貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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412話

「わぁ~い!!こんなにきれいな海始めて~!!」

「全力でっ泳ぎマァ~ス!!」

「また合宿、本当に楽しいで~ス!!」

 

メジロ家のプライベートビーチへとやって来たプレアデスのご一行、今日という日を楽しみにした為に全員が水着を新調している。うら若きウマ娘である彼女たちにとって海というのは一つの戦場、水着一つといえど気を抜く事なんて出来ない……といっても今回来ているのはプライベートビーチなので他に人はいない。いたとしてもそれはメジロ家の関係者、砂浜にある海の家に立っている店員は本来は執事として勤務している人である。

 

「(ランページお嬢様とドーベルお嬢様のひと夏の思い出の為、私張り切ってバーベキューの準備と海の家のあれこれ、そして美味しいトウモロコシを焼かせて貰う所存でございます……!)」

 

 

 

「にしても、本当に貴方って読めないわね……」

「ンだよ俺が水着着て海で泳ぐのがそんなにおかしいか」

「というよりもテンションが凄い高い事に戸惑ってるのよ私は」

 

今年も今年で見事な水着を纏っているステゴ、この合宿で一番ノリノリと言っても過言ではないのが彼女である。

 

「まあいいんじゃないか、どうせ明日からは昨年と同じように大変なんだ。今日ぐらいは確りと英気を養おうじゃないか」

「そうですね」

「それでは~突撃~!!」

「ちょっと待ちなさい!!」

 

マヤが先頭になってダッシュしそうになったのを制止したのは既にプレアデスのブレーキ役という役割を持ちつつあるキングだった。キングもキングで確りと水着を着ているが、上着を羽織っているのもあるせいか他と比べて如何にも真面目な雰囲気があるというか委員長が調子に乗りがちなメンバーを抑えているようにも見える。委員長といえばバクシンオーなので新鮮な光景だなぁ~とランページはしみじみするのであった。

 

「今日は遊んでいいとは言われたものの、合宿なんだから節度を確りと守った上で怪我無く過ごさないといけないのよ。チームプレアデスはマヤさんがデビューしてまさにこれからという勢いに乗らなければいけないのよ。だからこそ此処は一番上であるマヤさんの行動一つがチームの方針そのものになると言っても過言じゃないのよ、だからもっとしっかりしてほしいのよ、といいながらも私もこの合宿は本当に楽しみにしてたから硬い事を言うつもりはないの。海に入る前には準備運動をちゃんとして溺れないように気を付ける事、クラゲとかにも気を付けておかないと痛い目に合うものね、後は―――」

「キング。ちょいちょい、キングさんやキングさんや」

「えっ?」

 

振り向けばそこにはランページが水着でその暴力的なまでのスタイルを活かしていた。その衝撃は母であるグッバイヘイローが滅多な事では水着やらを着ないのもあるが、そのスタイルの良さに驚いてしまった。

 

「ランページさん凄いのね!!?お母様なんかよりもずっとくびれもあるし肌もスベスベの艶々じゃない!?」

「応あんがとさん、それ親御さん聞いたら多分絶対凹むから勘弁して差し上げろ。後さ、俺の代わりにご高説をしてくれるのは有難いだけどさ……誰一つとして聞いてくれてないぞ」

 

指が刺された先には浮き輪やビーチボールなどを抱えて海へとダッシュするマヤ達の姿があった、一応諫める為にエアグルーヴやドーベルがいるがその様子は完全に浮かれており楽しむ気が全開なのが分かる。

 

「私皆が怪我無く過ごせるように安全のしおり頑張って人数分作ってきたのにぃ……!!」

 

手元からバサバサと落ちていく人数分のしおり、キング御手製のプレアデス合宿の安全のしおりと書かれている。兎に角みんなが楽しく合宿を過ごせるように努力してくれたのがよく分かる。

 

「頼みはしなかったが、お前さんって思いの他纏め役としての才能があるんだなぁ。これからはお前さんに俺の助手を頼むかもしれんな」

「と、当然よ!!お母様に色んなことを勉強させられたこのキングに出来ない事なんてあんまり無いしあったとしても出来るようになるまで勉強するんだから!!」

「そりゃご立派だ、まあ兎も角今はほれ海行って楽しんで来い」

 

「キングちゃ~ん早く~!!」

「ビーチバレーやリマショ~!!」

「ハリーハリィー!!」

「んもうしょうがないわね、というかちゃんと準備運動だけはしなさいよ~!!」

 

しょうがないと言いつつも誘われたことに嬉しそうな反応を見せながらも駆けだしていくキング、何だかんだで彼女も年頃の子供である事がよく分かる。波打ち際でボールを追いかけるウマ娘達の姿……実にいい景色だ。

 

「ハ~イエルッ!!」

「YES!!アタック~!!」

「うわわわっ!?」

「マヤノレシーブッ!!」

「ナイスよマヤさん!!スぺちゃん!!」

「スペシャルスパーイクッぶへっ!!?」

「スぺちゃん大丈夫!?」

「何でそこで見事に顔面で受けられるんだ!?」

「ダ~ッハハハハハ!!!スぺっお前最高!!コメディアンでも食っていけるぜ!!」

「ちょっとステゴそれは言い過ぎでしょ!?」

「取り合えず、血とか出てないわね」

「あうぅっ~……こ、今度こそ!!」

 

波打ち際、打ち付ける波を受けながらも水飛沫が舞う。大きく揺れ動く果実に、スレンダーな身体故に素早く動けつつも揺れるそれ、弾けるような笑み、実にいい……こういう時ばっかりは男が出る。こういう目を作るとスズカに鋭い目で見られるので自重する事にしよう、と思いながらもパラソルの下に入っているランページの隣にボクサータイプの赤い水着の上水流が座るのであった。

 

「よぉっ如何だい美少女の水着姿が選り取り見取りの光景は、男からしたら天国だろ」

「下手な目で見られた通報されるんじゃないかって冷や冷やしてる」

「冷めてるなぁ、んじゃ俺をナンパしに来たかい?これでもスタイルには自信あるんだけどな」

「う~ん……なんというか、君をそういう目だと見れないな。なんていうか、仕事仲間という認識が強いというか……」

「それはそれで複雑だねぇ……」

 

そんな事を言う上水流に腕を絡めてみる、そうすると面白いように固まった。成程先程のは見栄だったか。

 

「つまらねぇ事言うなよ、如何だい……夏の一時を俺で過ごしてみたくは……ないか?」

「……ないと言ったら嘘になるけど、なんというか君で過ごすのはキツいよ……いろんな意味で」

「つまらん反応だねぇ……もう少しいい反応寄こしてくれても良いじゃねえか」

「高校の時にウマ娘に告白されたけど断った経験がある俺に隙は無いさ」

「えっなんで断ったの?」

「だって、後が怖いから」

「堅実というか面白味に欠けるというか」

「悪かったね」

 

パラソルから出るランページ、普段はしないような尻を振るような歩き方をしつつもチームメンバーに声を掛ける。

 

「お~いお前ら、確認してみたらバナナボートとかジェットブレードとか出来るってよ。後でやるかい~?」

「バナナボート!?美味しいんですかそれ!?」

「食べ物じゃないわよ!?」

 

そんなやり取りに周囲が笑う中で上水流は深い溜息を吐きながらも顔を伏せた、その顔は赤くなっていた。それは夏の暑さ故……ではない。

 

「勘弁してくれよ……こちとらそういうのに耐性ないんだから……」

 

ランページの行動に色んな意味でドキドキしたからであった。

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