パーティが始まって早々、テイオーは一人のウマ娘に飛び掛かるかのように抱き着いていった。自分が用意したレンタルドレスに合わせたのかそれとも合うように選んだのか赤いシルクハットを被っているウマ娘、少し切れ長の目つきで整った顔立ちと黒鹿毛のサイドテールで誰かは直ぐに見当が付いた。一応招待客のリストは全員頭に入っている。
「よぉっテイオー、随分と楽しそうにしてるな」
「あっラン!!紹介するよ僕の友達のシダーブレード!!」
「テ、テイオー!?メ、メジロランページさんこ、この度はパーティにご招待してくださってそのえっと、光栄至極であります!!」
「おいおいおい、そんな畏まらないでくれよ。俺は唯の一介のトレーナーだ、そうだな畏まるなら俺からのスカウトを受けた時ぐらいにして貰おうかな?」
軽くウィンクをすると彼女は緊張を少しずつ解きほぐすように笑顔を作る。シダーブレードと言われれば、アニメ二期でシャコーグレイドの代役として出演していたウマ娘だが、まさかこの世界にもいるとは思わなかった。しかもテイオーの友人だったなんて猶更驚きが深い。
「それにしても、シダーがファイナルズに出てたなんて、しかも本選出場なんて凄いよ!!」
「そ、そうでもないよ。中央でバリバリ活躍してるテイオーに比べたら……私なんて比べようがないよ」
「そんなことないよ!」
自分を卑下するシダーにテイオーは満面の笑みを作りながら彼女の手を強く握った。優しくありながらも強く握られる手に少しだけ驚く。
「だってシダーは自分の力でここまで来たじゃない、それはボクじゃ絶対に出来ない事なんだよ。シダーだから、自分で頑張ってシダーだからこそ出来た事なの!!だから誇ってよ、ボクも自慢するから!!」
「テ、テイオー」
「ボクの友達はこんなにも凄いんだって!!」
まるで太陽のようだった、そんな事を満開の桜のような笑いで言われてしまったらその才能の差で挫けて入学を辞退してしまった自分がバカらしく思えてしまうじゃないか……
「じゃあ私も言う、私の友達は凄いウマ娘だって!!」
「うんどんどん言って!!何せ僕は無敗の三冠ウマ娘なんだからね!!」
「尚、俺に負けた模様」
「ココデソレヲイッチャウノ!?」
甲高い声が響くとシダーとランページの笑い声が漏れた、確かにここで言うべきではなかったかもしれないが言ったからこそこの雰囲気も出来た。笑う友人にナンデナンデ!?と抗議するように胸をポカポカと叩いてくるテイオー。何ともほのぼのと言った一ページだ。
「メジロランページさん、貴方のファイナルズのお陰で私はもう一度レースへの情熱を取り戻せました。心から感謝します!!」
「ならその感謝を本選で発揮しな、全国から集まる相手に自分の力が何処まで通じるか試せ。そして―――その気があるならレジェンドレースまで上がってきな」
「はいっ!!」
良い笑顔で返事をするシダーを見ながらテイオーの肩を叩いて、良い友人を持ったなと告げる。テイオーはそれに応えるようにVサインを掲げた、後は二人の時間だろうと思って自分は離れる。それを見てテイオーは自分の好きなはちみーを奨めようと手を取る、シダーはどんななのだろうと思いながら後に続くのであった。
「やぁっ、本当に貴方と会えるとは光栄だね」
その声に振り向いてみれば、その姿に一瞬フラッシュバックが起きた。何故ならばドバイに行く途中の飛行機で見た夢で彼女とは会ったからだ、いやあの人ではない。目の色が違う赤みのある鹿毛に黒目で日本人的な黄色い肌、そう彼女の名前は―――
「ダーレージャパンか、楽しんでもらえてるかな?」
「これは驚いた、私の名前を把握しているのか。これでも一般校出身の何の変哲もないウマ娘なんだけどね」
「よく言うぜ、あれだけの走りをしておいて」
ダーレージャパン、千葉の一般校から参加のウマ娘ではあるが……その走りは圧巻の一言だ、レース経験はないと言っていた筈だが他の追随を許さないとはまさにこの事かと思わされたほどだ。三女神の一柱に似ているのも含めて神に愛されているのかもしれない。
「ダートに出るらしいな」
「ああ、そっちの方が好きなんだ。試してみたけど芝も普通に走れるけどね」
「やれやれ、そんなんで走れちまうなんてな。いるもんだな世の中には天才って奴が」
「こそばゆいなぁ」
「ダーレー、一人でばっかり話さないで私達にも話させてよ~」
「そうです、可愛いランページさんと話させてください♪」
「可愛いってアンタ……」
と、ダーレーの後ろから二人のウマ娘が顔をのぞかせて来た。自分と同じ尾花栗毛のウマ娘と栗色と黒目のオッドアイでウェーブが強めのブラウンの髪のウマ娘だ……が何故か自分を見て可愛いと言った。まあ確かに身長的には彼女の方が上かもしれんが……。
「あ~……ラビットパラベラムとヒッチャキリープだったか?」
「はい、そうです~ご存じなようで嬉しいです~」
「わぁ、かわいい……♪」
「お~い、何で頭撫でんだ」
何故かヒッチャに頭を撫でられている、自分にどこに可愛い要素があるんだ。このウマ娘はひょっとしてあれか、クリークと同じなのかと思い当たる。何故かといえばフローラのような感覚がしないからである。故にそっち方面ではなく純粋に愛でている……自分を、何で?と言いたくなるが、まあうん趣味は人それぞれだから言う事も無いだろう……。
「その辺にして貰えるか、一応威厳って奴は確りしねぇと色々と差し障るらしいから。それ以上は金取るぞ」
「お幾らですか?」
「払おうとすんな」
「なんかゴメンなさい~」
「ああまあ気にしてねぇから気にすんな、そしてまあお前さんはある意味で一番話題になってたぞラビットパラベラム」
「まぁっそうなんですか?」
「ああ、あそこまでコーナーが下手な奴はいないって話題になってた」
あちゃぁ……と言いたげな顔になるラビット。高知トレセンからやって来た彼女だが、彼女は直線勝負掛けては誰にも負けない。異常なまでに直線には強いが、コーナーが致命的なまでに下手くそ。自分も映像は見たが、どうやったらあんなに曲げれないのか全く分からなかった。内に居たのにあっという間に外ラチに向かって行って擦りながらギリギリ曲がっていた。しかも
『ラビット~!!!』
『曲がれ~!!!』
『ラビットパラベラム曲がれ~……と言っていいでしょう彼女にとっては!!外ラチに身体を当てながらも強引に曲がったぁぁぁ!!!今日は曲がれたぞ直線番長~!!』
観客からの声援と実況からこんなことを言われていた。お前はハリボテエレジーなのかチョクセンバンチョーなのかどっちかはっきりしろ、と言いたくなった。我ながらよくも此処まで濃い面子ばかりがファイナルズにエントリーしたものだと言いたくなってきた。
「フフフッバラエティ豊かで素晴らしいレースになりそうじゃないか」
「なんか俺は心配になってきたわ」
「大丈夫ですか、頭撫でます?」
「撫でたいだけだろお前は」
天羽々矢様より
登場したウマ娘は、事情により一部改変する事があり得ます。その際にはメッセージでお伝えいたします。シャゴーグレイドをシダーブレードに変更する事に際しては許可は得ております、天羽々矢様有難う御座います
引退後のメジロランページ
子供や孫が休養の為に尋ねて来てくれるのを楽しみにしている。子供、孫達にも確りと愛される母と祖母として認識されている。が、突発的にレースが始まる事がある。休養なのに休養にならないので其処だけは困っている―――が、何故かレースが始まると調子が上がる。