貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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414話

プレアデスの合宿初日、それは楽し気な遊びとバーベキュー、夜には花火大会と楽しいイベントが目白押しだったが翌日からは本格的な合宿が顔をのぞかせ始めた。

 

「ほれほれ全員確り砂を蹴って走るんだ!!別にダート適応を上げようって訳じゃねえが此処まで不安定な足場を確りと蹴り込める事にはメリットはデカいんだ、効果があるか分からない?ほれっ目の前にその完成形があるから見たきゃ幾らでも見ろ」

 

早朝、朝御飯前の軽い運動として砂浜ダッシュが行われる。

 

「去年のあれこれを思い出すな!」

「本当ね、でも前よりもしっかり走れると思うと成長してるのかなって思うわ」

「一番利いてるのはあいつらか」

 

去年も経験している組は確りと走れている。先の貯蓄があるというべきか、これまでも基礎作りに取り組んできた成果が出ているというべきだろう。

 

「ふんぅぅぅっ!は、走りにくいわっ……!!」

 

今年入ったばかりのメンバー、キングはかなり苦戦していた。キングはダート方面の適性が低いというのもあるが矢張り基礎がまだまだというのも一番大きいのか一番遅れてしまっている。

 

「ふぬぬぬぬぬっ!雪の中を走るのに比べたらこんなの~!お母ちゃん私けっぱるべ~!」

「走りにくいよ~でも負けたくもない~!!」

 

次点で遅れているのはスペ。スぺもダートの適性は低い筈だったのだが、如何やら実家で母につけられたトレーニングの中には雪の中を走るという物があったらしく悪路を走る事への経験は強かったらしい。次点はマヤ、マヤはダートの適性はキングやスペ程ではないがある、がそれでも初経験の砂浜ダッシュに苦戦している。

 

「スペちゃ~んにキングにマヤ先輩~エルは先ニ行きマース!!先輩に追い付いて見せマース!!」

 

そんな合宿初体験組の中で最も速いのがエル。彼女は彼女で最もダートの適性が高い為か砂浜ダッシュも軽々とこなせている、この辺りは流石と言わざるを得ない。後は先行している先輩たちに追いつけるように脚の使い方を覚えて基礎能力を磨きをかけるだけ。

 

「負けない、負けないわっ!!ええそうよ、最高の仲間がライバルなんて私は恵まれているのよ!!そんな皆に遅れるなんて、このキングは許さないわ!!絶対に、絶対に追い付いて見せるわ!!」

 

気合を入れ直して砂浜を疾駆するキング。彼女の一番の取柄といえばこの不屈の根性強さ、敗北している今に屈する事無く未来への勝利に向かって走り続ける事が出来る精神性が最も優れている。そんな様子にランページは笑いながら声を出す。

 

「良い根性だキング!!その調子で走り続けろ、全距離G1制覇っつうでっけぇ夢があるんだろ。だったら走れ!!お前の折れない心は最大の武器だ!!」

「ハイッ頑張ります!!」

 

不屈の精神こそが最大の武器、良血のお嬢様としては似つかわしくないかもしれないがキングは上等だと笑い飛ばすだろう。唯一無二のお嬢様として名を刻んでやる、と寧ろ高揚した笑いを浮かべながらキングは砂浜を走り続けるのであった。

 

 

「という訳で朝御飯も食べ終わって今日から本格的に合宿が始まります、まずは一応言っとくけど合宿は基本的にトレセン学園のメニューよりキツいからな。こっちでも配慮して倒れないようにするし注意は配っておくけど、やばいと思ったら躊躇も遠慮もいらんからちゃんというように」

 

砂浜ダッシュの後、美味しい朝御飯を堪能。砂浜ダッシュでお腹が空いていた為に皆パクパクと食べていたので料理長はニコニコ笑顔、特にスペは朝なのに凄いお代わりをしてしまっていた。膨れていた腹も練習時間には凹んできているので本当にウマ娘の消化吸収能力には自分もウマ娘ながら驚かされる。

 

「去年合宿経験してる連中には言うまでもないでしょうけどハッキリ言ってプレアデスの合宿は普通じゃありません」

『でしょうね』

 

と経験メンバーは口を揃えた。それに初体験メンバーは焦る、そんなに厳しいのか、大変なのかと思う中でそんな様子に思わず笑ってしまっているメンバーもいる。それを手を叩いて静かにさせる。

 

「普通じゃねえっていうかチームを率いている俺自身が普通じゃないからっていうのがデカい。俺のコネはハッキリ言ってリギルのおハナさんとかスピカの沖ノッチとかに比べると格段に広いからな、だからビッグネームを引っ張って来れる。事実去年はシルバーストーンにシュタールアルメコア、エルグッツって面子が日本のレース環境に慣れるという名目で顔出してたからな」

「ええっ~!!!?凄いウマ娘さん達じゃないですか!!?」

「海外の、ランページさんと走った面子じゃない!!?」

「凄いデース!!?もしかして、今年もそんな方々ガ!?」

「すっごーい!!!」

 

と期待している中で申し訳ないのだが、そんな予想はあっているようで外れている。いや海外で活躍したスターウマ娘という意味では見事に的中はしているんだ……うん、特にスペには頭を下げたい気分である。

 

「応プレアデスの小娘共、ハッピーか!?俺も合宿に付き合ってやるから感謝しろよ!!特にスペ!!」

「ケッ!!?サ、サンデーサイレンスサンデース!!?」

「うぇっ!?私ぃ!!?」

 

そう、ネメシスの教官ウマ娘ことサンデーサイレンスである。自分は嘘は言っていない、だってサンデーはアメリカのスターウマ娘だからシルバーたちと同じ立場ではあるのだから……うん、嘘は言っていない言ってないと自分に言い聞かせる。

 

「あ~……という訳で普段ネメシスの方で手一杯なサンデーサイレンスさんが合宿の正式な初日から参加してくれることになりました」

「おいランページテメェ俺じゃ不満って言いてぇのかテメェコラ」

「代わり映えしなさ過ぎて新鮮味がねぇって言いてぇんだよ、アンタの顔なんざトレセン学園で見飽きてるわ」

 

まあ実際サンデーに見て貰えるというのは凄い事ではあるのだが、彼女ら的には膨れ上がった期待が一気に萎んでしまった事だろう。だがそんな事は想定済みなのである。

 

「なので追加で初日から他の御姉様方もお呼びしました」

「はぁ~い皆朝御飯ちゃんと食べた~?」

「ランページの頼みを断る訳にはいかんからなぁ」

 

何とやって来たのはマルゼンスキーにタマモクロスだった、カツラギエースが今年も来てるのかなぁと思っていた経験組もこれにはビックリ。

 

「何で態々昨日は存分に遊ばせて食べさせたか分かるか?メリハリつける為でもあるが此処の環境に適応する為でもある、確り食わせて合宿を耐え抜く体力を付けさせる事と英気をたっぷり養わせることが目的だ。つまり―――こっからはマジでキツい合宿って事だ。さっき言ったが配慮はしてやるがそもそもお前らがやる気を持ってやらないと意味がねぇ、さあまずは身体を絞っていくから気合入れて挑めや、こっからがプレアデスの合宿のスタートだ!!」

『はいっ!!!』

 

他のチームがいよいよ合宿を始めようとしている時に、プレアデスの合宿は本腰を入れての開幕が行われたのであった。

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