貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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405話

『さあ今年もこの日がやってきました、ウマ娘の祭典、東京優駿、日本ダービー!!何と今年のダービーを見る為に押し掛けた人の数は20万人を越えているとの事です!!入場規制もなされており、レース場に入場できないお客さんは外部に設置された大型モニターの前に集まっているとの事です。流石日本ダービーというべきか、年々来場者数は増していると言っても過言ではありません!!これ程の期待が向けられる夢が、世代最強の座を掛けた戦いがこれから行われようとしているのです!!今から私の期待も張り裂けそうです!!!この数のスポットライトを浴びるのはどのウマ娘なのでしょうか!!?』

 

熱狂の渦にある東京レース場、それほどに日本ダービーというのは特別なのだ。ダービーウマ娘という称号は世界のどこに行っても通用すると言っても過言ではない、故にこのダービーはもっとも幸運な者が勝利すると言われているのにも拘らず世代最強と言われる。最も強い者が勝つと言われる菊花賞よりも重視される、それほどまでにダービーという名前が背負う夢と称号は重く、大きなものなのだ。

 

「相変わらずスゲェ人だぜ……オークスにもこんだけ集まれって気分だぜ」

「その辺りは致し方ありませんよ、ダービーという物にはそれほどまでの歴史の重みがあるのです」

「歴史ねぇ……それに縛られて今がダメになったら終わりな気もするけどな」

 

レース場の特別展望個室、VIPしか入れない展望ルームに陣取るのはチームプレアデス。ランページが使えない?と聞いたらどうぞどうぞ!!とスタッフが全員及び腰になったのはステゴが爆笑していた。普段は威張っている大人がランページにひれ伏す光景が面白くてしょうがなかったらしい。

 

「うわぁっこんなところでレース見られるなんて……お、お母ちゃん東京って凄いよぉ……」

「緊張し過ぎよスぺちゃん、ランページさんのチームにいるんだから多分この位は当たり前になると思うわ」

「こ、これが当たりマエデスカ……!?」

「まあ世界最速な訳だから当然よね……お母様が来たとしても此処までの歓待ぶりはないわね」

 

「ここが将来私たちが走る場所……う~ん、なんか凄すぎてなんかイメージできない不具合が私に起きてる……」

「サニー先輩確りしてください、ティアラ路線の私と違ってクラシック路線何ですから。ほらっタイキなんて見てくださいよ」

「イエース!!レースグルメ、ベリーベリーグッドデース!!」

「このドーナッツ美味し~♪」

「悪くねぇな、肉少ねぇけど」

 

思い思いに既にレース場を楽しんでいる面々、それらを見つつもこれからのレースの事を思う。史実の基準で考えるなんてこのウマ娘の世界では無粋だろうが、順当に考えれば此処で勝利するのはブライアンだろうとは思うが……対するローレルも相当な物があるだろうしトラップだって黒沼トレーナーとブルボンにかなりのトレーニングを受けていると聞く。

 

「ランページさんは、勝つのはローレル先輩だと思いますか。それともブライアンさんか」

「さてな、ローレルは既にブライアンを見てない。その先を観ちまってるからな」

「そ、そうなんですか?」

 

ローレルの視線の先にあるのは既に凱旋門だ。ブライアンへの認識は敵ではあるがライバルではなく、共に高め合う仲間としての物が強い。対照的にブライアンはローレルは絶対に自分は越えなければならない相手であり勝たなければならないライバルという認識がある。

 

「その為に俺と走りまくってるんだが……ぶっちゃけていい?」

「え、ええ」

「この勝負、ブライアンはガチで行かないと勝てねぇな」

 

そう断言できてしまう程にローレルは仕上がっている。伊達に世界最速最強の本気と走り続けてはいない、何せ南坂によってかなり厳しめのメニューも熟していたし何ならラスト辺りは自分にも辛いものがあった。

 

「もう二度とやらねぇって決めた走りまでやらされたからなぁ……こりゃマジでローレル行くぞ」

 

レジェンドレースの中距離部門で自分がやって二度とやらないと決意した全力全開全身走法、それを使ってローレルの相手だってさせられた。この時ばかりはマジで相棒にえっ本気でやるんですか?という目で見た、プール調教前の死んだ目のヒシミラクルみたいな感じになっていたと思う。尚、笑顔でハイお願いします♪と言われて撃墜された。

 

「し、しかしブライアンさんの方だってハヤヒデさんやルドルフ会長が相手になったと聞きますが」

「端的に聞くとさ、その二人と俺比べたらどっちが上だと思う?」

 

そう言われてエアグルーヴは言葉に詰まる。実績で言えば間違いなく自分だからだ、と言っても自分だってその二人に対してマウントを取るつもりはない―――だが自分でも想像を超える程にローレルは伸びてしまったのだ。

 

「ブライアン、ガチで行け。でないと……並んで貰えねぇぜ?」

 

 

「―――、―――ん、ブーちゃん!」

「……んっああなんだ?」

 

 

控室、そこでブライアンは鏡を前にして静止していた。先程の事を思い返せば勝負服を纏ってシャドーロールを付けた辺りの事は覚えているのだが……如何にもその後の事が思い出せない。立ったまま寝ていた?いやそれはない、というか快眠だった。姉と一緒の布団で寝たから快眠だった、如何に自分ってやっぱり姉が好きなんだなと思って少しだけ笑ってしまった。そんな自分を呼びに来たのは同級生でもあるサムソンビッグだった。

 

「ああなんだ、じゃないよ何時まで経っても来ないから係員さん困ってたよ?もうコースに行かなきゃいけない時間だよ?」

 

自分の声真似をしながら少し怒ってます&心配してましたと言いたげな顔をしている彼女、サムソンビッグはブライアンにとっては貴重な同級生の友達。その能力の高さとランページに憧れてクールなキャラを目指した結果、余り近づかれなくなってしまった自分だったがサムソンはそんな事は感じた事がないと言わんばかりにずっと仲良しの友達をやっている、ブーちゃんという呼び名も入学して直ぐに友達になった際の呼び名のまま。ある意味で彼女はブライアンにとっては重要な友達でもあった。

 

「すまない」

「緊張してる?」

「いや、緊張はしていない筈だが……なんだろうな、何かを感じてはいる」

「それならハイこれ!」

 

そう言ってサムソンは自分の手に何かを握らせてきた、見て見ると可愛らしい包み紙のチョコがあった。

 

「甘いものを食べると元気になるよ!それじゃあブーちゃん、私先に係員さんに話してくるよ。今日は宜しくね~!!」

 

控室に出ていく背中を見送ってからチョコを食べる、その甘さに口角を持ち上げつつも水で喉を潤してから控室を出る。気づけば心の中にある重さは無くなった、後でサムソンにお礼を言わなければ……と思いながらも地下バ道を抜けてターフへと出る。大観衆の歓声が耳を劈くが、直ぐにそれは聞こえなくなった。自分の後ろから出て来たローレルによって自分の意識はそちらへと向いてしまったからだ。

 

「ローレル」

「ブライアンちゃん、今日は宜しくね」

「……ああ、その気はないな。お前にそんな気はないのだろう」

「うんないよ」

 

あっさりと言ってのけた。それは勝利宣言なのか、それとも……ブライアンはそれ以上追及する気はなかった、ただ一言だけ、自分の気持ちを言っておく必要はあった。

 

「ハッキリ言っておく、私はお前に勝つぞ。私に勝てなければお前は先には進めない、そう思え」

「―――そうだと私も嬉しいよ」




先日、元ばんえい馬だったお馬さんと触れ合う機会がありました。

普通の馬が一般車、プリウスとかその辺りだとすればばんえい馬はダンプカーとか重機ですねあれ……マジでデカかった。でも凄い穏やかな気性で凄いかわいかったです。顔舐められてなんか嬉しかった。

でも力は半端なかったです、軽く鼻で押されましたが普通に後ろにコケました。軽くじゃれてるだけのつもりだから許してあげてと言われましたがやべぇ……ってなりました。

こうなるとウマ娘世界のばんえいウマ娘ってどういう存在なんだろ……気になってきたわ。
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