貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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429話

奇跡は再び起きた。日本ウマ娘による凱旋門制覇、4度目の挑戦で成し遂げられたランページの制覇に続いて連続凱旋門制覇。それを成したのは独裁暴君から逃げる事なく戦い続けていた大華アグネスフローラ。

 

『アグネスフローラ、アグネスフローラ、アグネスッ!!フローラぁぁぁぁぁあぁ!!!!!二着にサクラローレル、やったぁぁぁぁっ!!!花の都パリに春一番!!欧州に咲き乱れるは日本の大華と日本の国花!!フローラとサクラのワンツーフィニッシュゥゥゥッ!!!!日本から巻き起こった花吹雪が今欧州を包み込んだ!!暴君だけとは言わせない、これが日本だ、見たか世界これが私たちのウマ娘ぇぇぇ!!!!』

 

日本が世界に紛れもなく届いた、いや並んだと言っても良い証明と言えるだろう。フローラの記録はランページのワールドレコードと同じ、そしてローレルもそれに迫る物だった。もう極東の島国なんて言わせない、世界の凱旋門でワンツーフィニッシュを飾った二つの華。その美しさに誰しもが驚愕した事だろう。

 

「フフフッアハハハハッ……」

 

瞳から溢れる涙を抑えきれなかった、心の底から溢れてくる嬉しさと感動を制御するなんて無粋な事はしたくはない、笑いが止まらない……震える身体を抱きしめながらも高らかに拳を突き上げた姉の姿をみて思わず……言葉にした。

 

「ああっ……やっぱり、貴方は私の憧れだよぉ……凄いよぉ……」

 

大粒の涙を流しながらも泣いてしまった、友達も姉もいるというのに情けないと思うが感情を抑えきれなかった。やっぱり自分の姉は凄いんだ、世界一の姉さんだ、そんな思いが全身を駆け巡って溢れた。

 

「ポッケ、カフェぇ……姉さんが、フローラ姉さんがっ……ぁぁぁぁぁぁっ……!!!」

「うんうん……タキオン、やっぱり姉さん……凄いねぇ……」

 

フライトがタキオンを抱きしめる。常日頃、余りにも残念な姉故に袖にしていた、してしまっていた。自慢したいのに出来ないと嘆いていた、だけどそれでも……二人にとっては大好きで尊敬出来る姉なのだ、あの世界一のレースを制してしまう程に凄い姉なんだ……。

 

「マジで凄いよフローラさん!!あの凱旋門だぜ!?あれを勝っちまうんだからな!!」

「本当に、本当に凄いです。尊敬に値します」

 

ああっ……その言葉が聞きたかったんだ……私の姉は

 

「世界一だぁ……」

 

 

「フゥッ……負けちゃったかぁ……」

 

自分よりも先に立つフローラを見つつも息を吐く、だが不思議と悔しさはなく清々しい高揚感すらあった。全力を出し切って勝負して敗北した、悔いはないと胸を張っている。そして同時に如何して負けてしまったのかもローレルには分かっていた、文字通りに年季の差だ。

 

「(フローラさんは私よりもずっと長い間、ランページさんの背中を追いかけて来た。私がダービーの間、走った期間なんて比にならない位に……そしてライバルとしての格)」

 

例えランページが絶対的な覇者になったとしても常に挑み続けた、唯々我武者羅にランページに勝つ事だけを考えて。それがこの結果を産んだ、自分があの域に到達するにはまだまだ未熟な上に時間も足りていないと思い知らされた。自分とブライアンはまだまだライバルとしては上を目指せるだけの余地がある、だがフローラは……凱旋門でついにランページに並び立てるだけの格を手に入れた。

 

「敵わないなぁ……流石先輩だ」

「そんなこと、ないぞぉぉ!!」

「うわぁっ!?」

 

後ろからの衝撃に思わず驚いてしまった、肩に頭をのせるようにしながら抱き着いていたのはターボだった。

 

「ローレル本当によく頑張った!!フローラに負けない位に凄かったぞ!!だってクラシッククラスで凱旋門2着だぞ、世界の凱旋門で2着!!ブライアンが三冠ウマ娘になっても絶対に劣ったりしない、今から二人が戦うのが楽しみになってきた!!」

「タ、ターボさん……そう、言って貰えるんですか……?だって私、負けたんですよ……?」

「このレースを見て貴方が負けたなんて誰も思いませんよ」

 

ターボの後ろから南坂がゆっくりと歩み寄ってきた。穏やかでニコやかに笑う彼、その笑みは自分の走りを素直に称賛するものしかなかった。

 

「確かに凱旋門一着はフローラさんの物になりました、ですが貴方はこの凱旋門に何を目指していたのでしょう。ブライアンさんの相手として相応しくなるため、でしょう?貴方の本当の闘いはこれからです、日本で三冠ウマ娘となるブライアンさんとのレース、心待ちにさせて頂きます」

「はいっ……私、立ちます。そして走ります」

 

もうそれでいい、自分はあの人のライバルとして相応しくなるんだ。フローラのように……ランページに挑み続けたあの偉大な先輩のように。

 

 

「凱旋門制覇おめでとうございますアグネスフローラさん!」

 

ウイニングライブの前に、行われたインタビュー。隣には南坂と2着のローレルも共に居る、珍しい方式だが、フローラも代理ではあるものの南坂の担当ウマ娘という事になるのでローレルも一緒という事になった。

 

「日本勢にとっては5度目の挑戦、そして二連覇ということになりますが今のお気持ちは如何ですか!?」

「気持ち……そうですね、最高ですね」

 

おおっ、取材陣からの声が漏れる。矢張りそうだろう、何せこの凱旋門の制覇は日本にとっては史上二人目となる快挙―――

 

「漸く、漸く私はランページさんに並び立つ事が出来た」

「へっ?」

 

なんてフローラからすれば至極どうでもいい事なのだ。日本にとっての夢?史上二人目の快挙?そんなものは豚に喰わせて貰って構わない。此処まで海外遠征を続けてきた理由は唯一つしかないんだ。

 

「私にとって凱旋門の制覇はその為のステップにしか過ぎない、私はあの人と決着をつける為に此処まで来たんだ。快挙ですか、それならば讃えるべきは共にこのロンシャンを走り切り2着となったローレルちゃんです。私よりも経験もなくまだまだ成長途中にも拘らずに二着ですよ。全く以て凄いですよ……本当に凄いよ」

「え、えっと……有難う御座います」

 

急に褒められて困った顔をするローレル。南坂はまあ彼女ならそういうだろうなぁとは思っていた。

 

「そしてローレルちゃんが此処までこれたのも他ならざるランページさんのお陰、そうあの人が居たからこそ私はここに立っているんです。そうランページさん……私のレース人生のすべてはあの人に捧げるに相応しい……」

 

陶酔したような表情になりながら天を仰ぐ、まるで心の底から愛している人への向けての告白のように続ける。

 

「私の全てはあの人の為、ランページさんと漸く肩を並べる所までこれた……それこそが私に取っての最大の勲章、あの人が走ったからこそ私も走ったんですよ分かりますか。そんな事も分からないなら一から語りましょうかあの人の凱旋門がどれだけ凄かったのか、あの大逃げをこのロンシャンであのバ場でやったというあの走りの凄さを理解できないようでは私の走り処かローレルちゃんの激走も理解出来ないでしょうから今直ぐにランページさんの凱旋門を最低10回は見直してその感想を1万文字の感想文にしてください私なら10万文字は余裕で超えますけどね」

 

唐突過ぎるそれに全員が唖然となった、ローレルはあちゃぁ……と言いたげになりつつもこうなりたくはないなぁ……と気を付ける事を心に誓い、南坂は確かにこれはランページも避けるのも道理だなぁ……と納得する。そして

 

「前言撤回だこのアホバカ恥知らずバカ姉さぁぁあああああん!!!!」

「世界中に中継されてんだよ何やってんだぁぁぁぁあ!!!!」

 

日本の妹二人は叫んだ。

 

「なっあいつ変態だろ?」

『そうですね……』

 

ランページはドン引きした顔でプレアデスに同意を求めて全員が思わず頷いた。

 

「そして―――私はそれに勝ちたい、だからこそ私は此処に来たんだから」

 

一転、フローラの顔は所謂シングレ顔へと変貌した。そこには獰猛な敵意と闘争心を抑えきれない獣が居た。

 

「さあ次は貴方ですランページさん、レジェンドレースに私出ますから―――貴方の絶対王政も終わりです」

 

 

「上等だ、倒せるなら倒して見せろよ。この独裁暴君を、メジロランページをな!!!」




良い感じで終わると思ったでしょ、俺も思ってたよ。

でもなんか私の中に居るフローラが叫ぶままに書いたらこうなってた……。ホントシリアス長続きしねぇなこいつ!!!
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