貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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445話

『やっほ~ラン!!おっはよ~!!』

「……」

『あれ?如何したんだ~ラン、元気ないぞ~?』

 

なった携帯をとってみれば聞こえてくるのは久しく聞く友人の声、相も変わらず元気そうで小生意気なバカ弟子であるターボの声がそこにある。本当に元気そうだなぁ……と思いながらもランページは思わずため息を吐いてしまった。それを聞いてターボは自分の溜息なんて珍しい!!と声を上げるのだが思わず携帯を遠ざけてしまった

 

「おめぇなぁ……今何時だと思ってんだ……」

『へっ?お昼だぞ』

「そりゃアメリカの話だろうが……日本は今丑三つ時、時差ってもんを考えやがれってんだこのバカ弟子ぃ……」

 

日本とアメリカの時差は約12~13時間、アメリカがお昼ならば日本はほぼ真逆の時間帯と言っても過言ではない。ターボはお昼の時間帯に電話をしてこの時間ならランも休憩中だろうと思って電話をしたのだろうが普通に寝ていたのに着信音で叩き起こされた上に弟子にこんな事を言われて頭が痛くなっている。本当に日本が御昼どきならバカ弟子と叫ぶところだが、深夜の時間帯にそんな事はしない。

 

『……あっ』

「あっじゃねえんだよこの……ああもういいや、リアクションする気が失せた……ンで何の用だ、態々国際電話なんてしやがって……」

『んっいや大したことじゃないんだけどさ……ターボ、もう直ぐブリーダーズカップマイルに出走するからさ、その前にランの声を聞いておきたくて』

 

今日という訳ではないがターボとテイオーが出走するブリーダーズカップは本当に目の前にまで迫ってきている。その前に話をしておきたかったのは事実なのだ、それを聞くとこれ以上説教をするわけにはいかないと切り替えるようにしながらも座り直しながらも話を聞くことにした。

 

「どうせなら南ちゃんとテイオー、スーちゃんも呼んで来いよ」

『あっ確かに!!お~いテイオーにトレーナーにスーちゃぁああんっ!!』

「あっお前はスーちゃんって呼べるのか」

 

テイオーはスーちゃんと呼んで欲しいと言っても全然呼んでくれないと言う嘆きのメールが来ていたが、一方でターボは普通に呼んでいるらしい。まあテイオーは相手が憧れの会長の御婆様だから呼び難いというのがあるだろうが、ターボの場合はランページのトレーナー代理をしていたお婆ちゃんウマ娘位にしか思っていないのだろう。

 

『ラン呼んできたぞ~!』

『あら~ランちゃん久しぶり~♪元気かしら~』

「元気ではあるけど真夜中に叩き起こされて若干キツいわ、スーちゃんからもターボによく言ってくれよ。電話するのは構わないから時間考えろって」

『は~い、ターボちゃん分かった?』

『うん分かったぞ、時差をよく考える事だねスーちゃん』

『そうよ~やっぱりターボちゃんも良い子~♪』

 

テレビ通話に切り替わった先ではターボを抱きしめて笑顔なスーちゃんと抱き着かれて笑顔なターボがいる、そしてそんな二人を見て反応に困っているテイオーと南坂の姿もあった。

 

『お久しぶりですランページさん、ネイチャさんが天皇賞(秋)を取ったそうで。おめでとうとお伝えください』

「あいよ、そっちは如何だい南ちゃん久しぶりなんだろアメリカ」

『ハハッ良くも悪くも変わっておりませんね』

『ラン南坂さんって一体何なの!?ボク、なんかFBI長官と対談させられた上にアンブライドルドと一緒に写真撮影までしちゃったんだけど!?』

 

如何やらテイオーもある意味で南坂の洗礼を受けたらしい。南坂がアメリカに渡った事は直ぐに伝わったらしく、様々な所から彼の友人が会いに来たようだ。その中にはアンブライドルドとその父親であるFBI長官も含まれていたらしい、尚ターボはドラマや映画でしか見る機会のない超大物の登場に目を輝かせてサインを強請ったりしてしまったが、長官は寧ろノリノリでサインをしてくれた上に逆にターボのサインを欲しがったらしくサインの交換会と写真撮影までしたとの事。

 

「甘いな、俺ちゃんなんて大統領とCIA長官までセットだったんだぞ」

『あっうん、それ出されたら僕絶対に勝てないんだけど……』

「まあ大体は俺がブリーダーズカップクラシックを勝っちまったりとかレディとダイナがそっちのダート戦線で暴れてるのが影響してるんだろうけどな……アメリカはブリーダーズカップで借りを返す!!って意気込んでるらしいが、そっちの空気は相当なもんじゃないのか?」

 

アメリカのウマ娘界はそれこそランページの勝利によって激震だったと言わざるを得ない。それに加えてサンデーサイレンスが日本に移住してしまった事はそれを倍増させていた。何せ、サンデーサイレンスは何故日本に行ったのかを歯に衣着せぬ事無く暴露したからである。アメリカの名門至上主義に嫌気が差した事、気持ち悪さすら感じさせる掌返しなどなど……それらを一切隠すことなく拒絶してしまった。

 

『こちらのウマ娘界は相当に荒れていましたね……名門と言われる所には厳しい目が向けられる事になってそれに抗議が起きたり、いわゆる一般の方々に対する目が変わろうとしていたりいなかったりと……』

「随分な爪痕を残してくれやがってたのねサンデー……」

『それを覆す為にもランちゃんが発案したファイナルズとレジェンドレースを此方でも導入しようって話が本格的に持ち上がってたりするのよ?あれだって元々は中央と地方の関係改善の一環だったんでしょう?』

「いやまあそうだけどさ、まさかアメリカのそこにメスを入れる結果になるとは思わんでしょうよ」

 

そこまでの事は全く考えてなんて居なかったのが素直な本音。この世界でもファイナルズとレジェンドレースを開催する事しか考えていなかった、想像以上の大事に発展してしまっている事に頭が痛くなってくる。

 

『でもそれに私の知り合いは大賛成してるわ、レースはそうであるべきだってね』

「そういうもんかねぇ……」

『アハハハッ……でもさ、ボクはアメリカに来てランの偉大さって奴が分かったよ』

 

珍しくテイオーが自分を持ち上げた、皇帝至上主義とまでは言うつもりはないがシンボリルドルフこそが最も尊敬するウマ娘であるという態度を貫き続けているテイオーとしては珍しい言葉だとは自分どころかターボやスーちゃんもそう思っている。

 

『こうやって海外遠征をしてると本当に大変だって思った、国によって色んな事が違うのにさランは1年間を走り抜けた。そして最後の舞台としてブリーダーズカップを勝った……ボクは会長を越えたって言われてるけど、それを本当にする為にも、ランに挑戦する為のボクになる為にボクは勝ちに行くよ』

『ターボもそう思う。やっぱりランって凄いって思う、ターボの師匠なんだから当然なんだけどやっぱり凄いって思うよ。ターボも頑張る、そしてレジェンドレースでランと戦う!!』

「……ハンッ小娘二人が言ってくれるじゃねえか、俺に勝つだぁ?ワールドレコードの一つでも達成してから言えってんだ―――期待してるよ、勝てよ二人とも」

 

色々言いながらもランページ自身も二人の勝利を心から願っている。そして二人と走る時を心待ちにしている。

 

「南ちゃん、スーちゃん二人の事頼むぜ」

『言われるまでもありませんよ、カノープスのトレーナーですから』

『フフフッ任せて了解よんランちゃん♪』

 

通話を切ったランページは漸く静かになった自室から空を見上げた。

 

「……いい夢が見れそうだぜ」

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