貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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378話

年末。あと数日もすれば新たな年へと移り変わる年の末、日本の最後のG1レースも終わり、後はドリームトロフィーリーグを楽しみにするだけかと思っていた人たちが東京レース場に集っていた。日本中から人とウマ娘が集う、東京レース場周辺はまるで日本ダービーの開催日のように盛り上がっており、寒空の下であるのにも関わらず人々の表情は晴れやかでこれから起こる事柄への期待感を募らせ続けていた。

 

第一回URAファイナルズ

 

日本各地のトレセンで予選を潜り抜けたウマ娘達が今日、此処東京に集い雌雄を決する。この記念すべき第一回大会の優勝を手にするのは各部門の1人ずつ、合計5名のみ。この本選に出られるだけでも物凄い名誉な事なのだ。しかもファイナルズに出るのは各地のトレセンに所属するウマ娘だけではない、一般校から出場するウマ娘も多く占めている。何が起こっても不思議ではないという事だけが確定したファイナルズを―――誰もがその開始を待ち詫びていた。

 

『さあ皆様お待たせ致しました、本日は此処府中の東京レース場から実況、赤坂がお送りいたします。そして今回の解説はウマ娘のレースコメンテーターとしてもお馴染み、MCとしても芸人としても活躍しておられるこの方!!』

『ハァ~イ皆さん、ナイスですね~!!どうも斉藤です、本日は宜しくお願い致します!!』

『宜しくお願い致します。さて、通常であればもう大晦日を間近に控えたこのタイミングでのレースはあり得ませんが今年からは違います、いえこれからは通年で熱いレースと共に新年を迎えると言っても過言ではありません。そう―――URAファイナルズ!!』

 

実況の赤坂も思わず熱が入る、まさかこんな舞台での実況を任せて貰えるなんて思いもしなかった。ランページから直接話が来た時は本当に驚いた、そして泣いた。自分にこんな舞台の実況を任せてくれるなんて……そんな思いを感謝と実況に変えて熱いレースをお送りすると。

 

『このレースはあの世界最速にして最強、メジロランページが企画発案、そして設立まで行った日本全土を巻き込んだ大レース、その出場条件に何とトレセン所属であるかなんてことは関係ないという驚きの事、一般校からも多くのエントリーがなされました。そしてダート、短距離、マイル、中距離、長距離の5部門に分けれてレースを行う事になりますが、斉藤さんこのレースの概要をお聞きした時は如何でした?』

『そりゃもう驚きなんてものじゃあありませんでしたが嬉しさも凄かったですね、僕はローカルシリーズの取材とかも行ってましてそこで中央に負けるか、此処に人を呼ぶんだ!!という強い思いで走るウマ娘達の熱意を肌で感じてきました』

 

地方は中央の二軍じゃない、そう叫んだウマ娘がいた。その叫びは真実ではあるが、覆しようのない事実もあった。地方よりもずっと人が集まる中央には地方は勝てない、それでも負けないと走ったウマ娘の努力も中央に届かずに、消えていく。そんな残酷な現実があった。

 

『だからこのファイナルズは心から嬉しいです、なんせ地方どころか一般校から出走するウマ娘もいる訳ですから。まだ見ぬ強豪ウマ娘の出現、オグリキャップのように力を秘めている怪物たちがいるんだと思うともうワクワクしてしょうがないですね!!』

『ですね!!今日、府中でどんな走りが見られるのかという思いでレース場はもう一杯です!!』

 

実況と解説には同意の声が漏れる。トレセン所属のウマ娘達の勝ちが順当だと予想される一方で大波乱が起きることを期待している者も多い。様々な思いが渦巻くレース場にファンファーレが鳴り響いた、そしてそのファンファーレを背中で受けながら地下バ道から主催者たるメジロランページが勝負服を纏って現れた。その手に握られたマイク、そして―――

 

「おはこんハロチャオ~!!」

 

何時ものテンションで挨拶し始めた。こんな時ぐらいは真面目にするんだろうなぁという一部の期待を確りと裏切りながらも、ほぼ全体の期待に応えた。

 

『おはこんハロチャオ~!!』

「おはこんハロチャオ!!」

『おはこんハロチャオ!!』

「アンコール!!」

『おはこんハロチャオ!!!!』

「よ~し。貴方の記憶にワールドレコード、独裁暴君、生涯無敗!!なランページだぜい!!皆の者、善行積んでたか~?さあ遂に来たぜ来たぜ来たぜこの日がよぉ!!URAファイナルズ、だぁぁぁぁ!!!今日という日を俺も待っていたぜ、皆の者は如何だぁ!?」

 

腹の底から放った叫び声に呼応して観客たちも大声を上げる、それは赤坂も斉藤も同じくである。

 

「いやぁ本当に長かったそして本当に大変だった!!日本全国のトレセンとの連携も大変だったけど隠し通すまでがマジで辛かったな!!改めてこの開催にこぎつけるまで協力していただけた全国のトレセンの皆様、そして協力を惜しまなかった秋川理事長とたづなさんに心からの感謝を捧げます!!」

 

頭を下げて感謝を示す。事実、自分一人では絶対に実現できなかったことだ、その為に感謝を示す為に自分は頭を下げた。そしてそれを上げて声を上げる。

 

「この舞台に、トレセン所属であるかなどは関係ない。必要とされるのは自らの意思だ、決意だ、誰であろうとこの舞台に上がる資格がある。今日、このレース場に集った優駿たちはその資格を手にした勇者たち、その走りを目に焼き付けろ、そしてレースに勝利した物にはこのトロフィーと共に第一回URAファイナルズの優勝者として永遠に記録されるであろう!!」

 

懐から取り出されたのは黄金のトロフィー。そこにあったのはターフを駆けるウマ娘を象った勝者の証、勝負服と思われるコートを靡かせながら大地を疾駆するその優美且つ勇ましい姿に誰もが見とれた。ランページとしては少し恥ずかしい部分もある、何故かと言えばトロフィーのモデルとなったのは自分だからである。しかもこれはお婆様とスーちゃんが秘密裏に進めていたので自分も妨害出来ずにいた。

 

『これも創設者の特権よ、誇りなさい』

『そうそう、自分がトロフィーになるなんて滅多にないんだから♪』

 

「(なくて良かったんだよなぁ……)」

 

そう言った物は一切表に出さない、道化は道化らしく振舞うとしよう。そしてそのトロフィーを掲げたまま、ランページは宣言する。

 

「舞台は整い役者は揃い踏み、これより始まる競争は日の本一を競う優駿の集いの決勝戦!!伝説の集いの前夜と思うことなかれ、この場で行われる物は全てが伝説となる。さあ皆の物、世界最強、世界最速が宣言する―――URAファイナルズを、今ここにっ開催する!!!!」




今回で今年の投稿は終わりになります、あっという間の1年でしたね……

来年も、アルト姫をよろしくお願いいたします。それではよいお年を~!!
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