたぜぃ!!イナリワンが解説をやらせて貰うよぉ!!」

 

と見栄を切るようなポーズをとりながらもマイクを取るイナリに観客からは大歓声、大井のスタッフがダメ元でお願いしてみたらイナリは笑いながらOKサインを出してくれたとの事。地元という事もあるだろう、地方だなんだと言って下に見てくる中央に一発入れてやりたいという心意気が彼女を突き動かしたとも言える。

 

「つっても、あたしに上手い解説なんて期待してくれるなよ。盛り上げるだけだからよ」

「それでも嬉しい限りだよ、さてこのURAファイナルズは皆さんもご存じの通り、あのメジロランページが企画し主催した一大レース。中央に地方が挑めるだけじゃねえ、何と垣根がまるで存在しねぇ!!一般校出身のウマ娘も出れるという大盤振る舞い加減!!まさにお祭りレース、この大井地区でも一般校出身のウマ娘達が大井トレセン所属のウマ娘と鎬を削り―――なんと、総勢13名の一般校出身のウマ娘がこの最終予選にまでコマを進めてるんでぃ!!」

「かぁっ~そりゃまた熱いねぇい!!数までは聞いていなかったけど、こりゃまた大番狂わせが見れそうじゃないかい!勝負って奴は最後までどうなるか分からないからこそ面白いだよねぇ!!」

 

狙い通りというべきか、矢張りだった。地方に所属していなくても十二分に実力があるウマ娘は居る、何かしらの事情があって参加出来なかったりする者も参加出来るのはランページレースの利点だ。何より事情ありの彼女たちの狙いはレースの賞金だ、予選ではあるが確りと賞金は出るのだ。それらもランページが手配した物、最初はポケットマネーで出そうと思ったのだが、地方トレセンと提携する事でそれらは上手くクリアされた。これも経済を回した影響だろう。

 

「さあまずはダートの最終予選からスタートとなります!!」

「っとちょっと待ちねい、誰か大事な人を忘れていませんかってんだい」

「えっ!?」

 

実況は思わず予定表を見直した、まだ紹介しなければいけない人なんて居たかな?!と大慌てで確認する、だがそこには記載はない。イナリは確りといるし、誰なんだと思う中でイナリは徐にマイクを取りながら見栄を切った。

 

「さあさあ皆さんお立合い。ここ大井にて行われるは天下統一世界最強、その名を欲しいがままにしたメジロランページ主催がファイナルズ。最後の最後の大勝負、天下分け目の大合戦に馳せ参じようとするが我らが大井の優駿達、ならばその戦いを主催者たる王者が見るのは当然の事。さあご登場願おうじゃないかいぃ!!」

 

よく通るイナリの声が木霊する、その言葉に誰もがもしやと思った。そんな中で地下バ道から一人のウマ娘が姿を見せた。編み笠と黒い装束に身を包んだ彼女の顔は見せない、だが彼女は大観衆の前で脚を止めるとイナリに倣うが如くに編み笠を脱ぎ捨てながら言った。

 

「目指すは一つ、勝利の二文字。我らが中に滾る走りの情熱、それは決して無視出来ぬ。それに従う集いし猛者達、それらの走りを見てみたい、目指すは天下分け目の旗印。さあ勝鬨上げる支度は良いか、凱歌を鳴らす覚悟はあるか、ならば競って見せろぉウマ娘!!独裁暴君とは俺の事、メジロランページ此処に参上!!」

 

その登場に大井レース場そのものが揺れた。まさかあのランページが登場するなんてスタッフですら驚き、それも当然だ。今回はイナリから誘いを受けて来た、前々から来てほしいという願いは各トレセンから来ていたが忙しいのもあったが距離的な問題もあった。なんとか予定も整理出来て時間も取れたが遠出はきついと思っていたところにイナリからの誘いを受けた。帝王賞でも走ったこのレース場の最終予選に顔を出したのだ。

 

「さあ今日はどんなレースが見れるのか、楽しみにさせてもらうぜ!!」

 

元々賑わっていた大井レース場、その熱狂は更に加速していく。




競走馬、メジロランページのデータ。

とある牧場で生まれるが、牧場が倒産した上に経営者夫婦が夜逃げしてしまうという最悪の状態に逢う。そんな彼女を救ったのが牧場の厩務員だった。残った馬を方々に掛け合って引き取って貰うが、血統の悪さからランページだけが残ってしまった。そんな時に偶然、親交のあったメジロのオーナーが牝馬を探していたので引き取って貰える事となった。

メジロ牧場は繁殖牝馬として検討されていたが、とても元気且つ飛び跳ねるように走るという意見を貰っていたオーナーは周囲の反対を押し切り、競走馬メジロランページとする事を決意した。

よく飛び跳ねるというので当初は障害馬になる予定だった、が、芝でも走れるじゃないか?というとある騎手からのアドバイスを受けてから、平地デビューが決定した。
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