貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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活動報告に新しいお知らせを掲載いたしました。

ご興味があるから下記のURLからどうぞ。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=305557&uid=11127


355話

ファンファーレが高らかに鳴り響き、ゲートインが開始されていく。間もなく行われる、正しく頂点の王者たるチャンピオンを決定する戦いが。

 

『砂上の戦いを求める猛者が集まるダート王決定戦、チャンピオンズカップ!!今年のチャンピオンズカップはその名に相応しく、海外から多くの猛者のウマ娘が殴り込みをかけて来ました。日本が誇る最速最強ウマ娘たるメジロランページと覇を競い合ったウマ娘達、それを迎え撃つのは我こそはと集った優駿、勇者、覇者、王者が一堂に会しその決着をつける時が迫ってきております!!』

 

良く煽るものだと思う一方で実況や解説はこの位出来なければ務まらないのかもしれないと思いながらも見守る、出走するほぼ全員と自分は顔見知り。誰を応援するべきなのかは迷う所だが……自分は解説だ、望まれるのは中立の立場。

 

『集いに集った猛者たちが、王座を賭けて望む決定戦。日本と海外入り乱れ、間もなく起こる決戦の時、時の調べは時の鐘、さあさあ今こそ王者決定の時は今!!』

『さあゲートインが、完了しました、チャンピオンズカップ今っ―――スタートしました!!』

 

遂に開始されたチャンピオンズカップ。ゲートが開け放たれると同時に大歓声の口火が切られた、文字通りの日本と世界の正面衝突。どんなレースが見られるのかと誰もが期待する中で真っ先に飛び出した姿に思わずランページも口角が上がった。

 

『さあっ先頭に出たのはご存じ砂の超特急こと、アメイジングダイナ!その後方には砂の鷹のナリタイーグルっとその隣にアームドリンクスがピッタリと付いています!!剣王妃のレディセイバーも競り駆けて行きます!!エーピーインディも行くぞ、先頭集団は彼女で決まりか!!その2バ身差を維持してリスフルーヴがいます』

『矢張りというべき存在が行きましたね、ある意味でこの展開は予想通りですが―――ダイナの飛ばし方はかなりハイペースですね』

 

ダイナの大逃げはある意味で予想通りだが、あれはまるで自分のガチ逃げのようなハイペースだ。いやそれにターボの大逃げを掛け合わせて出来たような強さと速さの良い所取りのような走りだ。負担も大きいだろうが此処はダートでしかも日本、クッション性も高いのでそういった無茶を戦法として組み込む事も出来る。

 

『そして最後方にシュタールアルメコア、アイリーンが控えています。ドバイワールドカップでメジロランページに果敢に挑んだ優駿は如何このレースを攻略するのか』

『彼女の長所は分かりやすい所にあります、が、それを破るのは難しい部類に入ります。世界には対抗策を備えている者もいますが……この場ではどれほど居るのか見物です』

 

アルメコアの切り札は弱い訳ではない、寧ろ強い部類ではある。だが問題なのはその対抗手段を身につけられている者が世界にも一定する事なのだ、レベルを上げてそれを越えるか別方向からのアプローチを模索するとまた一段と強くなるのは確実だ。

 

『第二コーナーを過ぎた所で先頭はアメイジングダイナが3バ身、続くはアームドリンクスにレディセイバー、エーピーインディは伺うかのようにコースを見つめていますがその背後にはリスフルーヴ。そこから2バ身差でグレイズトップ、スモールデュエル、デイリークローザー、ショウナンショウグン、アハトアハト、ティグルタークが一塊、そこから少し離れた所でアイリーン、シュタールアルメコアが居ます』

 

向こう正面を越えて間もなく第三コーナーへと差し掛かる所、そんな時に塊が出来ていた部分が徐々に乱れ始めていた。何処か違和感を覚えて修正しようとする中で中央に僅かな隙が出来ていた。その隙を見逃さぬ者が、其処を突いて一気に先行集団を追従する。

 

『此処でアイリーンが一気に上がって来たぞぉ!?バ群のど真ん中を突っ切って進んでいく、が背後からも来ているぞ!!シュタール、シュタールアルメコアも強襲を掛けて行く、が、どうした如何した!?周囲のウマ娘達のスピードが一気に落ちていく!?海外の猛者の空気に気圧されたか、これが海外ウマ娘の力なのか!!?』

『(此処で切ってくるのか……?)』

 

 

「おやおやおや、こんなところで切り札を切るとは、君も豪胆だね!!」

「お前に言われちゃおしまいだぜ」

 

アルメコアは自らの領域を使った。ガッチリと閉められてしまった前方をこじ開ける為にはここで使うしかないと踏んだ、いやここで使うべきだと信じて切ったのだ。そしてアイリーンはそんな思考を読みながらバ群を突っ切った時に先行集団を射程に捉えた時に自らの領域を発動、畳みかけに掛かる。次第に内ラチ沿いや絶好のポイントから無意識なうちにそれ始めていく光景に口角が上がる。

 

『間もなく直線だ、さあ最後のコーナーを先頭で行くのはいまだにアメイジングダイナ!!さあ直線だ、このまま有利を行かせるのか、行けるのか!!?』

 

刹那、全員が寒気を覚えた。なぜか、後方から凄まじいプレッシャーを纏ったウマ娘が全てをぶち抜いてきたのだ。

 

『シュッ!!シュタールアルメコア、シュタールアルメコアが此処で一気に先頭に立ったぁぁ!!?な、なにが起きたのでしょうか、私の目には一瞬で加速して一気に先頭に立ったとしか表現できません!!』

『というかそれが正解ですよ、コーナーから直線に入る瞬間に渾身の力で踏み込んで一気に加速したんだ』

 

それだけじゃない、アルメコアは領域に新たな力を加えることが出来ていた。領域で心を奪う者の数だけ、自らは加速できるという新しい力を。それを此処で切った。

 

「走ることに囚われたウマ娘諸君…準備は良いか?

俺は出来てる、さあ俺のショータイムの始まりだ!!」

 

遂に先頭に立ったアルメコア、このままの勢いでトップを独走するかと思いきや―――それは絶対に許されなかった。

 

「これが私の全力全開ッ、ストロング・アメイジングダイナァァァァ!!」

 

「受けて知れ、是が私の刃ァッ―――!!」

 

「フフフッアハハハハッ!!!楽しいわ楽しいわ楽しいわ!!良いわっ貴方がそんな盛大な歓迎をしてくれるならこっちも応えてあげる、そのショータイムの盛り上げに、手を貸してあげるわっ!!」

 

BCクラシックを思わせるかのような猛追撃が開始された。アルメコアの独占トップはほんの僅かな時間だけだった、直ぐに並び立って再び差し返さなければいけない状態にまで持ってこられた。いやまだ来る。

 

「風の女神の威光を、今ここでっ!!」

 

「貴方に勝つ為に来たんだ、ダイナァァアア!!」

 

『レディセイバー、アメイジングダイナ、アームドリンクスが再び並びかける!!勝負はこの4人いやリスフルーヴ、エーピーインディも迫ってきている!!いやナリタイーグルも必死に伸びてくる!!うわぁっまたもや横一線、チャンピオンズカップの頂点を極めるのは一体誰なんだ!!?残り100mを切りました!!!』

『レディが伸びてくる、いやダイナも行くしリンクスも許さねぇ!!!フル-ヴもスリップストリームの恩恵でここまで加速してきている!!インディも来る、イーグルもとどめの一伸び!!全員気張って走れやぁ!!!』

 

「「「「「言われるまでもないんだよぉ!!!」」」」」

 

中立の立場も投げ捨てた全員へのエールが降り注ぐ、その言葉にトップ集団、いや全員に火が入った。アルメコアの領域に絡め捕られた彼女たちも最後の力を振り絞って全力で走る。もう届かないとかどうでもいいんだ、此処で走らないなんてウマ娘じゃない!!そんな気迫が全身から感じ取れるほどまでに高まったチャンピオンズカップ、そして今ッ―――ゴールに到達した。

 

『勝ったのは、勝ったのは―――アメイジングダイナだぁぁぁぁ!!!!アメイジングダイナ、フェブラリーステークスに続いてこのチャンピオンズカップを制しましたぁぁぁぁっ!!!二着にシュタールアルメコア、三着にレディセイバー、四着にアームドリンクス、五着にナリタイーグル、六着にリスフルーヴ!!なんという激戦、王座決定戦を制したのは砂の超特急、アメイジングダイナ!!!』

 

『ダイナ!!ダイナ!!ダイナ!!ダイナ!!』

 

レース場を揺るがし、天にまで響くダイナコール。その溢れんばかりの声援をその身に浴びながらダイナは空を見上げながら―――

 

「っ~……ぃぃぃぃぃいいいいやったぁぁぁああああああああああああ!!!!!」

 

魂からの歓喜の叫びを空へと打ち上げた。




メジロファンタジー 牝馬

メジロランページの16年目、最後の娘。父はグラスワンダー。
名前の由来は父からの連想。

遂に繁殖牝馬を引退するメジロランページの最後の子供。最後には是非ディープインパクトにしてほしいという強い要望もあったが、結局ランページにはSS系が付けられる事はなかった。桜花賞では惜しくも2着、そこから陣営が取ったのは何と日本ダービー。これには波紋が呼ばれたが、何と勝利。四頭目となる牝馬ダービー制覇を成し遂げた。その後は凱旋門へ。2着に終わるが目の前で日本馬(オルフェーブル&池添)の凱旋門制覇をメジロポーンと共に見届けた。そして翌年、再度凱旋門に挑戦し制覇。ランページの最後の娘としてこれ以上ない結果を達成し引退した。

鞍上は猛 裕加騎手。普段は大人しくのんびりし過ぎている位だったが、レースになると一気にスイッチが切り替わるタイプの馬だったと述べる。そして凱旋門制覇出来た事を心から喜んだ。
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