パーティも無事に終了し、ランページはトレーナー業務へと戻った。今回、ウラヌスという超VIPウマ娘と関係を結ぶことが出来た事は想像以上の財産となった。マスコミが撮影した自分とウラヌスの写真は公開されるととんでもない騒ぎになり、ランちゃんウーちゃんと呼び合っていることが判明すると更に大騒ぎになった。
『一体どこへ向かうつもりなのか』
『独裁暴君、本当に政治に乗り出すのか?』
『名実共に暴君へ?』
と言った物が出回る程度には世間を熱くした。URAの現体制に対して不満を抱いており、それを覆す為の地盤固めと権威確保のためにファイナルズとレジェンドレースを企画したのではないか!?とお昼のワイドショーでは話題になった。ちょうどその番組を見ていたのでその後、自身の配信で明確な根拠も確かな証拠もない上で物を言うのは唯の憶測どころか妄想だぞ、というかンな事興味ないからとバッサリと一刀両断しておいた。
「うわぁ~ん先輩~!!」
「うぉっ!?ってなんだドラランかよ」
「俺は普通にびっくりしたよ……」
上水流と部室でメニューについて意見をぶつけ合っていると来客がやって来た。カノープスのドラグーンランス、ドラランである。
「私、やっぱり悔しいですっ!!」
「何処の芸人だ古いぞ」
「違いますよ普通に悔しいんです!!」
何やらプリプリと怒り出すのだが、ランページ的には何に怒っているのか全く分からない。併走とかで負けたとかか、と思っていると上水流があ~……と納得したような声を出した。
「パーティ関連で忙しかったからな、ほらっジュベナイルフィリーズだよ」
「―――やっべ完全に忘れてた……」
忘れるつもり何て欠片もなかったのに完全に頭から飛んでいた。急に開催する事になったパーティの事で頭が完全にいっぱいだった、これはチームの先輩として何とも情けないことだ……と言ってもパーティの方を優先しなければいけなかったのは変わりなかったのだが……。
ジュベナイルフィリーズに出走したドララン、ランページがまだカノープス所属だった事に特訓していた心は熱く頭は冷静にを漸く実践出来るようになった彼女は先行逃げ切りを図った。ほぼほぼ逃げのようなスピードで逃げ続けていくドラランは先頭を走り続けた。このまま勝てるかもしれないと思った時だった、後方から一気に伸し上がってきたウマ娘がいた。
「さあタイマンだタイマン、タイマンをやるぞドララァァアアアンッッ!!!」
「勝てるもんなら、勝ってみろってんだぁぁぁ!!!」
そう、ヒシアマゾンだった。同じくティアラ路線を目標にしている彼女も出走していた、最後方に居続けたアマゾンは好機を待ち続けていた。そしてラストの直線に入った時に全ての力を解放したのだ。地面が弾けたかのような力強い走りから繰り出される高ストライドの走りは他を圧倒して最後尾にいたはずなのにあっという間に上位にまで食い込んでいった。
『残り200を切った、ドラグーンランスこのまま逃げ切れるのか!!ヒシアマゾン猛追撃、もう3番手いやドラグーンランスまであと2バ身!!!残り100を切るぞ、ドラグーンランス粘り切れるか、いやヒシアマゾンが今並んで、抜いたぁ!!!ヒシアマゾン先頭、そのままゴールイン!!!阪神ジュベナイルフィリーズを制したのはヒシアマゾン!!2着にドラグーンランス、矢張りティアラ路線はこのチームの独壇場なのか、チームカノープスが来年のクラシックで嵐を起こすぞぉ!!!』
ドラランをラストの直線で一気に加速したヒシアマゾンが残り30mで差し切ってそのまま初G1勝利に輝いた。クビ差敗北したドラランは次こそ勝つ!!と息巻いているのだが……矢張り悔しいものは悔しいらしいのだが同じチームカノープスの皆には話しづらいのでプレアデスの自分の所にやって来たのであった。
「G1で二着何て普通に凄い立派な功績なんだけどな……というか君だって重賞ウマ娘じゃないか」
「水流添トレーナーからすればそうかもしれませんけど、ンな事言ったらアマちゃんだってそうですよ。こうなったら桜花賞で今回の仇を取るです」
「その意気込みはご立派だな」
となると次は朝日杯フューチュリティステークスが待っている訳だ、ローレルがクラシック路線だった筈なのでブライアンと激突する事になるのか……時たまリギルからも併走依頼が来る事がある。ハヤヒデの菊花賞対策もその一つだが……その内ブライアンとも走る事になるのかもしれないと考えると武者震いしてしまう。全盛期はルドルフやディープですら上回るという者すら多いブライアン……もしかしたらと思うとワクワクが止まらない。
「あっそう言えばランページさん、チューリップ賞がメジロランページ記念になるって噂って本当なんですか?」
「ああ、何かそういう話があるらしいな。メジロランページとしての初出走が桜花賞な訳だしその繋がりでチューリップ賞が一番なんじゃないかって話が根強い」
ランページの名を冠した記念レース、結局の所芝とダートの両方にするべきだという意見が大多数になり、その方針で行くと決めたらしいが今度はどのレースを記念レースとするかという議論に変わっているらしい。ダートも新しく新設されるダート三冠のトライアルレースにする事は決まったらしいが、距離や何処のレース場かという事でかなり揉めているらしい。
「まあチューリップ賞をそうするならランページ記念が一番正しいと思うけどな、メジロになったのは桜花賞な訳だしメジロランページ記念ってなげぇし」
「なんというか、凄い名誉な事なのにドライというか如何でも良さそうというか……」
「だってどうでもいいもん」
「ランページさんらしいですよね~」
実際問題としてそこまでの興味はない、栄誉な事は理解出来るがそれなら自分が設立したファイナルズとレジェンドレースの方が余程重要度は高い。
「つうかドララン、お前此処に居て良いのかよ。カノープスの方に顔出さないで」
「アマちゃんと顔合わせ難いんですよ~」
「知るか、それだったら俺とイクノなんてどうなんだよ。サッサといけ」
とドラランを追い出しておく。これから本格的に始まっていく彼女らのクラシック、その裏ではプレアデスから初のデビューを飾るマヤノトップガンがジュニアクラスとして名を上げる事にもなる。そして―――世代的に考えて彼女はマヤと戦う事になるだろう。
「南ちゃんが相手か、分かっちゃいたが恐ろしい事この上ねぇな」
「他にもリギルやスピカも相手にしなきゃいけない……考える事が多いな」
「まっ大人は子供の為に苦労するのが仕事よ、マヤヤの脚質を考えたら悩み甲斐もあるってもんよ―――南ちゃんが相手ってのも面白いからな」
上水流は素直に彼女のそんな所を尊敬している。唯一無二の相棒である南坂トレーナー、トレーナー業界でも知らぬ者はいない程の名トレーナー。しかも相棒であるランページの事も知り尽くしているのでこちらの戦略も読まれる可能性だってあるのにそれを全く恐れないのだから……本当に、そういう所が魅力的な人だ。
「それに付き合うのもサブトレーナーの仕事だな、正直困るけどやれるだけやるよ」
「言っとくが逃がさねぇからな、もう運命共同体だからな」
「うわ~い頑張りま~す」
引退後のメジロランページ
ランページには専用の馬房とパドックが用意されているが、これは一種の隔離処置だった。何故かと言われれば、ランページは馬基準で見ても美人だったためである。現役時代はレースに集中していたが引退して落ち着いてから色気が増したのか、牡馬が興奮してしまう事が多々あったので専用のスペースに隔離されるような扱いになった。