貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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活動報告に新しいお知らせを掲載いたしました。

ご興味があるから下記のURLからどうぞ。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=305557&uid=11127


353話

もう一つのジャパンカップ、チャンピオンズカップがやってくる。日本におけるチャンピオンズカップは国際競争でありながらも海外からの挑戦はハッキリ言って皆無に近い状態だった。国際競争ではあるものの、日本のダートは芝に比べて良いとは言えなかった。が、それがここ数年は一転してダート人気が一気に過熱して海外からの挑戦者が相次ぐ環境となっていた。理由は単純明快

 

『あのメジロランページ、その好敵手たるレディセイバー、アメイジングダイナの生まれ故郷で走りたい!!』

 

そんな理由だった。それを裏付けるかのように此処2~3年で日本のダートを取り巻く環境は一変していた。芝よりも格落ちのレース、二軍である地方のメインレース、そんな失礼過ぎる偏見は二刀流の怪物によって駆逐されて、それに刺激されて今度は自分が第二のメジロランページになってやる!!という空気が生まれている。URA的にもこの流れは良い傾向で、芝に比べて如何しても格差のあるダート開催時の収益は倍に膨れ上がっていった。まだ芝と比べると劣っているが、それも数年で是正されるのは目に見えている。否定的な意見が多いランページだが、此処に関しては満場一致で感謝しかなかったという。

 

「よっ準備は良さそうだな」

「ええっ万全です」

 

控室、そこでは準備を進めていたレディセイバーの姿があった。日本のダートG1ウマ娘の一人として、再びこのレースを走る事が出来るのは光栄の極みである。

 

「私にとって、このレースはリベンジでもあります。ドバイの借りを此処で晴らすとしましょう」

「それ言っちゃったらBCクラシックで着順お前の方が上じゃねぇか」

「何言ってるんですか、レースという枠組みでは勝者は一人のみ。故に私は勝者ではない」

「BCクラシックの同着2位が言うなぁ……」

 

あのBCクラシックは伝説とされている、何せあのアメリカが完全な敗北を喫したのだから。今年こそ!!と思っていたのに肝心の自分は引退してしまったしレディとダイナは今年は海外へは行っていない、故かアメリカの一部ウマ娘はなんでだ!?と憤慨しているらしい。

 

「まあ来年は行きますがね」

「行くのかよ」

「去年の武者修行は何だかんだで私の身体にも大きな負担が掛かり過ぎましたからね、その療養を兼ねていたんです」

「の割にフェブラリーステークスじゃダイナとあんだけ激しくやりあったくせに……」

「それはそれ、これはこれです」

 

今年のフェブラリーステークスではダイナが1着でレディが2着、その後はかしわ記念で再度激突して今度はレディが1着、ダイナが2着と完全に日本のダートのトップはこの二人で決まりと言っても過言ではない。そんな中で行われるチャンピオンズカップだが―――今年は本当に凄い面子が来る。

 

「改めて、この面子やべぇな。というか俺が居ないだけみたいになってんじゃん」

 

シュタールアルメコアが出る事は分かっていたのだが、他の面子も中々だった。フランスからリスフルーヴ、ニュージーランドからアームドリンクス、アメリカからアイリーン、エーピーインディ。ドバイワールドカップとBCクラシックを混ぜたような面子が海外から挑戦しに来ている。ハッキリ言って自分のチャンピオンズカップよりも遥かにとんでもない事だ。

 

「叩き潰すのに相応しい面子ですね、見事に勝ってみせましょう」

「随分な自信だ事」

 

ジャパンカップに凱旋門ウマ娘がやって来たのに、チャンピオンズカップだってそれに負けない位の面子が勢揃い。おかげで中京レース場周辺は大変な混雑になっていると聞いた、自分も此処までインプで来たが結構苦労した。

 

「レディさんなんか凄い事に……ってうわっランページさんじゃないですか!?」

「うわとは何だうわとは。折角解説に来てやったのに随分な言い回しだなこの野郎」

 

やって来たのは同じく日本のダートの二大巨頭ことアメイジングダイナ。レディと同じく、今やダートを引っ張っていく存在となっている。驚いたが直ぐに笑顔になってランページの手を取った。

 

「これは情けない姿は見せられませんね!!」

「応、情けない走りしやがったらどんどん突っ込む解説してやるから覚悟しとけよ」

「うっひゃ~こわやこわや」

「それ以上に怖いのがいるけどな」

 

その言葉にダイナは頷いた。今回の海外ウマ娘は全員対戦経験があるが全員が海千山千の猛者ばかり。特にアームドリンクスなんてBCクラシックでは限界ギリギリまで競ってきたうえに今も成長しているというのだから驚きだ、彼女のフィジカルには限界がないと言わんばかりだ。しかもフロム公認AC乗りの称号を得てからは益々精神的にも充実していて芝でもダートでも無類の強さを発揮している。ある意味で二代目ランページを名乗っているのは彼女だという声も大きい。

 

「今回一番怖いのはやっぱリンクスだろうな、純粋に強い上にBCクラシックで一皮むけた上にさらに成長している。アルもまあ俺が多少見たけど……切り札頼りな所がようやっと少し矯正されたって感じか……と言っても他の面子も無視出来る訳じゃねえけどな」

「今更ですね、相手が強いなんて分かっていた事です」

「うんっだから私たちは全力でぶつかっていく事以外しませんよ、というかそれ以外出来ません少なくとも私は!!」

 

そんな風に言うダイナにレディも頷いた。ライバルはいつまでも自分が知っているライバルのままだったというのは正直な話、安心出来る。

 

「そっか、んじゃ俺もお前たちの為の解説頑張るかな。実況の仕事を奪う勢いで」

「それはそれであれな気もするんですけど私だけですか?」

「今更この人に自重を求めた所で無駄でしょう、出なければ私たちが目指したメジロランページではないんですから」

「どういう意味だこら」

「「そういう意味だこら」」

「息ピッタリか貴様ら」

 

気付けば和やかな雰囲気のままで随分と話し続けてしまっていた。そのまま話し込んでしまって携帯に連絡が来るまで笑い続けていた、自分も解説の仕事で此処に来た事を思い出して大急ぎで解説席へと向かうのであった。

 

「いやぁすいませんね、ライバル達の激励に行ってたら思わず駄弁ってました」

「思えば今回のレースでは皆さんランページさんとの対戦経験のある方々が集まりましたからねぇ……」

「すいません今から乱入ありってことで宜しく」

「なしですよ!!?」




メジロトレジャー 牝馬

メジロランページの14年目の産駒。父は最強マイラータイキシャトル。
名前の由来は父と母譲りの尾花栗毛は最早黄金、宝物に見えた、自分だけの宝物を探してほしいという願いを込めて。

ランページと同じく海外を制したタイキシャトルとの子供。黄金にも例えらえる程の素晴らしい尾花栗毛を受け継いだうえに好馬体だったのでデビュー前から人気を博する。世界最速と最強マイラーの子供故にその能力にも期待されるが、期待を裏切らない所上回る能力を秘めていた。無敗のまま迎えた阪神ジュベナイルフィリーズでは30分という審議の末にハナ差で勝利、NHKマイルを大差勝ち。そしてクラシックのまま父が制したジャック・ル・マロワ賞に挑戦し勝利。ダートでもその強さは健在、BCマイルにも出走するなど日本屈指のマイラー、黄金のアイドルホースとも呼ばれた。

鞍上は池沿 健一(いけぞえ けんいち)騎手。自分が乗ってきた中で一番大人しくて可愛い、頭も良くていい馬だったべた褒め。彼女にするならトレジャーかカレンチャン、いや迷うな……という迷言を残している。
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