貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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399話

「さてと……」

 

久しぶりの休日、今日はのんびりするぞと決めながらも確りと洗濯掃除やらを行いつつも商店街に買い物やらをしていると何時の間にかお昼になっていた。トレーナーは職業としては非常に多忙且つ時間間隔が不安定になりやすい職業の一つとされている。良くも悪くも担当ウマ娘に集中してしまうので私生活にも問題が出る事が多いとされている中、ランページは基本的に定時退社な上に毎晩缶ビールを一本空けている。そんな彼女が休日にする事と言えば―――作り置きである。

 

「トンカツはこれで良しっと、次は如何しようかな……晩酌用の煮卵でもやっとくか」

 

何方かと言えば休日はガッツリ休むというよりも、平日の仕事終わりはのんびりしたい派なので基本的にそっちで楽出来る為に使う。なのでレンジで温めればすぐに食べられます系を準備する。残った時間は映画などを見たりゲームをやったり、峠に出かけたりする。そんな土曜日、仕込みも落ち着いたので昼食は如何するかな、と思いながらもそう言えばと来ていた出前のチラシを確認する。

 

「一回も取った事ねぇけど利用してみるか?でも寿司桶とか丼ってどうするだろ、玄関先に出しとけばいいのかな」

 

庶民的な事を心配しているとインターホンが鳴った、注文してあった圧力鍋がもう来たのか?と首を傾げつつも一応ハンコを持ちながら玄関へと向かう。

 

「はいは~い今出ますよ~」

 

扉を開けてみるとそこには―――教え子であるキング、エル、スペがいた。

 

「こんにちはランページさん!!」

「なんだスペ達か、如何した今日は遊びに行くとか言ってなかったか」

「そうなんデースが……実は」

「話の流れでこの近くにランページさんが住んでるって言ったら、行ってみたいって事になってしまって……」

 

気まずそうにするキングに遊びに来ました!!感のスペに少し遠慮気味のエル。まあ学園で世話になってる人がこの近くに住んでますという話になれば寄りたくもなるものだろう、特に自分なんてバカみたいな有名人な訳だしそんな人の家に行ってみたいというのも分からなくもない。

 

「まあ折角来たんだ上がれよ。茶ぐらい出すぜ」

「で、でもいいんですか?折角のお休みなのに」

「子供が要らねぇ遠慮しなくていいんだよ、俺がいいって言うんだから上がれ上がれ」

「あっそうだランページさん、お友達も連れて来たんですけど良いですか?」

「応、好きに上がってくれ」

 

後ろに隠れるようにしている二人、まあ黄金世代の友達と言えば……と予想は付くが敢えて詮索はせずに皆を中に招き入れる。自分の自宅という事もあって興味深そうにあちこち見ているが、特段この家に何かがあるという事はない。ツボや絵画もないし、お高い調度品なんても皆無。何処にでもある一般家庭と何な変わりはない。

 

「これがランページさんの御家……なんか、普通な感じ、ですね」

「お高い物でもあると思ったかい?生憎俺はそういうのどうでもよくてな、ニンジンジュースでいいか?」

「ニンジン大好きです!!」

「私も大好きデース!!」

「ちょっと二人とも……!!」

「気にすんな、自分の家だと思ってくつろいでくれ」

 

そんな事を言いながらジュースを用意してテーブルへと運んだ時に漸く顔が見えた二人にランページは漸く会えたなと笑った。

 

「あっランページさんに紹介しますね、此方がお友達のグラスちゃんとスカイちゃんです」

「は、初めましてグラスワンダー、です」

「セイウンスカイです~……いやぁまさか冗談で言ったらマジで来れちゃうなんてね……」

「こいつは如何も、ご存じ独裁暴君のメジロランページだ」

 

煌びやかな黄金世代の一角、グラスワンダーとセイウンスカイ。98世代を語る上で矢張りこの二人も欠かす事は絶対に出来ない。

 

グラスワンダー。エルコンドルパサーと同じマル外、すなわち外国産馬でクラシック戦線に規定で参加出来なかったがその強さは既に轟いていた。朝日杯まで無敗、その強さからマルゼンスキーの再来とまで呼ばれた。そこから骨折によって休養を余儀なくされ、伝説の毎日王冠にてサイレンススズカに初の敗北を喫する事となるが、その後はグランプリレースとされる有馬記念、宝塚記念、有馬記念を三連続で制覇する史上二頭目となる快挙を成し遂げた。

 

セイウンスカイ。葦毛の逃げ馬として有名だったこの馬を語るすれば皐月賞、菊花賞のクラシック二冠という事なのだがそれ以上の事を菊花賞にて成し遂げている。他馬を寄せ付けない逃げ切りを発揮し3000mの当時の世界レコードを更新する走りで菊花賞での逃げ切り勝利。前哨戦となった京都大賞典では年上のG1馬3頭を20馬身以上の大逃げを展開、一度捕まりかけるが、再度の加速で1着。同日の毎日王冠のサイレンススズカと合わせて日本競馬史上、逃げ馬が最も輝いた日と称された。

 

「そう言えば顔合わせるのは初めてか、リギルには最近顔良く出してるけどお前さんはまだ所属するとは決めてないんだっけか」

「は、はいっおハナさんがえっとそのリギルに所属してくれるのは嬉しいけど決めるならじっくり決めた方が良いとっ……!!」

「緊張しなさんな、おハナさんらしい意見だしそれも正しい。なんだったらウチに来てくれてもいいけどな、冗談だ自分で好きな所に決めな。ンでそっちはスピカだっけか、変な事されてねぇか?」

「まあなんか変わった感じはするけど、放任主義って感じは私に合ってる感じはしてますよ。まあ最初にいきなり脚触っていいかって聞かれた時はびっくりしたけどね~」

「えっそんな事聞かれたの?!そんなチームで大丈夫なの!?」

「いやなんかさ、良い脚してると思ってくれたんだってさ。G1取れるぞって褒めてもくれたし」

「でもなんか、いきなり脚触りタイって……なんかちょっと」

 

沖トレそんな事言ったのか……まあいきなり触るよりかはマシなのだろうか、だとしても新入生にそれをやるのはどうかと思うが……そのまま所属してくれるようになったスカイ的には居心地が悪くないと思ったのだろうか……。

 

「まあなんだ、沖トレはそういうところあるけどトレーナーとしての腕は確かなのは保証する、何だかんだで三冠ウマ娘二人にマックイーンも所属してるチームだしな」

「その辺りは心配してないんだけどね~ちょくちょく顔合わせてるけどいつもジュース奢ってくれてるし」

「スカイさん、貴方それジュースで釣られてるって事になるんじゃ……」

「大丈夫大丈夫、奢らせてるだけだから」

「えっそれっていいの!?」

「ニシシッ人心把握術には心得がありましてな~」

 

楽しげに話すスカイに沖トレの事で心配になるキングにスペ、本当にこの世代は仲が良いんだなぁと思わされる。そんな時だった、スペの腹の音が鳴った。

 

「ちょっとスぺちゃん……」

「う~すいません、なんかいい匂いがしたものでつい……」

「そう言えばもう昼飯時か……どうだ、昼飯作るの手伝ってくれるならご馳走するぞ」

「えっ良いんですか!?」

 

これに喰いついたのが食いしん坊筆頭のスペ。

 

「ちょっちょっと無理にお邪魔してるのにそこまでしたら流石に失礼に当たるわよ……!?」

「そうですね、流石にそこまでお世話になるのは……」

 

それは流石にマズいと思う良識派のキングとグラス。

 

「でもなんかランページさんのご飯食べられるなんて滅多にない事だし、食べたいよね~」

「私もデース……!!」

 

マズいと思いながらもランページと一緒にご飯を食べたいと思うスカイとエル。そんな様子を見つつもランページは立ち上がって冷蔵庫の中を確認する、作り置きでもしよう思っていたハンバーグ用の大量のひき肉やらがあるからニンジンハンバーグにする事にした。ニンジンは商店街の八百屋さんの店主さんから貰ったのがあるので問題はない。

 

「気にするなよ、どうせ俺も暇だったんだからよ。昼飯食った後は何だったら家で過ごしてもいいぞ、なんか映画押し付けられちまったしそれでも見る?」

「映画?どんな映画何ですか?」

「いやさ、俺の現役時代のレースを編集したドキュメンタリー映画」

 

メジロ家のウマ娘として協力したのだが、まさか映画にされるとは思いもしなかった……それには全員が反応した。

 

「ランページさんのレース!?是非見たいです!」

「私もデース!!」

「わ、私も興味あります……!!」

「私も見たいね~」

「ああもう、私だって見たいわ!!」

「んじゃ決定だな、んじゃまずは飯作るか。ほら皆手洗え~」

 

そんなこんなありながらも、ランページは黄金世代と一緒にハンバーグを作るのであった。作ったハンバーグをみんなで食べる時にスペが大食いを発揮してキングにツッコまれたり、スカイがその時にこっそりと自分のとすり替えたり、エルが激辛ソースをハンバーグに掛けようとしてグラスに止められたり、キングがテーブルマナーを見せようとして舌を噛んで悶絶したりと楽しい昼食を過ごせた。

 

「あ~あ、ツルちゃんも来れたらよかったのに」

「定期健診だからしょうがないよ、今度誘おうよ」

「応連れてこい連れてこい」

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