貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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451話

日本のトゥインクルシリーズは矢張り自国のそれに比べると人気は下火、日本のシリーズまで網羅しているファンが居ない訳ではないがそれでも日本のウマ娘のファンというのは矢張り少ないのは致し方ない。そんな中でも人気なのは三人というか完全な三強状態になっている。一人は日本から世界の暴君へと至り、BCクラシックまでも制してしまったメジロランページ。そして残りの二人はある意味ではランページよりも人気は高いかもしれない。

 

『先頭を走るのは砂の超特急アメイジングダイナ!続くは剣王妃レディセイバー!矢張り先頭を駆け抜けるのはこの二人になっている!!』

 

そう、アメリカのダート戦線に殴りこんで結果を出しているこの二人。アメイジングダイナとレディセイバー。ランページはBCクラシックにのみ出走しているがこの二人はアメリカのトゥインクルシリーズへの長期遠征を行っているのでアメリカでのファン人数という観点ではランページを上回る人気がある。

 

日本ウマ娘のアメリカ初G1勝利をランページに先駆けて成し遂げた日本からやって来たサムライレディセイバー、レディセイバーに遅れながらもその遅れを取り戻すかのような快速の脚で駆け抜けていくアメイジングダイナ。ランページのダートにおけるライバルというのもその人気に拍車をかけた。

 

『先頭を行くのはアメイジングダイナ、レディセイバーもそれに競り駆けて行くがこのペースは破滅的だぁ!!だが今年の我々の代表は一味違うぞ、このハイペースについて行けている!!リベンジを誓うフィフティーマグナ、エーピーインディもスパートの掛け所を見極めております!!ハートオブドゥギー、ドラマティックプラチナも良い走りをしているがこの二人のウマ娘の先頭は揺るがない。あの時のBCクラシックを思わせるようなこのハイペース、誰が抜け出すのはそれとも先頭のダイナとレディが振り切ってしまうのか!!?』

 

「今年こそ、今年こそ貴方に勝つ為に此処に来ているんのよダイナ!!」

「ランページはいないけど、ワールドレコードを破って勝ってみせる!!」

 

ランページが勝利したレースにも出走していた二人にもやはり見えている先頭を駆ける二人の前を走るランページのゴースト。本当にあのウマ娘は世界にどれほどまでの傷を付ければ気が済むんだと思わず言いたくなる。だがそれを感じているが先頭の二人だろう。

 

「(全く本当にどうしてあなたは何時も先頭を走るんでしょうね!!!)」

「(いつもそうやってあなたは私たちの前を走る!!)」

 

結局現役時代には一度も勝てなかったあの暴君、レディに至っては芝の天皇賞(秋)にまで殴りこんで勝負をしたが勝つ事は出来なかった。そしてまだまだ走れただろうにさっさと引退してしまったあの暴君の姿は自分たちが走る度に視界に映るゴーストになっている。これが脳を焼かれたという奴なんだろうなと思うが―――同時には果てしない挑戦者としての魂に火を灯し続けるのだ。

 

「貴方に勝つ為に来たんだ、さあ今度こそ勝たせて貰うよダイナァァアア!!」

 

『さあ最終直線に入ってきた、フィフティーマグナが此処で迫ってくる!!エーピーインディも上がってきている、さあ我らが祖国の誇りを背負ったウマ娘が一斉に先頭の日本へと襲い掛かる!!日の丸という太陽を掲げる国のウマ娘へ力を見せ付けることが出来るか!?後2バ身、あと少しで捕まえ―――

 

「これが私の正真正銘全力全開、さあマックスパワーストロング・アメイジングダイナァァァァ!!」

 

「受けて知れ、これこそが真に迫った是が私の刃ァッ―――!!」

 

い、いやアメイジングダイナとレディセイバーが再び突き放しにかかったぞ!!これは物凄いデッドヒート!!アメイジングダイナとレディセイバーは完全に並んでいる!!これが独裁暴君のライバルの二人の力か!?エーピーインディ、フィフティーマグナだって負けていない!!あと少し、並び立てることが出来るか行けるのかやれるのか!?いや二人が並ばせない並ばせない!!そして、ここでレディセイバーが抜け出していくぞ!!レディセイバー、レディセイバー先頭!!レディセイバーがそのまま、先頭でゴール!!!レディセイバー一着!!二着にアメイジングダイナ、三着にフィフティーマグナ、四着にエーピーインディ、五着になんとかドラマティックプラチナ!!日本がこれでブリーダーズカップで三勝!!これが日本か、レディセイバーがブリーダーズカップクラシックを制したぁ!!』

 

「~……遂に、此処に立てた……」

 

世界のダート王の栄冠と言っても過言ではないBCクラシックの栄冠、それを自分は遂に手にした……チャンピオンズカップで敗れた時に宣言した栄冠、それを得られたことに対する安心感と達成感よりもずっと……ランページに並び立つことが出来た事への喜びが圧倒的に強かった。そして同時に自身が出したタイムにも目を向けた。

 

【1:57.7】

 

1:57.7。スペクタキュラービッドが記録した前ワールドレコードを越えた事を意味するタイムだった。紛れもなく世界の頂点の一角に名前を連なる事を意味する筈なのにレディの表情は何処か嘲笑するかのように、何処か呆れるようで、何処か爽やかな笑みで染まっていた。

 

「まだまだ、先は遠い、か……」

 

現ワールドレコードはランページの出した1:57.5であり、結局自分はランページには届かなかった。あと一歩届かなかった、だとしても自分は誇る事は出来る。この結果を誇らない者はいないだろうし……ダイナも同じことを思っているのは間違いない。

 

「やっぱり遠いですね、あの背中は」

「全くです……また新しい剣を作る日々が始まる……望む所ですがね」

 

目指すべき頂点は果てしなく遠いが確実に迫る事が出来ている、その事をレディとダイナは胸を張りながらもまた一歩を踏み出す事を心に誓った。ブリーダーズカップにおける日本勢大勝利の渦中であっても、二人が目指す者は変わらなかった。

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