貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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遂に400話到達です。

マジかよなんでこんなに続いてるだ。最高記録突破しちゃってるよ。

こんなSSですが、多分まだまだ続くと思います。折角だからタキオンが入ってくるあたりまではやりたいとは思ってるけど、その場合って一体何話になるんだ……?怖くなってきたので考えるのはやめます!


400話

「この前、グラスがお世話になったらしいわね。あの子、うちに正式に入るって言ってきたわ」

「あれまぁ昨日の今日よ、あの子ったら思い立ったら吉日タイプなのかしら」

 

黄金世代と過ごした休日から直ぐに来た月曜日、今日も今日とて仕事を片付けていると珈琲片手におハナさんがやってきた。内容はグラスが正式にリギルに入ったという事だった、土曜日にメールがあって正式に加入したい旨が来たとの頃。

 

「あの子にはもっと広い視野を持たせるつもりだったんだけど、その為にも確りと地に足を付けないとブレてしまうとか中々に良い言い訳を出されちゃったから認めない訳にはいかなかったのよ。まあ将来有望なウマ娘が入ってくれたことは嬉しい限りだけどね」

「でしょうね、ありゃ化けますよ」

「独裁暴君のお墨付きとなると益々期待出来るわね」

 

これもある種のメタ発言なのかなぁ……と思いながらも珈琲を啜る、おハナさんの珈琲は基本ブラックだが、酸味とコクが控えで苦みが強めで中々に美味しい。因みに南坂の珈琲が一番好きなランページである。

 

「あの子ったら、同級生に負けてられないって凄いやる気出してるのよ。休日に何かしたの?」

「スペ達が俺の家に遊びに来たんすよ、そこで一緒に昼飯食ったり映画見ながら駄弁ったぐらいです」

「後なんか、あの子フローラに懐いてたと思ったんだけど少し距離が出来てるような……」

 

本当にした事と言えばそのぐらいだ、映画で自分の戦歴を見直したぐらいだが……まあその時にグラスは頼りになって信頼出来るフローラの本性というか……ドキュメンタリー映画なのでインタビューがあったのだが……

 

「私の全てはランページさんと言っても過言ではありませんね、私の無敗を文字通りに粉砕したあの時から始まった因縁というか奇縁というか記念というか本当に出会えてよかったというのか色々と言葉を尽くせると思うんですけどやっぱりあの人って最高なんですよね私にとって常に追いかけ続ける憧れの存在であって手が届いたと思ってたら直ぐに離れていってしまう所とか色んな意味で堪りませんよね。まだからこそ追いかけ甲斐があるというか私の全てと言ってもいいというか本当に惚れるに値するというかあの人の魅力というのは圧倒的な大逃げだけではなく幻惑逃げもあって私もそれに見事にやられましたしそれで余計に魅了され―――」

 

『アグネスフローラの語りは熱く長かった、本当に長かった』

 

インタビューの場面なのにインタビューが余りにも長すぎるのでナレーションが上書きするように上記を述べて場面が切り替わるというギャグのような扱いになっていた。実際この映画を作る際に各人にインタビューが成されたのだが、フローラのインタビュー時間だけが異様に長く、スーちゃんのそれ5倍の時間もあったという。だが途中途中にランページの走りに対する考察などもあり、そのレベルも高い上にあの暴君と競い続けたライバルのインタビューを使わないという選択はないので、部分部分を切り抜いて使われたりもした。

 

「良いじゃないですか、あいつの化けの皮が剥がれたってだけだし」

「いやこの間まで先輩って慕ってた後輩が唐突に塩対応になったら不安になるわよ」

 

それもフローラの自業自得だ。グラスはフローラのどんなに敗北したとしても首を下に下げずに挑み続けたという不屈の挑戦者的な側面に憧れていた、のだが……実際は不屈でもなんでもなくて一種の執着且つ趣向である事が判明して凹んでいた。

 

『フローラさんのランページさんに対するこの対抗心……見習いたいですね!!』

『い、いやぁこれは見習わなくていいと思うよ……?』

『私もそう思うわ……』

『エルもデース……グラス、如何しマシタ?』

『いえ……なんというか私の理想が少し、泣きました……』

『なんか、ごめんな……』

 

一人の少女の夢を壊してしまったようで妙に申し訳なくなったが……それもこれもフローラに責任の自己責任という事にしておこう、あれだって自分がそうだと言えば受け入れるだろう。

 

「それはそうと、貴方は貴方で大丈夫なの」

「何がっすか」

「人数よ、あの三人もチームに入れるんでしょ。ネメシスの方はあくまで統括しているだけで事実上はサンデーサイレンスのチームだけど、担当チームはもう10人は超えてるんでしょ。幾ら貴方でもきついんじゃないの」

 

スペ達を加えると現在プレアデスは11人、チームを受け持つトレーナーでも此処までの大所帯はそうはいない。東条は実績も経験もあるが、普通のチームトレーナーは出来るだけ人数を抑えようとして大体が5人前後である事が多い。ランページの場合は既にその倍、人数が多ければ多い程に単純にトレーナーに掛かる負担は増えていく。

 

「別に、問題児がいる訳でもないし上ちゃんもいるし俺は何とも」

「いやステイゴールドなんてトレーナーの間じゃ有名過ぎる気性難で問題児よ?」

 

ステゴの気性難は筋金入りで教官の指示は聞かず言葉もガン無視も当たり前、そんなウマ娘を預かっているにも拘らず今の所支障も起きていないランページが可笑しいというのが他トレーナーからの見解。

 

「あいつのやりたくねぇ事はやらせない、やらせる為には焚きつける、そのうえで上下をハッキリさせる。これをやってるだけであいつは結構指示は聞いてくれますよ、単純に格下だと思われてるだけですよ」

「言うわね……まあ本人はそう思ってるだろうけど」

 

逆に言えば素直に従っているランページの事はちゃんと認めてるという事にはなるのだろうが……それがウマ娘としての実力なのかトレーナーとしてなのかが分からないのがステゴの評価を二分している原因なのかもしれない。

 

「今年はマヤがデビューするし本格的に忙しくなるのはこれからでしょうけどまあ何とかなるとは思いますよ、ファイナルズとレジェンド設立で大分鍛えられたし……ああそうだおハナさん」

「何かしら」

「ジェニュイン、マヤにぶつけるつもりなら覚悟しといてくださいよ。今のあいつがどれだけの物なのか知りませんが―――マヤは楽に落とせるほど軟じゃないんで」

 

そう言いながら立ち上がって職員室から出ていくその背中を見送る。そんな事は百も承知、そもそもランページがいるチームを侮るつもりなんてない。ジェニュインの事は元々自分よりも彼女の方がずっと分かっている、スカウトした際に貰ったジェニュインのデータは本当に役に立った、同時にどこまで彼女の事を把握しているのかと言葉を失った程だ。自分が育てたジェニュインとランページが育てたマヤ、元々別のトレーナーが見ていたという点においてはこの二人の関係性は似ている。

 

「有利不利で言えば……此方が不利ね」

 

ランページはジェニュインの事を把握しているに違いない、逆に自分はマヤノトップガンの事を把握しきれていない。だがやるしかない、どんな結果になったとしても悔いだけは残らないようにしなければ……。

 

 

 

「ランページさんなんか私グラスちゃんに避けられてるんですけど何かしたんですか!?侮蔑までは行きませんけどなんか、引かれてる感じがするんですけど!?」

「俺からしたら当たり前にしか思えないからしょうがない。だってお前キモいし」

「そこまででもないでしょ!?」

「タキオンが言ってたぞ、フライト姉さんも同意見だが度々姉さんを姉だと思いたくない時があるから困るよって」

「うわらばっ!!?」

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