貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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449話

誰よりも先頭で駆け抜けたあの人は言った

 

ついて来れるか?

 

その言葉が、私達を駆り立てる

ドバイで、ロンシャンで、アイルランドで、アスコットで、メルボルンで私達は追いかけた

 

ついて来れるか?

望むところだ!!

 

挑まなければ、並べない

 

BCクラシックが、来る

 

 

ブリーダーズカップ。アメリカのウマ娘界の祭典であり世界でも1・2を争う程の大イベントであり様々なカテゴリーのチャンピオン戦を1度に纏めて開催する大レース。アメリカのトゥインクルシリーズではブリーダーズカップで結果を残す事を最大の目標に掲げるウマ娘も数多い。そして―――あの独裁暴君、メジロランページがブリーダーズカップの中でも最も注目度が高いブリーダーズカップクラシックを制している。

 

「ふぅん……そう来たか!」

 

ブリーダーズカップは二日に別れて行われる。初日はジュニアクラスが対象、そして二日目はクラシッククラス以上のウマ娘が出走するレースが開催される。毎年激しい戦いが繰り広げられるレース、そんな中で今年は更に激しさが増している。

 

『先頭を行くのは日本からの刺客、あの独裁暴君を師に持つと公言している快速ウマ娘ツインターボ!!見事なスタートダッシュから先頭を取っています、他も良いスタートでそれに喰らいついて行けている!!だがその周囲にはローズシアー、シャングリラスノー、スディングビュー、ウエストオブザサンが控えているぞ!!ツインターボの小柄さもある為か、まるで彼女らが壁のように聳え立っている!!』

 

ロケットスタートを決めたターボの周囲には同じように逃げのウマ娘達が控えている。ターボを完全に包囲する陣形が生まれている、小柄なターボからすればこの圧迫感は極めて辛いものがある筈。日本と違って海外は同じレースに出走していたとしてもチームとして動く傾向が強い、故にターボは連携を取る相手をしながらレースをしなければならない。

 

「ぬっ~頑張れターボ~!!ああっ囲まれちゃってる~!!」

 

自らの出番も近いが仲間の出走に我慢出来ずに応援席にいるテイオー、そんな隣にはスーちゃんが控えている。

 

「全員がターボちゃんのドッカンターボを警戒してるわね、至近距離にいればターボちゃんは十分なポテンシャルを引き出せないし急加速しても対応出来る狙いからね」

「それじゃあターボやばいの!?」

「少なくとも此処までのプレッシャーは初めてでしょうね、ランちゃんとよく走り込んでいたと言ってもそれは一対一かカノープスの皆って意味。此処までやられると辛いものがあるわねぇ……本気で潰しに来てるわね」

 

アメリカ勢の走りからこのブリーダーズカップにどれだけ懸けているのかというのがよく分かった。ランページに敗北してからアメリカウマ娘の挑戦は始まった、それはダートだけに限らず芝のウマ娘も同様だった。また何時挑戦者が来るのか分からない、そんな中でトレーニングに励んできた。その成果を今発揮するときだと力を振り絞っている。

 

「確かに、これは来るものがある……!!」

 

走り続けるターボ、常に自分の周囲から強いマークを受けながら走る事はあったが此処までの物ではなかった。ターボは臆病なウマ娘だ、彼女にとって逃げというのは自分の心を保つ為の戦法でもある。だがこんな状況では心を保てない―――以前のままのターボならばそうだっただろう。

 

『さあ間もなく第3コーナーを越えていく、先頭は未だツインターボ!!まだ粘っているが周囲も粘っている、これはもう我慢比べだという状況ではありますがおっとここでウエストオブザサンが落ちていくぞ!!如何した事だウエストオブザサンが下がっていくっいや上がってきたはずのアーリストインターも下がっていく!!如何した事だ!!?』

 

「ターボさんの周囲を囲んで強いプレッシャーで押し潰す、その戦術は想定内です。既にターボさんはその弱点を克服済みです」

 

『さあ最後の直線に入ったぞ、さあローズシアーがスパートを駆けて行く。シャングリラスノー、スディングビューも続いていく、ツインターボを捉えにいったぞさあ行ったぞ行けるのか、行ける、行ける……いけない!?ツインターボ先頭、ツインターボまだまだ先頭だ!!』

 

「こ、この子なんでまだ脚が残ってるの!!?」

「こんな、バカみたいな、ペースで!?」

 

呼吸は乱れている、脚は重い、それなのにターボの心は真っ直ぐに伸びている。負けていない、彼女は既に精神的な勝者となっている。ターボはハイペースで走り続けていた、それは最初から決めていた事だった。周りがどんな作戦で来ようともターボは自分の走りを貫き通す事を決めていた。それは自分にはこの戦術しかないという開き直りでもあるのだが、ターボはそれでいいと思っている。何故ならば―――

 

「さあ行くよっ―――真っ!!ドッカンターボだぁぁぁぁ!!!」

 

『ツ、ツインターボが此処で抜け出していく!!凄い加速だ、一気に壁越えを果たして2バ身から3バ身、いやまだまだ突き放していくぞツインターボ!!信じられない此処までのハイペースが彼女にとっては当然だと言わんばかりの疾走!!日本の快速ウマ娘、ツインターボが今っゴールイン!!2着のローズシアーに6バ身差を付けてブリーダーズカップマイル制覇ぁぁぁ!!今年も矢張り来たぞ日本のウマ娘が、メルボルンカップに続いてG1制覇です!!』

 

「よっしゃあぁぁぁぁっ!!見たかテイオーこれがドッカンターボの威力だぁ!!」

「凄いぞターボ!!」

 

ドッカンターボは誰にも負けない力を秘めている事を信じているから。秋山の86に乗った事で会得したこれをどこまでも極めていくつもりしかない。故にこれでいい、胸を張れる。そして観客席には―――

 

「秋山の兄ちゃん~和美姉ちゃん~!!ターボやったよ~!!」

 

お世話になった二人がいる、なんとターボは自分の賞金から二人にアメリカ行きのチケットをプレゼントしてこのブリーダーズカップに招待していたのだ。自分の走りのもう一人の師とも言うべき渉に走りを見てほしかった。そして―――

 

「見たかラン!!今度はレジェンドレースで勝負だぁ!!」

 

高らかに師に向けて宣戦布告を行うのであった。

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