ご興味があるから下記のURLからどうぞ。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=310122&uid=11127
『はい、そういう訳ですので帰国はまだ先延ばしになりそうです……』
「ある程度予想はしてたけどやっぱり大変そうか、まあ俺の時の違ってブリーダーズカップの三部門を取っちまってるからなぁ……向こうとしても色んな意味で美味しいネタではあるし」
予想通りではあるが、矢張り南坂の帰国はまだまだ先という事になってしまいエリザベス女王杯には自分が出る事になった。一応佐々田トレーナーもいるが彼も彼でまだサブトレーナーという域を出れていないのでランページがカノープスのトレーナーとしての代理を務める事になった。
「佐々田ちゃんも大変だよなぁまだまだ南ちゃんに助けてほしいのにさ」
「まあ割と慣れて来た面もあるんだけど流石にG1とかってなると流石に、ね」
「それ言っちまったら俺だって一応まだトレーナー歴2年の新人なんですけどねぇ……まあカノープスのメンバーって意味だと上だけどさ」
という訳で京都レース場にやってきたランページは佐々田トレーナーと打ち合わせをしていた。プレアデス、というよりもマヤの方は坂原トレーナーに殆ど担当を任せていたような物なので此方に集中出来る。今回プレアデスの面々はトレセンで上水流トレーナーの下で練習に励んでおり、マヤは坂原と共に京都に来た事になる。
「つっても、エリ女はメインイベントで京都ジュニアステークスの方が先にやるからそこまで心配する事はないんだけどねぇ」
「アタイらの前座って訳だね、景気良く勝ってくれたらアタイらにも弾みが付くってもんだねぇ」
「一応チームは違うって事分かってるかいアマちゃん」
「ランページ先輩のチームな訳ですから、実質的にカノープスの後輩みたいなもんですしお寿司」
控室で準備をしているアマゾンとドラランの二人、初のシニアクラスレースに出走する訳。クラシックという同期とのぶつかり合いではなく経験豊富なシニアウマ娘を相手にレースを事になるのだが二人は極めてリラックスしていた。
「ネイチャ先輩やタンホイザ先輩はジャパンカップに出るしチケット先輩はローレルと一緒に有馬に向けて調整中。そういう意味だとホッとしてる部分はあるね」
「正直、先輩がセッティングしてくれる模擬レースに比べたら緊張なんてしませんよ。というかホイホイとラモーヌ先輩引っ張って来るのやめてくださいよ……初代トリプルティアラと模擬レースとか心臓持ちませんよ」
「だってちゃん先輩とは元同室だし」
「本当、此処が俺とは全く違う点だよなぁ……」
二人が緊張しない理由、それはランページが連れてくる模擬レース相手。佐々田が連れてくるのは同期やティアラ路線志望の後輩などだが、ランページの場合は電話一本でレジェンドウマ娘がやってくるので冗談抜きでシャレにならないレベル相手と模擬レースをさせられる。
『いや模擬レースの相手ってレベルを超越してるぅぅぅぅっ!!?』
『ハッ良いじゃないかい、アタイらが駆け抜けた道を初めて極めたウマ娘が相手をしてくれる、こんな面白い事はないじゃないか!!』
『いやそりゃそうだけど……ああもう、こうなったらどうにでもなれだ!!というかンな事言ったら世界最速最強と走りまくってるんだから怖い物なんてなかったわあっはっはっは!!やったるわ!!』
『いい顔をするのね、ランページに頼まれたから来て上げたけど……存外に楽しめそうだわ』
ラモーヌからすれば他ならぬ同室兼妹からの頼み、だが自分を見ても物怖じせずに真っ直ぐと闘志を燃やす女傑とすぐさま思考を切り替えて覚悟を決めた顔をする竜。久々にルドルフ達以外で楽しい一時になりそうだとラモーヌは心を躍らせていた。
「いやぁ……まさかラモーヌさんと模擬レースやる事になるなんて思いもしなかったですよ……というかマジでランページ先輩は出前取るみたいな感覚でレジェンド呼ばないでくださいよ!?」
「そんな感覚で呼んじゃいねぇよ、出前取った事ないからその感覚分からねぇし」
「そういう問題ではねぇだろう!?俺だってあの時は心臓爆発するかと思ったわ!!メジロラモーヌに指導中ずっと見られててもう生きた心地しなかったよ!!?」
「レースに対して極めて真摯であって真面目なトレーナーやウマ娘に対してはちゃんと力を貸してくれる人だぞ、寧ろ気軽に声掛けた方が喜ぶぞあの人、ちゃん先輩はアンタらが思ってるほど怖い人じゃねえぞ」
それに関しては絶対にランページがそう思っているだけと3人の心は一つになっていた。そんな事を思っていると京都ジュニアステークスの時間が迫っている事に気づいたのか、ランページは一先ずその場を佐々田に任せて坂原と合流する事にした。
「間に合ったか」
「全然余裕だよ、今からゲート入りする所」
観客席の一角に居た坂原と合流することが出来た、前日に配信でマスコミを牽制した結果が出ているのか、自分が姿を見せても人だかりは出来ない事にランページは安堵しつつも改めてターフへと目をやる。8人立てとなるこのレース、京都の2000は秋華賞と同じ条件。と言ってもマヤはクラシック路線なのでそちらには出ないが……初の重賞チャレンジ、緊張などはしていないだろうかと思っていたが如何やら杞憂だったと胸を撫で下ろす。凄く良い顔をしている。
「良い顔してるじゃねえかマヤヤ」
「入り前に緊張を解しておいたからね、その辺りは全然大丈夫だよ」
マヤは初重賞チャレンジにも拘らず極めて自然体を保つ事が出来ている、ゲート入りも難なく成功、他が少しもたついているために出走までに時間がかかってしまっているが良い集中力を保てている。そして―――ゲートが開け放たれた。
『スタートしました!!綺麗なスタートを切りました、テイエムタイヨウが出てきました。外からはジェットテイエム、プロディジーシチー大外から出てきました。ハイパーエナジー、内から圧倒的な一番人気のマヤノトップガンが控えております。がナリタジャックが競り駆けます』
マヤは先行と差しの間と言えるような戦法を取りながらも周囲の状況を観察しながらも駆けて行く。一番人気故に周囲からマークを受けやすいのか、既にマヤは最ウチに封じ込まれるかのような状況になっている。
「これは少し、キツいかな……?」
「小柄なマヤヤからすればあの位のスペースでも十分過ぎるけどな、俺だったらきついけど」
「大逃げの君をマークなんてしたら潰れちゃうよ」
そんな話をしながらもマヤはマイペースに自分のペースを守ったまま進み続けていく、周囲がマークを強めるように迫って来てもスピードを一切緩めないので周囲は苛立ち始めているように見えるが、マヤは淀の急坂が見えてくるとワザと速度を上げた。すると周囲も自動的にスピードを上げたままで急坂へと突入していく。
『さあ淀の急坂に掛かりますが先頭は未だテイエムタイヨウ、ジェットテイエムとの差は1バ身という所でしょうか、プロディジーシチーとハイパーエナジーは少しペースが速いかここでペースを抑えようとしているのか、いや此処でマヤノトップガンがプロディジーシチーとジェットテイエムを抜いて2番手に立ちました!!』
「マヤはこの位の坂なら大丈夫だけど皆は平気なのかなぁ?」
小悪魔のような笑みでそう周囲に問いかければ周囲は苦虫を噛み潰したような顔になる。大丈夫な訳がない。淀の急坂はゆっくり上ってゆっくり降りるのが鉄則、だがマークに集中するあまりにハイペース気味のまま坂に入ってしまった事でペースが乱れ始めた所をマヤは狙い撃ちした。そして下りに入ると一気に加速し始める。
『さあ下り坂に入った所で急加速するのはマヤノトップガン!!急坂を一気に駆け下りて先頭に立った!!さあそのまま直線に入る、此処で後方から一気に迫ってくるのはスキータイイ、スキータイイとナリタジャックが迫って来るがマヤノトップガン速いぞ速いぞ!!2番手が今スキータイイ、だがマヤノトップガンとの差は既に5バ身以上、これはもう決まった!!チームプレアデスのルーキーが連勝街道を凱旋飛行!!マヤノトップガン、二着のスキータイイに7バ身差を付けて初重賞を大勝!!これで無敗の4連勝だマヤノトップガン!!』
「わ~い!!トレーナーちゃ~んにランページさ~ん見ててくれた~!?」
大喜びのマヤは観客席の二人に手を振りながらも周囲の観客にも笑顔を振りまく。無邪気で可憐な笑みから想像出来ない程に強いレースを展開したマヤ、マヤの人気にはこの見た目とレースでの強さでのギャップもあるのかもしれない。
「初重賞も無事に勝利か……さてと、次はいよいよホープフルステークスか……G1か……頑張らないといけないね、これからももっと」
「だな。ここからが本番だぜマヤ、お前が本当のトップガンになれるかはこれからに掛かってる。G1にクラシック、そこにはネメシスを卒業した奴らも含まれてるんだからな」