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エリザベス女王杯をヒシアマゾンが制してから数日の事、漸く南坂とターボ、そしてテイオーが日本へと帰国した。BCを制した二人の活躍は日本でも大きく報じられていたので空港では盛大な歓迎が待っていた。揉みくちゃにされるターボとテイオーに向けてこれからの予定が聞かれるのは当然なのだが……二人はごく自然なように、BCでは言わなかった本当の事を語る。
「ターボの次走?レジェンドレースだよ、それでトロフィーリーグ移籍かなぁ」
「ボクもそうだね、レジェンドレースの中距離にターボと一緒に出るつもりだよ。それで僕も移籍かな」
ごく当たり前のように言ってのけた二人にURAは本気で動揺した事だろう。ドリームトロフィーリーグに移籍してくれることは心の底から安堵しただろうが、それ以上に二人には是非とも有馬記念に出てほしいと思っていたのだから。その事についても記者が触れるのだが二人はそのレースには出ないと返した。
「だってそれに出ちゃったらレジェンドレースに出られないじゃん。ブライアンとローレルと走ってみたいって気持ちがない訳でもないけどさ、ターボはランページと勝負したい」
「ボクもだね。今年がラストチャンスなんだし邪魔しないで欲しいかな」
その時、帝王はその幼げで可憐な見た目からは想像出来ない程の覇気を発してみせた。それに思わず出走について粘る記者はカメラを落としながら腰砕けになってしまった。まるで皇帝がそこにいるかのような迫力にその場が騒然となった、そしてその隣に居ながらもニコニコと笑っているターボとその様子を見ながらも肩を竦める南坂とあらあらうふふと笑うスピードシンボリ。
「あ~あ……こりゃ推薦状出さない訳にはいかないよなぁ……」
溜息交じりに仕事をしているランページ、今年はまだ推薦状の枠を数多く保有しているので出そうと思えば自分が数人分出す事は出来るのである。まああの様子ならばスーちゃんが出す事もあり得るだろうが……一先ずこれで漸くカノープスのトレーナー代理もお役御免になると肩の荷を下ろすのであった。
「ンでテイオーがBCターフを制したご感想は如何でしょうか皇帝様」
「フフフッ……これが嬉しくないと思うか?」
「本当ならその笑い、やめて頂戴という所だけど仕事も捗っているようだから見逃してあげるわ」
生徒会室で手伝いをしている中でお気に入りのテイオーが大活躍している事にご満悦な我らが皇帝様。ラモーヌも本当は一言言いたい所だがやる事は確りとやっているから勘弁してやることにしている。
「しかし本当にレジェンドレースは楽しめそうだ。まさか君と走れるだけではなくテイオーとも走れるとは……これで後顧の憂いもなく望めるという言った所か」
「やれやれ、確りと予選勝ち進んでるから何も言えねぇんだよなぁ……今年は本当に大変な事になるぜな……」
「あらっ私と走るのがそんなに嫌なのかしら、ねぇランページ?」
「そういう訳じゃねぇですけど、今年はマジで海外からの留学参戦者が多くて大変なんすよ……」
国内限定にする筈だったのに、何時の間にか世界的な規模にもなってしまった。自分が作りたかったファイナルズとレジェンドは本当にこんな物だったのかと自問自答した数は知れず、中にはURAを無理矢理動かすような交渉をしてきたウマ娘までいたとウラヌスが言っていた。
「ハァァァァッ……絶対これ後々面倒くせぇ事になる、そのうちマジでジャパンカップがジャパンワールドカップに改名するときが来るんじゃねえか……いやそれだったら新設した方が楽だな」
「私としては非常に胸が躍る話だな」
「同じく」
「出走するだけの身は楽でいいですよね……創設者は忙しくてたまらねぇや……」
ファイナルズもレジェンドも等しく海外からの襲撃を受ける事になっているが、思いの他日本勢が善戦して出走枠を守り切っているのが凄い所でもある。それでも奪われてはいるが……まあそこは本選で勝てばいいだけの話だ。初年度は地方対中央だったのに、今度は海外も加えた三国志状態になるなんて誰が思っただろうか……。
「ちゃっかりこいつもエントリーしてやがるし……どんだけ俺ちゃんのこと好きなんだよ」
ランページが見るエントリーシート、そこにはランページが出走予定のレジェンドレースの中距離2400部門の参加者が羅列されているのだが……そこには現役時代に戦った名前も確りと乗っている。ターボやテイオーとも戦った欧州が誇る快速大逃げウマ娘、シルバーストーンである。
「シルバーストーン、確か彼女は香港でのG1をラストランにして四輪レースの世界に入ったと聞いたが?」
「ご両親がそっち方面の仕事してるんだよ、あいつの応援団だって両親が入ってるチームメンバーなんだと」
「スポーツクラブチームを作ったとも聞いたけど」
「そう。ンで日本に運営のノウハウを学びつつ、日本語学校に通い語学力を養う為に短期留学しますっつってレジェンドレースに殴りこみかけてきやがった……」
サンデーサイレンスだけを相手にすればいいという次元を超えてきている現状に溜息しか出ないが、同時に身体も疼いてしまっている事に呆れてしまう。自分は何処まで行ってもウマ娘という事を実感させられる。
「やれやれだねい……ちゃん先輩、悪いけどこの書類の後始末頼んでも良いかな」
そう言いながら残り僅かになっている書類をラモーヌへと向ける。ルドルフがこんな事しても拒否される、だがラモーヌは少しだけ考えた後にランページの目を見てから言った。
「ええ、いいわよ。その代わり―――万全になさい」
「愛してるぜちゃん先輩」
そう言いながらランページは生徒会室から立ち去っていく、その背中を見送りながらもラモーヌは殆ど終わらせている書類を見ながら最後の判などを押していく。
「随分と快く受けたな」
「あの子の頼みだもの、妹の頼みを聞くのが姉よ。それに―――久しぶりに見たもの、あんな燃えてる瞳は」
「よぉっ南ちゃん、今大丈夫かい」
『はい大丈夫ですよ。ターボさんとテイオーさんはメジロの療養所に送り届けてこれからトレセン学園に戻る所ですが何かありました?』
「悪いけどさ、久しぶりにメニュー組んでくれね?レジェンドレース用の」
『承知しました。ですがターボさんにも流用させて貰う事は許可してくださいね』
「応好きにしてくれ、俺は逃げも隠れもしねぇから存分にターボも鍛えてやってくれ……俺もそれに応えたくなってきたんでな」
『分かりました』
久しぶりに、南坂の愛馬に戻るとしよう……どうせなら全盛期を越えるつもりで高めて見せよう、自らを。
間もなく活動報告の方は締め切らせていただきますのでご了承ください。