ジャパンカップも終わって今度はチャンピオンズカップが首を長くして待っている。シルバーストーン、エルグッツに続いて今度はシュタールアルメコアがチャンピオンズカップに出走する。それを迎え撃つのはレディセイバーとアメイジングダイナという日本が誇る最強ダートコンビ。他にも我こそはというダート実力者が次々と名乗りを上げているので大盛り上がりになる事は確実。
「ハァッ……見事に負けたわ、私もこれまでかしら」
「そんな事はないと思うが」
「うん、サラッとなんでいるのお前ら」
部室で仕事をしているランページ。そんな彼女を見ながらも緑茶と和菓子を摘まみながらアニメ鑑賞をしている二人、エルグッツとオルタナティブセブン、ジャパンカップにも出走した二人が何故こんな所にいるのか……折角日本に来たのだから観光して帰るつもりだったのだが顔を出しに来たとの事。オルタはシンボリ家に顔を出してスーちゃんに会ってきた帰りでルドルフに挨拶しようと思ったのだが、まだ授業中だからと迷惑になるのはマズいと困っていた時にエルグッツに連れられて此処に来た。
「折角だから日本観光の案内でも頼めないかなぁって来たの」
「テメェと違ってこちとらトレーナー業務があんだよ」
「But、やっているのはトレーナー業務とは違うように見えるが……?」
「まあな」
今現在やっているのはファイナルズとレジェンド関連の物、ついでに迷惑をかけてくる連中への対処。急速に台頭して自分たちの立場を脅かさんとするランページ、お前の権威など認めるか!!という者も多い。と言ってもランページはその辺りは一切容赦はしない、ボイスレコーダーも常に携帯していて自己防衛も完璧な上に法的手段の実行に一切の躊躇もない。既にメジロ家お抱えの弁護士に頼んで複数人の充てに文書を送ってある。
「開催前に言葉を交わすのもまた一興、参加自由、ご興味あれば出席くださいっと……」
「何パーティでも主催するの?」
「そんな所だ、出るも自由でないも自由。これを何かしらに結び付ける気はない、単純な親交深めませんかって集まりだ」
初開催の記念パーティ、交通費などは此方で持つと明記したうえでそれらを予選突破者に対して発布する。これはアサマとスーちゃんの二人から言われてやる事に決めた事、初年度だからこそやらなければいけないことは色々とあるとの事。個人的にはやる意味はあるのかとも思ったのだが、あの二人からの言葉なので素直に聞くことにした。
「それでレジェンドレースに私たちは出られたりは」
「する訳ねぇだろうが、国内限定にしてるからこんな自由に出来んだよっつうかこれサンデーさんにも言ったな……」
「……興味があったが致し方ないか」
エルグッツに比べてオルタは極めて物分かりが良いので助かる限りである。
「夜でよければ行きつけの飯屋でも連れてってやるが」
「それでもいいわ、休日は空けておいてね」
「ったく一方的な都合ばかり……しゃぁねぇな」
「済まない、私が出来ればいいんだが変わり過ぎていて分からない」
なんだかんだ言いながらも引き受けてくれる辺り、人の好さが滲み出ている。世間で言われる程、メジロランページというウマ娘は自分勝手でもなければ自己中心的ではないのである。
「にしても、レジェンドレースはマジで頭おかしい事になってきたなぁ……」
改めてレジェンドレースの出走者を見てみると本当に凄まじい事になっている、イナリやオグリも此方にエントリーしている上にお姉様ことクリークやタマさえも此方に来ている。ドリームトロフィーリーグは大丈夫なのかと不安になりたくなるが、彼方は彼方で問題なく実施されると聞いて胸を撫で下ろした。というか、永世三強とタマも中距離に登録してるのでマジで魔境になっている。
「俺だろ、ライアンにマルゼン姉さんにTTGの皆さまにエースさん。タマ先輩にオグリさん、イナリの姐さんにクリーク姉様、皇帝も来るし……マジで頭いてぇ……今からでも別のブロックに行こうかなぁ……」
「大変そうだな、肩揉むか?お婆様も喜んでくださったのだが」
「いや気持ちだけ受け取っておく……気が重いぜ」
「こういう時日本だと確か……ハハハハッザマぁないぜ!!だったかしら」
「おい、修正するぞこの野郎」
一体誰だ凱旋門ウマ娘にこんな事を吹き込んだのは……*1と言いつつもこれだけど派手な面子と走れる事に喜びを感じている自分がいるのも事実であった。文字通りの伝説が列挙する会場、現役時代に様々な伝説たちを出会ったからこそ本気で競い合いたいという思いから誕生したこのレース。自分と同じ思いを抱く者もいる、この猛者だらけの中距離に挑む者がいる―――夢に挑むものたちが集うのだ。
「それにしても、良くそんな事出来るわね……私だったら絶対に無理よこんなの」
「私も……経営学や帝王学は学んではいるが」
「まあ勢いだな」
個人的にはファイナルズの方が理想に最も近い、地方トレセンだけではなく一般校からの予選突破者もそれなりにいる。レジェンドレースの方は自分に引っ張られ過ぎている気がするが……まあ初年度故の致し方なさが出ていると思うしかないだろう。
「どうせならお前らもファイナルズとかは見物してけよ、いい席は保証してやるよ」
「当然よ―――私の友達も出る筈だからね」
「そうなのか」
「名前なんだ、検索かけるわ」
「いや~……なんというか、昔にちょっとあってさ……会いにくいんだよねぇ」
「よしセッティングするから強制参加な、スケジュールは俺が国に掛け合うから任せとけ」
「アンタに人の心はない訳!!?」
「伊達にあの世に逝きかけてねぇぜ」
「どんな人生経験してんのよ!!!」
そんな事もありながらも賑やかな時間は進んでいく。その後、二人はトレセンの練習風景を見学したりサンデーが2人にちょっかいを掛けたり、ルドルフとラモーヌ、そしてシービーの三人が調整という名目でサンデーにリベンジマッチを仕掛けたりと様々な事が起きていった。
メジロダンスオー 牡馬
メジロランページの12年目の産駒。父は世紀末覇王テイエムオペラオー。
名前の由来はオペラが歌劇からの連想。
独裁暴君と世紀末覇王、凄まじいパワーの字面を両親に持つ。そんな中生まれたのは、覇王と暴君、その二つを受け継ぐ怪物だった。母譲りの快速と父譲りの心臓の強さを併せ持ち無敗で皐月を迎えるがでは2着に終わる。しかしダービーと菊花賞の二冠を達成し、オペラオーとの親子三冠を達成。独裁覇王と恐れられオペラオーのように行くと思いきや海外戦線へと移行し、敵陣営から胸を撫で下ろされた。
鞍上はテイエムオペラオーでお馴染みの