貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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450話

ツインターボのBCマイル制覇。これはある事実も明確にした。

 

『凄かったのはメジロランページだけなのではなかった』

 

これまで日本のウマ娘に海外遠征は成功とはいえず、失敗ばかりが積み重なっていた。だが同時にそれらの失敗によって得られたものが確実にフィードバックされていたという証明にも繋がっていた。レディセイバー、アメイジングダイナ、メジロパーマー、ツインターボ、トウカイテイオー、アグネスフローラ、ライスシャワー、次々と海外で実績を上げ始めていく日本のウマ娘達。独裁暴君たるメジロランページだけが特別などではなかったことの証明となった。そして―――自動的に同じようにブリーダーズカップに出走を決めているウマ娘にも注目の目が向けられる事になる。

 

『さあ日本の帝王、トウカイテイオーはツインターボに続けるのか。だがこの状況は苦しいぞ!!』

 

ターボの次に出走したテイオーだが、テイオーはターボ以上に苦しい展開となっている。ある意味でアメリカのトゥインクルシリーズの本領が出たと言っても過言ではない。前後には自分をぴったりとマークしている二人、その前に壁を作るように並んで走る三人に守られるように先頭を駆け抜けていく。海外のレースはチーム戦が主流だとは聞いていた、実際にこれまでチームを組んでいた相手を勝ってきたテイオーだが……

 

「随分なマーク戦法を組んで来たわねぇ……」

「ターボさんの勝利で向こうの警戒レベルを最大級にまで引き上げてしまったようですね」

 

元々テイオーはマークされることが決定的だったような、テイオーのG1勝利数は世界的に見てもかなり多い。その多くが日本での勝利だがそんな事は既に警戒の対象にしかなり得ない。それもこれもメジロランページというウマ娘の影響なのだが……

 

「ふぅん……だけど、君たちは甘く見過ぎだね!!この、ボクが一体誰なのかを!!」

 

それでもテイオーは笑みを絶やさなかった。何せこれだけの包囲網を敷かれているという事は逆に自分の実力への評価の裏返しでしかないしこの壁を越えてこそランページへの挑戦権を得ることが出来ると思うと燃えずにはいられない。唯々熱い魂を燃やし続けて揺さぶりにも何の反応を見せてこず、不敵な笑みを浮かべ続けるテイオーは如何見えただろう。恐怖の対象にしか見えないのだ、そして刹那、ほんの僅かに緩んだ包囲網、それを見逃すテイオーではなかった。

 

「ランッこれがボクが編み出した、真のテイオーステップだぁぁ!!!」

真・究極テイオーステップ

 

『ト、トウカイテイオーだ!!トウカイテイオーが包囲の壁を突破したァッしかもこの走りはターフの上を軽やかに飛ぶように走っている!!重力をまるで感じさせないようなステップで次々と越えていくぞトウカイテイオー!!無重力の走りとでも言うべきなのか、トウカイテイオー一気に先頭に躍り出たぁ!!ラストの直線に入るが既にトウカイテイオーは遥か先頭!!ティカネイルも必死に猛スパートを掛けるがこれはもう届かない!!信じられない、トウカイテイオー、日本のウマ娘がこのBCターフでまさかの大差勝ちぃぃぃぃっ!!!トウカイテイオー、日本の王者は暴君だけではないこの自分も王者の一人だと言わんばかりの猛烈な走りでBCターフを制しました!!これで日本が2勝!!これが日本か、我々が勝利を目指す頂きで我々を阻むのは矢張り独裁暴君の故郷、日本のウマ娘だったぁぁぁ!!!』

 

「ハァハァハァッ……で、出来たっ……ランの走り……」

 

全身を完全に連結して一切の力のロスを無くして全てを走りの一点に集約して繰り出す全身走法、そこにテイオーのしなやかで柔らかな関節のバネ、そして海外戦線で指導をお願いしたスピードシンボリがランページから得た全てを注ぎ込む指導を行った。それによって遂に完成させたのはランページの全身走法、そこに自らの切り札であるテイオーステップを惜しみなく導入した走り。スピードシンボリの指導もあって身体の耐久力も向上したからこそ編み出した究極のテイオーステップ。

 

「うんっ脚にも問題はない……」

 

それはある意味でランページの元々の持ち味であったクロスオーバーステップを図らずも取り入れたような物だった。ランページはそれを長年行った事で得た頑強さを使う形で活用しているが、テイオーはそれを自分のステップに組み込んだ。それによって加速しながらであるのにも拘らず周りを囲まれていたとしても重力から解放されたかのような柔軟で軽やかでステップで突破する事を会得している。

 

「相手を抜けば抜く程に加速しているようにも、見えましたね……」

「それはテイオーちゃんのボルテージが上がったからかもね、あの子はルーちゃんと違って元気だから」

 

それを見た南坂は思わず汗を流してしまった、そして彼女がランページと勝負するときにどうすればランページが勝てるかを思わず考えてしまった。少しして彼女は既に現役を引退して既にカノープスから巣立っているなのに何を考えているのかと思った、だがそれはテイオーがそこまでさせる程の実力になった事を示す事にもなっているとスーちゃんに見抜かれていた。

 

「ランページちゃんの背中を追ってあの子達はどんどん強くなる、ランページちゃんと戦うために。彼女たちにとってこのブリーダーズカップに勝つ事は前提条件でしかない、レジェンドレースで走る為の……」

「このブリーダーズカップが、前提条件ですか……いや確かにそうかもしれませんね」

 

南坂は漸く本気で喜び始めたテイオーを見ながらも気づいた事を口にする。

 

「私はランページさんの凄さを知っています、故にターボさんとテイオーさんのそれは確かだと思います。そして同時に―――私も彼女と戦いたくなってしまいました……」

「フフフッそうなると貴方はターボちゃんに着くのかしら?それなら私がランちゃんに着こうかしら」

「そうして下さると嬉しいです、今度のレジェンドレースは―――我々トレーナーも戦うべき舞台になると思います」

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