貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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ランページが最近驚いた事。

ダークソウルやアーマードコアやらを作っているフロムソフトウェアが

ぽかぽかアイルー村を開発していた事。


413話

「っ……ゴクリッ……!!!」

 

思わず、生つばを飲み込む音すら声に出してしまう程に魅惑的な光景が目の前にある。真っ赤に燃える炎の熱によって熱せられた網の上で焼かれ、音を立てて跳ねる脂の音に嗅覚を刺激する香り。海で遊びまくった育ち盛りなウマ娘にとってこれほどまでに本能を打ち抜く物はない。だが、まだ駄目。まだまだまだ、もう少し焼くのだ。と待てをされている。抑え込んでいるランページを尻目に海の家を切り盛りする執事は慎重に肉の焼き加減を見極める、まだかまだなのか……もういいんじゃないか?ワザとやってません、私達をじらして楽しんでません!?という思念までもが―――スペシャルウィークの顔から伝わってくる。

 

「スぺちゃん……ナニやってるデスカー……」

「ああっ……恥ずかしい……」

 

目をギラギラさせて睨み付けている友達に頭を抑えたり、顔を覆ったりしてしまう二人。という二人もお腹はすいているので気持ちはよく分かる。そして―――ついにその時は来たのである。

 

「頃合に御座います、どうぞお召し上がり下さいませ」

「いただきますぅ!!!」

 

一番乗りは私ぞ!!と言わんばかりに箸で網の上の肉を取ろうとするのだがそれは寸前で他の箸によって奪われた、それは一足先に動いたステイゴールドによるものだった!!だがスペシャルウィークは負けじとその肉が箸から離れてお好みで調合したタレに浸かる前に光の速さで奪取した!!それを邪魔されるように口へと運ぼうとするのだが焦りからか、指の力が緩んでしまい肉が宙を舞う!!

 

「頂く!!」

「あげませんっ!!」

 

空中で交錯する箸と箸、ひらひらと舞い落ちていく肉。私の物だと互いが主張し合う両者の戦いは刹那の中で行われているのにも拘らず永劫にも感じられ―――

 

「あむっ♪んんっ~Very delicious!!」

 

たのだが、相手の邪魔をする事に必死になっていた為か横槍ならぬ横箸に気づかずにタイキが肉を回収して美味しく頬張った。まあこの肉はタイキのご両親がご厚意で送ってくださった物でもあるのでタイキが一番最初に食べる権利があると言えばある。

 

「「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っっっ!!!最初の一枚がぁぁぁぁっ!!!」」

「何やってんだよこいつら、ほれっカルビやるから元気出せ」

「「いただきます!!」」

 

兎も角大騒ぎから始まった合宿恒例になる予定のバーベキューパーティ。タイキの実家から送られてきた肉にメジロ家で用意した海鮮やニンジンなどなど……大人数のウマ娘が居なければ絶対に食べきれない量の物が準備されているのだが……オグリにも負けない程の大食漢のスペがいる上でどれだけ持たせられる事か……ああいざとなったら追加するが。その位のコネと金はある訳だし……流石に自分の貯蓄がスぺに喰いつくされるなんて事は無い筈だ……うん、ないと断言出来る筈なのに不安になるのは何故なのだろうか。

 

「しかし、去年の合宿のバーベキューも凄かったですが今年はより一層凄いですね……」

「まあ去年は皆で自由に焼いてたからな、その結果として焼き過ぎた肉とかも結構出ちゃった訳だから助っ人をお願いした訳だ」

「僭越ながら私、中学高校大学と鍋奉行網焼き奉行麺奉行と様々な食事イベントを仕切らせていただいた事がございます。食材を焦げさせて無駄にするなどという事は有り得ませぬ、おっとっステイゴールド様此方の骨付きカルビなど良い頃合に御座います」

「頂くぜ!!」

「ズルいです!!」

「スペシャルウィーク様にはこのトモサンカクなど如何でしょうか?」

「貰います!!おいひ~!!」

「ランページ様、お二人の事はお任せください」

 

肉に対しては異様な執着心を見せるステゴ、そしてオグリと勝負できる大食らいのスペを同時に相手取って平然とできる。流石はメジロ家の執事、余裕の顔付でおまけにVサインまで見せてくれる。これは頼りになる。

 

「流石我らがメジロ家の執事だぜ」

「恐悦至極」

「いやこれでそれを実感するのはどうかと……」

 

ドーベルもあの二人を捌き切っている執事の手腕は認めざるを得ない訳だが……というか自分たちの執事がそんな過去があった事に衝撃を受けた……。

 

「お~い食ってるかい上ちゃん」

「ああ、食べてるよキムチ」

「肉食えよ肉」

 

食欲旺盛のままに食べ続けているウマ娘とは違って上水流はキムチをチビチビと食べていた。他にも野菜やら海鮮系も焼いているのにキムチ、何でかと思ったが単純に好みの問題だった。

 

「いやさ……その俺が好きなのってホルモン系なんだよね。でも正直こういう所だと言い難くて……」

「あるぞホルモン」

「えっ嘘」

「お待たせ致しました、ホルモンでございます」

 

執事が出した網の上には脂が大量に滴り落ちているホルモンがあった。単純にホルモンを焼くと炎が強くなるので分けていただけだった模様、それでもホルモンを焼いている炎は他よりも強い。

 

「WOW!!Big big fire!!!」

「ホルモンって、ナンですか?」

「確か内臓とかの事じゃなかったかしら?」

「ホルモンっておいしいの~?」

 

と興味津々なウマ娘達、育ちが良い彼女らにとってホルモンは親しみがあまり無いのかもしれない。そんな皆を他所に炎の中にあったこんがりと焼かれたホルモンを取って頬張る上水流。炎の中にあったそれを取る姿におおっ!!と声が上がる。

 

「ホルモンは良く焼いても美味しいんだよ、中々噛み切れないけど噛めば噛むほどに味が出るんだ。ホルモンはスープとかにいれても絶品だよ」

「俺も好きなんだよな~ホルモン」

「WOW凄い脂デース!!でも、美味しいでーす!!」

「このホルモンにもきっとこのエル特製ソースは……最高にあいマース!!!」

「凄い脂だけど、この噛み応え、凄く気に入ったわ!!」

「おいひ~けど中々噛み切れない~!!マヤ負けないもん!!」

 

と何やらホルモンの美味しさやら噛み応えに闘志を燃やしたりと何とも微笑ましい光景が広がっている。このバーベキューは親睦を深める為にもある、新メンバーも入ってこのプレアデスは益々大きくなってきている。基本的にこのチームは仲間であるライバルが基本ではあるがそれを常に保つわけではない。基本的に仲良しこよし、勝負になったら全力勝負!!なのがプレアデス。

 

「エル、ソースかけるのは良いけど勢いよくやり過ぎるなよ?」

「分かってマース!!」

「分かってたらグラスさんにソースを没収されてないと思うわよ?」

「ケッ!?キング何故それを!!?」

「その現場にいたからよ……確かに勢いよく振らないと出ないでしょうけどあんな勢いで振ったら隣に座ってるグラスさんの鰤に掛かるに決まってるじゃない」

「あの時、グラスちゃん凄い怒ってたよね。凄いニコニコにしているのにエ~ル~って凄い威圧感があって」

「や、やめてくだサイ!!あの時のグラス、もう思いダシたくナイデース!!?」

 

笑い声に所々泣き声、楽しげな雰囲気に包まれてプレアデスの合宿初日、他のチームにとっては合宿前日は過ぎていくのであった。そして―――翌日からは

 

「応プレアデスの小娘共、ハッピーか!?俺も合宿に付き合ってやるから感謝しろよ!!特にスペ!!」

「ケッ!!?サ、サンデーサイレンスサンデース!!?」

 

合宿の本当の顔を、見る事になったのであった。

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