都内某所。
そこでとあるパーティが催されることになった。それはURAファイナルズとレジェンドレースの正式開催と初年度の開催を記念したパーティだった。こういったパーティは企画主催したランページとしては度外視していたのだが、後見人と言える現メジロ家当主メジロアサマとシンボリ家相談役のスピードシンボリによって打診されたからこそ開催する運びになった。
『こういう事は確りとしておくものよ』
『ランちゃんは前の凱旋門制覇パーティとかもBCクラシック挑戦で有耶無耶にしちゃったからね、後々マスコミに突っ込まれるのって嫌でしょ?』
何というか、大人とは面倒な制約が多いと思いつつもいざやると思えば割り切って出来るのだから意外な事だった。これも前世の社畜人生がいい感じに利いているのだろうかと思うと何とも言えない気持ちになる。まあ確かにお偉いさんの自慢話に付き合う為にパーティ出席はした事があった、会社でもされたような話だったので聞くまでもなかったので普段口にする事も出来なかった高級グルメに舌鼓していたのは秘密である。何方かと言えば大変だったのは招待状の作成の方だった気がする。
「ンでなんで呼んでもねぇレジェンドが来てる訳?」
「いやだって面白そうなことするよって話だからさ、私だって本当はこっちの方に参加したかったけどルドルフに頭下げられたからドリームトロフィーリーグに出るだけだからからさ、来年はこっちに顔出すからその前準備ってやつ?」
「ボクは会長に代理を任されたの、そう今の僕はトレセン学園生徒会長(仮)!!」
「お前が生徒会長とか世も末だな」
「ソレドウイウイミサァ!!」
「そういう意味だ」
目の前にいたのはミスターシービーとトウカイテイオーの二人、何で招待してもいないレジェンドがいるんだとため息が出そうになるが、これはこれで使えるかもしれないと頭を切り替える。こういう時程確りと頭を切り替えないと痛い目を見るというものだ。
「まさかはちみーが役に立つとはなぁ……」
「えっあるのはちみー!!?」
「一応な、中央のウマ娘が良く飲むドリンクって事で提供する事になっている。一応味とかそこらも調整出来るようにはなってるから後で飲み行けや」
「やった~!!はちみーはちみーはちみー♪」
一気に機嫌が良くなるテイオーを見て溜息が漏れた。安いと思うべきか、チョロいと思うべきか……そんな中でシービーはこっそりと顔を出して会場の様子を窺う、そこには一見豪華なパーティ会場でありながらも普通の私服姿のウマ娘もいれば確りと正装を決めているウマ娘もいる、半々といったところだろうか。ドレスコードは別段に設けていない、そもそもが一般を主目標に定めているレースのパーティなのだからそこまでキッチリしたのを求めている訳ではない、一応レンタルもしているが、難しいのもある。
「でもなんか面白そうな子がいっぱいいるね~私もやっぱりレジェンドが良いなぁ……ねぇ中距離じゃなくてもいいからさ、今から出れないかな?」
「一応URAにも面子ってもんがあんだ、アンタら三冠までこっち来たら冗談抜きでURAがぶっ倒れるぞ」
「良いじゃん無視すれば」
「その皺寄せを誰が対処すると思ってんだ……」
個人的な意見を言わせて貰らえればその辺りの事なんで皆目興味もない訳だが、お婆様やスーちゃんから顔を立ててあげなさいと言われているのでその辺りは配慮するつもり。これでも自分も大人なのだ、大人的な対応を見せてあげなければならないだろう。そんな時にセットしていた骨伝導式のイヤホンから通信が入った。今回のパーティの手伝いをしてくれているスーちゃん専属の執事さんからだ。
『ランページお嬢様、パーティの準備が全て整いました。招待した皆様の来場も確認致しました、何時でも挨拶をして下さって結構です』
「分かりました、でもお嬢様はやめてください。俺はシンボリのウマ娘でもなければお嬢様なんて柄じゃねぇんで」
『これはご無礼を……ですが大奥様はいつでも嫁に来て本当の孫になってくれても良いと仰っております故』
「またお婆様が若返りそうな事を……」
なんというか、スーちゃんはガチで自分のシンボリ家入りを心のどこかで狙っているような節があるのが少しだけ怖い所だ。さてと、そろそろ自分の役目に入るとしよう。
「んじゃ二人とも、俺は挨拶に行ってくるから。挨拶が終わったら此処出て飯食うのもよし帰るのもよしの自由だから」
「分かった、終わりがゲートが開く瞬間って事ね」
「うん分かったもんね、はちみーはちみーはちみー♪はちみーを舐めーるとー♪」
ホントに分かっているのだろうか……思わずげんなりするが、壇上へと上がっていく。それと同時に此方へとライトが向けられる、一斉に向けられる無数の視線、メジロとシンボリが厳しく審査したマスコミも配置されている。それらから向けられるカメラにも全く困惑の色は見せずに、自分は何時もの調子で声を出す、それを望まれているがゆえに。
「おはこんハロチャオ~!!貴方の記憶にワールドレコード、独裁暴君、生涯無敗なランページだぜい!!皆の者~善行積んでたか~?」
何時もの挨拶をすると会場中から声が漏れた、本物だぁっ……やマジでやってる……などの物や歓声やどよめきまでもが含まれていた。だがまあ言いたくなる気持ちは分かる、こんなキッチリとしたパーティでこんな事をするなんて普通は考えない事だろう。だが自分はやる、やる事に意味があるのだから。自分は変わっていない事を示す。
「本日はURAファイナルズ及びレジェンドレース開催記念パーティにようこそいらっしゃいました、此処に居る皆様方は俺が主催したレースの予選を突破して本選出場を勝ち取った猛者ばかり、其処に格差なんて当然なくこれから戦い争う敵同士とも言える。だがそんな者同士で杯を傾けて語り合うのもまた一興!!存分に語らい、存分に楽しみ、存分に英気を養ってほしい。さあ堅苦しい挨拶はこの位にしよう、さあみんな声を上げて楽しもうじゃないか、乾杯!!」
『乾杯!!!』
ランページの声と共にパーティが本格的にスタートした。それぞれが待ちわびたと言わんばかりに各々行動を開始する。豪勢な食事を前に我慢していたからか、まずは腹を満たす為に食事を始めるもの、緊張故かまずは飲み物から、色んなウマ娘がいる事に胸を躍らせて話しかけに行くものと豊かな様子だ。此処まで来てしまえば地方だの中央だのと言った言葉は無意味に等しくなる。
「あっ君ってもしかして……」
「テ、テイオー!?えっどうしてここに……!?」
「やっぱりだ~!!!」
とテイオーは誰かを見つけたのか嬉しそうな声を上げて抱き着きに行った。声を掛けられた側もまさか会えるとは思っていなかった困惑しながらも再会を喜んでいる。そんな様子を見ながらも自分はどうしようかなぁ~と自由気ままに流離おうとするシービーを見ながらも自分も動くかと、壇上から降りるのであった。
引退後のメジロランページ
伝説の競走馬と化したランページを一目見ようと、日本各地どころか世界中から見学の予約が殺到してしまって大変な騒ぎになった。中にはドバイの首長やヨーロッパの王族、アメリカの元大統領までいた為に、最早処理不可能な面子までいたので日本政府の手を借りて調整に追われた。
結果として、ランページの存在によって日本と各国の関係は極めて良好な物へとなったとされ、当馬に会えた際には一競馬ファンとして満面の笑みを見せていたとか……。
そして、ランページの子供たちの子供、ランページからすれば孫を是非迎えたいという要望も殺到し、苛烈な銭戦と交渉が繰り広げられたという。
次回から、皆様から応募いただいたウマ娘が登場していきますのでお楽しみに!!