貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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393話

プレアデスが想像以上に凄い事になってきたことに頭痛を覚えて来たランページ、だがアニメのリギルはこれ以上にやばかったと自分に言い聞かせるようにしながら仕事に励む。

 

「こらマヤワザとスピード落とさない!!」

「ワザとじゃないもん~!!」

「ほ~う?ステゴ、今がチャンスだぞ甘く見てるマヤぶちぬけぇ!!」

「やってやらぁ!!」

「うわぁっそりゃ卑怯だよぉ!!?」

 

スタミナを回復させる為に身体の動かし方を学習しているのか、ギアを切り替える時に落とす速度、それを意図的にやってより多くのスタミナを回復させるマヤだがまた教えても居ないやり方を自分に言わずにやったのでそのお仕置きも踏まえて後方のステゴにぶち抜き許可を出す。流石シンザン鉄で順調に強化されているステゴ、デビュー前のマヤにどんどんと迫っていく、対するマヤはギアを上げて一気に逃げ切ろうとする。

 

「も~ランページさんの鬼ぃ!!」

「待てやァ!!」

「やっだも~ん!!」

 

口ではあんな風にいながらも疾走するマヤとステゴ、流石に力の差というのは如実にあるがステゴの伸びは中々の物。デビューしたら逆にどうなるんだろうか……というか一つ忘れていたことがあった。

 

「スズカ、お前どっち行きたい?」

「どっちとは?」

「後お前、少しは抑える事覚えてやれや」

 

いい汗を流して爽やかな雰囲気なスズカの背後には倒れている新入部員こと、キングヘイロー、エルコンドルパサー、スペシャルウィークの三人がいた。スズカにはランニングの付き添いを頼んだのだが……如何やら悪癖が出たらしい。

 

「は、速過ぎるわ……」

「ツ、ツイテ行く、だけで……」

「迷子になるかと……」

 

「あっ……えっと、ごめんなさいね三人とも。今、ジュース持ってくるから」

 

前にも注意して少しは矯正出来たかと思ったが、矢張りスズカの先頭の景色を見たい云々は簡単には無理だという事が分かる。走っているうちに楽しくなってきてしまったスズカに着いて行くだけでも凄い事。流石は黄金世代だ。スズカが持ってきた水分補給用のジュースを飲む三人を見ながら改めてスズカは聞き直してきた。

 

「それでどっちとは?」

「クラシック路線かティアラ路線かって事さ」

 

史実では一応クラシック路線だった筈、皐月賞には出ていなかったダービーには出走した筈。トレーナーとしてスズカは長距離には不向き、競馬ファンの間でもスズカは2000から2200の間だけをずっと走らせるのが一番だという意見もある程。

 

「私は……ただ先頭の景色を見たいですから。でもランページさんが見た事のない景色には興味あります」

「ほぅ?」

「それにサニーと約束してるんです、一緒に大逃げ勝負しようねって」

 

大逃げ勝負とは、普通に聞けばなんと大博打の対決何だと思ってしまうが現役時代にターボとやったりもしたから何も言えなくなる。となるとクラシック路線を想定しておくと考えていいだろう。そうなると長距離適応メニューを考えなくてはいけないが……年単位で取り組まないとスズカに菊花賞は厳しそうな気もするが、その辺りはスズカの成長を見ながら考えるとしよう。

 

「ぷはぁっ……ニンジンジュースが身体に染みるわぁ……」

「カラカラ、ノド、オアシスゥゥ……」

「このジュース美味しいですね……!!」

 

ジュースを飲んで少しは元気になってきているようだが、流石にまだまだ疲労が残っている三人を指さしながらスズカを見る。

 

「俺が一緒の時はマジになってもいいけど、せめて後輩の時は加減してあげなさいや」

「ハイ……気を付けます……」

「なら宜しい」

 

軽く頭を撫でておく、こうするとスズカは途端に機嫌がよくなる。スズカの指導では飴を上手く与えて制御する事を念頭に置いている、与えすぎるのも問題なので匙加減が難しいが南坂に相談しながら色々と工夫しているつもりでいる。

 

「あっそうだ、エアエアにドーベルちょっち来てくれ」

「「はっはい!!」」

 

ミニハードルを使っての100mダッシュをしていた二人を呼ぶ。何事かと焦ったように急いでくるのだが、別にそういう意味ではなかったのだが……

 

「な、何か問題がありましたか!?」

「ああ違う違う、いい時間だと思ってな」

「時間、ですか?」

「応―――元チームの応援といこうや」

 

 

『さあ600を通過!!先頭はサードコースが先頭、サードコースが先頭です!!このまま逃げ切れるのか!!』

 

桜花賞、クラシック路線よりも早いティアラ路線の初戦。『メジロランページ』としての初戦であった、思い入れの深いレースにカノープスからは二人出走している。

 

『さあ直線に入ったところで一気に、一気に大外からヒシアマゾンが来たぁ!!ジュベナイルフィリーズを制したウマ娘は桜花賞を連続して制するのか!?他のウマ娘を圧倒して上がってくるが、此処で同じく並び掛けてくるウマ娘がいるぞ!!オグリ、オグリローマンだ!!オグリローマンが突っ込んできたぁ!!』

 

「負けるかぁ!!」

「へっいい根性してるじゃないかい、タイマンだぁ!!!」

 

スピカのオグリローマンが一気に上がってくる、アマゾンに匹敵するほどの末脚で共に上がっていく。だが一対一の戦いであればある程に燃え上がるのがアマゾン、競り駆けてくる圧を燃料に変えて更に邁進する。このままこの二人の勝負だと思われたが―――最ウチから上がってくるウマ娘がいた。

 

『さ、最ウチの、最も狭い所から飛び出してくるウマ娘がいるぞ!!ドラグーンランスドラグーンランスです!!ドラグーンランスが一気に上がってきた!!今年のティアラ路線はこの三人の激突か!?あのメジロランページ世代を思わせるような三人の対決だ!!さあヒシアマゾンが抜け出すか、それともオグリローマンが押し通るか、ドラグーンランスが貫き通すか!?』

 

「タイマンッだぁぁぁぁ!!」

「オグリさんみたいに、私だってぇぇぇ!!!」

「今度こそ、今度こそぉぉぉぉっ!!!!」

 

ほぼほぼ、三人の身体が重なったまま、拮抗したまま三人の影がゴール板を通り抜けていった。一体誰が勝ったのか、駆け抜けた三人は全身で息をしながらゆっくりと立ち止まった。そして判定の文字が浮かび上がったのを見ると静かにその結果が出るのを待った。

 

「ドララン、アンタその腕……」

「ああ。無理矢理ウチのギリギリを走ったから、擦っちゃったみたい」

 

アマゾンの指摘を受けて腕を見て気付いたのかドラランは頭をかいた。赤くなり血が滲んでいる腕、如何しても負けたくなくて無理をし過ぎた結果だ。だけどドラランに悔いはない。

 

「ローマンちゃんも凄かったよ、アマちゃんに負けない位の末脚じゃん」

「いっぱい練習したから……後ろからタイシン先輩とテイオー先輩とかに追い付く練習を」

「うわっなんだいその練習ってカノープスが言えた義理じゃないけどねぇ」

「アハハッ確かに」

 

レースはまだ完全に結果が出たわけでもないのに、そこには和やかな空気があった。誰が勝っても負けても恨みっこなし、誰が勝っても称賛し今度は負けないと誓う、それこそが正しいあり方だ。そんな中で遂に決着が出た、誰が勝ったんだ……と見た時、そこにあったのは―――

 

『クビ差、クビ差で―――ドラグーンランス!!ドラグーンランス一着、桜のティアラを手にしたのはドラグーンランス!!二着にオグリローマン、三着にヒシアマゾン!!ドラグーンランスがヒシアマゾンへのリベンジ達成!!』

 

「いっ……いっいよっしゃああああああああ!!!!」

「だあああっアタイ三着かぁぁっハナ差でローマンに負けたぁ!!」

「あっちゃぁぁぁっ負けたぁぁぁ!!」

 

一人は喜び、二人は悔しがる。だが二人の顔には悔しさ以上の嬉しさがあった。確かに悔しい、一生に一度しか挑めない舞台で勝てなかったのは悔しいが、同じぐらいに貴重なライバルを得た瞬間だから。二人の瞳は既にドラグーンランスへのリベンジの炎で燃え上がっていた。

 

「ドララン、オークスじゃ負けないからね!!」

「次こそ勝つのは私だよ!!」

「フフンッこのドラグーンランス、受けて立つ腹積もりっ!!なんつって!!」

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