貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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41話

「驚いたよ、君がメジロ家に入ると聞いた時は」

「勢いもあったけど」

 

お茶会から数日、偶然顔を合わせたルドルフからそんな言葉を投げ掛けられた。何時も通りに自分がハーブシガーを吸っている時の事だった、それに軽く笑いながらも頷くと少しばかり意地悪な顔をした。

 

「どうせならシンボリ家に来てくれても良かったと思うが?」

「それなら断るな、全然親交無いし」

「手厳しいな」

 

冗談だ、と語っているが数割は本音だったのだろうなぁというのが見えている。ルドルフの場合は自分の幸せを願うからこそ、ウチに来ないかという物なのだろう。だとしても自分は間違いなくメジロ家を選ぶだろう。

 

「モンスニー先輩は元気だったか?」

「つっても俺は初見だったから何とも言えんが……元気だったとは思う」

「そうか……出来ればまた会いたいが」

「何嫌われてんの?」

「違う、断じて違う」

 

ムッとなりつつも否定するルドルフ。彼女からしてもメジロモンスニーというウマ娘は尊敬に値する先輩である、シービーとの熾烈な戦いを見て自分も熱くなったらしく、勇ましくありながらも凛として自分を貫き通す姿に憧れ今も尊敬しているとの事。

 

「先輩は怪我による引退でそれ以降はウマ娘に関する事には関わらなくなっているんだ」

「へぇ……でもこの前聞いた話だとメジロ家のウマ娘の指導的な事やってるって言ってたけど」

「……ズルいな」

「自分の家の子を教えるのにズルいも糞も無いだろ」

 

呆れたような瞳を向けるとルドルフは何とも言えない表情を作った。モンスニーはウマ娘としてはもう走っていないが、自分が培った技術などをメジロの後世に伝えている。その中にはメジロドーベルやメジロブライトといった名前があったのをよく覚えている。

 

「区切りって奴を付けてるんでしょうよ、それに偶にシービーは会いに来るって言ってたし」

「私は全然聞いていないが」

「後輩と同期のライバルじゃ差がありますからねぇ」

「……」

 

一瞬無言になると、そのまま去っていくルドルフ。その瞳には何やら僅かな怒りにも嫉妬にも見える炎が灯っているように見えた。モンスニーは面倒見が良かったし、きっと在籍している時はルドルフに世話を焼いたりもしていたんだろう、その縁もあって尊敬されていたのだろう。きっとこの後、ルドルフとシービーが模擬レースをするぞ!!という騒ぎが起こるんだろうなと思いつつもシガーを吹かす。

 

「やれやれだねぇ」

 

そんな言葉を漏らしながらも懐からトレセン学園の生徒証を取り出した。そこには自分の顔写真と名前やらがあるのだが―――これは新しい物、名前の欄が新しくなっておりそこには……メジロランページという名前が刻まれていた。メジロ家のウマ娘となる事を改めて決めた後、名前を如何するか悩んだが……メジロを背負う事にした。

 

「メジロ、ランページ……」

 

これからの自分の名前、新しい自分の名前、その象徴となった名前に色んな思いが浮かび上がってくる。そんな思いを胸にしながらも、これから自分は走るのだ。メジロ家のウマ娘として―――

 

「あっラン此処に居た!!ねえねえねえ聞いて聞いて大ニュース大ニュース!!」

 

そんな事を思っていると自分を探していたのか、ターボが駆け寄って来た。

 

「会長とシービーが勝負するんだって!!2400での勝負だって!!」

「……マジで勝負吹っ掛けたのか」

 

まさかと思っていたがマジでやるのか……早く見に行こう!!と手を引っ張るターボに導かれるようにそのまま歩き出して行く、まあその勝負を見物するのも悪くないかと思っているとそう言えばと話を切り出された。

 

「メジロ家に入ったってホント?」

「まあなって何でそれ知ってんだ、南ちゃんとか理事長辺りにしかまだ言ってない筈だが」

「フフン!!聞いて驚け見て笑え!!実はターボはメジロとは親戚なのだ!!!」

「いや笑う所じゃ……ってマジ!?」

「マジ!!」

 

ターボも実はメジロ家の関係者だったりする。実馬のツインターボの母の母の母の母、高祖母にメジロホープがいるので遠縁にこそなるが親戚という関係になるらしく、そこからランページがメジロに入ったという事を聞いたらしい。

 

「えっ何、実はターボって分家のお嬢様だったりする訳?」

「そんなんじゃないよ~れーぎさほーとかターボ分かんないもん」

「だろうな」

「ムッ今なんかバカにした!?」

「してないしてない。んな事言ったら俺だってわかんねぇもん」

「ターボと一緒~!!」

 

少ししんみりしていたが、ターボを見ていると不思議と元気が出て来る。カノープスのムードメイカーは伊達ではない、ターボが居るだけでカノープス内の士気も自然と上がるので意外とチームリーダーとしての素質もあったりするのではないだろうか……そんな事を想いつつもターボの小さな手を握り返した。

 

「んじゃま取り敢えず、ルドルフとシービーの模擬レース見に行くか」

「行く行く~!!どっち勝つと思う!?」

「2400ってなるとジャパンカップの距離だよな、ルドルフ勝ってるんだよな……まあンな事言ったらトゥインクルシリーズ中はルドルフがシービーに全勝してるんだけどさ」

「ターボはシービー!後ろからギュイ~ンって速くなって一気に追い抜くってカッコいい!!」

「そう言いながらもスタイルは大逃げだよな」

「だってそっちの方が気持ちいいもん!!」

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