貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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402話

「やれやれよう、悪いなたづなさん迷惑かけて」

「いえいえ、元々は此方で内密に処理する筈でしたのに不手際でランページに渡ってしまった事が何より残念でした」

「気にしないでくれよ、俺が処理した方が阿呆共も自重するだろ」

 

そんな会話を職員室の入り口近くで行っていたランページ、理事長秘書であるたづなはトレーナーからすれば上の立場、又はトレーナー業務を行う上でお世話になる事も多く彼女の事を尊敬していたり感謝の念が絶えない者が大半である。そんなたづなが申し訳なさそうにランページに頭を下げてから立ち去った事がどうにも気になったのか、一人の中堅トレーナーがランページに声を掛けた。

 

「なんかあったのか?たづなさん少し困ってたみたいだが」

「何、俺への非難を内々で処理する筈だったのに偶然俺がそこに立ち会っちゃってね」

「あ~……成程、それは確かに学園側としてはちょっとあれな事だな」

 

こういった批判はハッキリ言えばトレーナー業をしていれば頻繁にある事。最も多いのは勝利確実とされていた1番人気が人気的に劣っていたウマ娘に負けてしまった場合はそのウマ娘に勝ってしまったウマ娘のトレーナーに1番人気のファンから批判メールが来ることはよくある。

 

「そういうのは出来るだけ排除されたりとかされてるけど、ウマ娘へのファンメールの中に紛れ込ませたりとか色んな手段講じる奴もいるからなぁ……俺もあったよ。俺の担当がG2で勝った時は15人立てで11番人気だったかな、圧倒的1番人気に勝った時なんてそりゃもう凄かったぜ」

「期待の裏返しって奴よね、まあ俺の場合は、日本の代表としてお前は相応しくない!!とかばっかりだけどね」

「あ~……」

 

ランページに寄せられる大半はそれだ、基本的に未だに配信はしているしテンションは普段のままで明るく楽しくやっている。これが一部の人々には不評を買っている、前例がかの皇帝や至宝である為に不真面目だと捉えられているらしい。

 

「そりゃまあ確かに会長にちゃん先輩に比べたら真面目じゃねえしチャラついてるって言われたら否定はしないさ、だけどそれで俺を否定してどうするんだろうね。あっともうこんな時間か、んじゃ俺はこれで」

 

そう言いながらも職員室から立ち去っていくその後姿を見送るが、そんな中で東条トレーナーの呟きは職員室中に響いた。

 

「今はまだおとなしいだろうけど、マヤノトップガンがデビューしてからもこれだったらあの子は間違いなく行動を起こすわね……下手したら世界中から反応が起きるレベルの」

 

その言葉は冗談には聞こえなかった、何せ彼女は炎上を全く恐れないどころか憮然として態度で食って掛かる相手に拳を向ける。弁護士にも相談してあっという間に裁判の準備整える事も辞さない、加えて背後にいるメジロ家やシンボリ家という権力を使わずとも自分の力で構築したコネだけで十二分な報復が出来てしまう。

 

「それ今のうちに世間に警告しとかないとまずくないですか……?」

「したところで無駄よ。大多数の人間は痛みが伴う事がなければ理解しないわ、一度痛い目を見たらいいのよ、ええっ本当にね」

 

その言葉に職員室内は重い空気が僅かに立ち込めた。東条トレーナーにも経験があるからだ、直近ではフローラに関する事、一番大きなものはルドルフの無敗の記録に敗北を付けてしまった際の事。後日、ランページと話したトレーナーはこの事を沖野トレーナーから聞いたそうだが

 

『あの時のおハナさんはマジでやばかったんだ、本当に憔悴してる感じでな……辞職も考えてた』

 

寧ろ、ランページがある種の行動を起こしてくれることに期待を寄せるのであった。

 

 

「も~遅いよ~!!」

「悪い悪い、たづなさんに口説かれちまってな。全く人気者は辛いぜ」

「下らねぇ事言ってねぇでさっさと入れや」

「んもうステイったら冷たいんだから~タイキ~なぐさめて~」

「Yes!!Come on!!」

 

部室に到着したランページを出迎えたのはむくれたマヤとぶっきらぼうなステゴ、そしてプレアデスの皆だった。確かに遅れてしまった自分が悪くはあるのだが……そこまで言う事は無いだろうに、タイキに抱きしめられて元気を取り戻す。ウムッまだ中等部なのにその胸部装甲は豊満であった。が、スズカからの視線が鋭いので離れておく。

 

「という訳で今回も定例会議という名のお茶会を始めようと思います、が今回は折角日付が日付なのでオークスを見ながらやろうと思います」

 

プレアデスでは定期的に引かれている定例会議という名のお茶会。実際にこれからの方針やらも発表されたりもするので会議とは言えるのだが、実際はチームメンバーの親睦を深める為のだけに行われていると言っても過言ではない、今回スペ、キング、エルは初参加なので緊張していたがいざ来てみると雰囲気が柔らかい為か酷く驚いている。

 

「か、会議って言われたから緊張してたのに……」

「まあ面食らうかもしれないがこれがプレアデスだ、私も面食らった事もあったな」

 

困惑気味のキングにエアグルーヴが笑いながら紅茶を出す、彼女も彼女で合宿の時に同じような経験をしているから言える言葉である。

 

「こ、ここここっこんなおいしそうなケーキ食べて良いんですか!?誕生日でも食べたことないですよ!?」

「あっこのケーキ、マヤが好きって言ったやつ!!」

「気にしないで食べていいのよスぺちゃん、ランページさんの用意してくれるのはおいしいのよ」

「いただきま~す!!おいひぃぃぃっ!!!」

 

誕生日でも見た事がないような大量のフルーツが盛られたケーキに興奮するスペとリクエストしたケーキが来たことに喜ぶマヤ、そして同室のスペに遠慮しなくていい事を伝えると直ぐに食べ始めて喜ぶのを見てニコニコするスズカと早くも仲良くなれているらしい。

 

「エル、これランページさんからデース!!」

「ケッ!?これってチャモヤーダ!?」

「ランページさんに、エルがVery辛い物が好きだと言ったら、用意してくれマーシタ!!一緒に食べましょーウ!!」

「タイキさん……!!一緒に食べマース!!ランページさん有難うございまーす!!」

 

辛い物が好きなエルの為に用意したのはメキシコのスイーツで、マンゴーシャーベットに酸味のあるチャモイソースを加え、チリパウダーをかけたアイス。冷たくも辛いこのアイスは一度食べると病みつきになる程。

 

「「辛いッ!!でもすっぱおいし~♪」」

 

と二人もご満悦。偶然行った峠の麓にあったメキシコ料理店に入ってみた所、美味しかったのでエルも喜ぶかもしれないと思って用意したが大成功だったことに小さくガッツポーズをするのであった。

 

「さてと、オークスは誰が勝つのかな……?」

 

楽し気なプレアデスの声を聞きながらもTVを付ける、今世代のティアラの三強、ドラグーンランス、ヒシアマゾン、オグリローマン。誰が樫の女王となるのだろうか……。

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