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「やっぱり来たっ!!」
「流石!!」
レディとダイナの二人はまるで分っていたかのように笑った。この中で最もランページと戦った二人からすれば最も警戒していたのは彼女だった。共に走ったBCクラシックでもランページに喰らいついて見せた彼女こそが最大の敵だと思っていた。
「しかし、随分と早かったですね!!」
「まだ半ばに入ってないのにね!!」
「アハハハハハッ!!だってこんなに気分が良いんだもん、昂るんだもん!!走らないと収まらないもん!!!」
重度のAC乗りでもあるリンクスにとってランページから渡された招待状は想像以上のブーストになったようだ。白いイレギュラーとさえ言われる彼女の走りはフィジカルに物を言わせたもの、それに精神的なブーストが掛かってしまったらそれこそ手が付けられない程の強さを発揮する。
『さあ間もなく半分を過ぎようとするところですが先頭は未だレディセイバー、そしてアメイジングダイナが続きますが此処でアームドリンクスが三番手にまで上がっておりますが徐々にペースが更に上がり始めております。ナリタイーグルもこのペースに追走しております、そしてエーピーインディ、フィフティーマグナと続いております』
リンクスが入ったこの6人がチャンピオンズカップの頂点を掴むだろうと誰もが思う程にその走りは洗練されている。
「このペース凄まじい……でも、まだまだぁ!!」
唯一海外戦を経験していないが故に世界を知らないと言われるイーグルだが、彼女とて遊んでいたわけではないのは確かだと言わせるような気迫と走りを見せ付けている。それを見てマグナとインディは心の底から笑っていた。
「やっぱり、やっぱりそうだよね!!そういう顔してくれないと!!」
「うんうんっ!!あの人との併走は、力にはなった。為にはなったよ、でも!!」
「「全く楽しくなかった!!」」
エーピーインディとフィフティーマグナ、イージーゴアという最高の併走パートナーを得てチャンピオンズカップの制覇を狙っていたが二人は最初こそイージーゴアの助力を得られる事に興奮を隠しきれなかった。だが走って分かった、このウマ娘に闘争心はまるでない事が分かった。与えられた役目を全うする機械のような理性とレースや走る事への快楽しかない。
『お二人共素晴らしい走りです、インディさん貴方は少々荒々しすぎる部分を直すべきです。マグナさんはペースが滅茶苦茶すぎる所があります、そこを矯正すれば勝てます』
助言は確かに為になった、自分の走りが次のステージに行った事は理解出来た、これでレディとダイナとの戦いが万全にもなるという意識はあったのだ……だが如何しても満足感もなければ充実感もなかった。
『私……イージーゴアさんと走って嬉しい筈なのに全然嬉しくない……』
『あそこまで熱くならない人なんて初めて見た……如何して走ってるんだろう』
彼女も自分達と同じくレースを愛しているのは分かった、そしてそれは共に走れば走るだけ鮮明になった。メジロラモーヌのような愛し方ではなく彼女はレースを愛でている、お気に入りの玩具を愛でるように、作品を棚に飾って愛でるように……レースを嗜好品などのように捉えている。レースに入れ込み過ぎずに冷静にレースに向き合えるという意味ではある種正解ではあるが、二人はそんな彼女を尊敬する事をやめた。自分たちが望むのはそんなものじゃない、ただ勝てばいいんじゃない。己の全てを出し尽くして漸く辿り着くような限界を越えた先にある尊い時間。
「私の刃は、まだまだ先があるぅ!!」
「まだまだまだぁ!!まだまだまだまだぁ!!」
「こんなに楽しい時間なんて、本当に素敵ぃ!!」
「私だって、私だってぇ!!!日本を、舐めるなぁぁぁぁ!!!」
そうだ、この熱さだ。この熱さが欲しかったんだ!!!
「私たちが大好きなレースとは、魂と魂のぶつかり合い!!」
「全力を尽くして相手と走り尽くした決闘!!」
「「私たちが愛するレースは、そういうもの!!」」
『全員良い目をしてやがる!!そうだ、レースとは魂のぶつかり合いだ、テメェの全てと相手の全てをぶつけ合う戦いだ!!勝者は敗者の全てを受けて次へ、敗者は次へと向う為に新たな自分を生み出す!!さあ俺に見せて見ろ、テメェの魂の走りをな!!!』
サンデーの高揚しきった声にレース場も益々ヒートアップしていく。そうだ自分達はこれを見に来たんだと言わんばかりに大歓声が上がる中でウマ娘達は死力を尽くして走る。そんな光景を見続ける一人のウマ娘……イージーゴアは難しい顔をしていた。
「……理解、出来ない。レースは楽しい物、だけど入れ込む物じゃない。そう教わる筈でしょ、全力を出して怪我でもしたらどうするの、もう走れなくなったらどうするの」
最終コーナーを曲がる皆を見て呟いた。彼女にとっては理解を越えた光景がそこにある、イージーゴアにとって世界とは教えられた物全てである、そして教え込まれたものは絶対の筈だった。
「絶対に勝ちたい、そう思えるからこそだよ」
「トレーナーさん」
そんな彼女に答えを与えたのはトレーナーだった。トレーナーはあくまでマネージメントを行うだけの存在、指導などは家が雇った一流のトレーナーなどが行っていたが、彼女からはずっとトレーナーだと言われている。
「心の底から勝ちたい、何があっても勝ちたい、勝負したいって思うからこそああいうことが出来るんだ」
「ですがあのような走りをしたら怪我を―――」
「あんな走りをずっとして世界王者になったウマ娘を君は見たはずだよ」
「―――メジロランページ……」
こんな事を言えば自分はトレーナーの任を確実に解かれるだろうな……下手したらアメリカではもうトレーナー職に就けないかもしれない、だがそれでもいいとさえ思っている。これを伝えずに何がトレーナーか。
「ハッキリ言うよ、君は二流のウマ娘だ」
「私が、ですか……?」
「そりゃサンデーサイレンスさえも見放す位にね、それは何故か―――君はウマ娘として持つべきものを放棄しているから」
「持つべきもの」
「それを、このレースで見極めてみるといいよ」
そうすると、イージーゴアは目を皿のようにしながらレースを見始めた。同時に耳に入ってくる熱の籠ったサンデーサイレンスの解説に赤坂の実況。自分と話す時には絶対あり得ないような言葉の熱さが感じられる。
『さあ残り200を切った!!レディセイバーが先頭、アメイジングダイナも並びかけているがナリタイーグルも粘っている!まだ行ける、行けているぞ!エーピーインディ、フィフティーマグナも食らいつく!!アームドリンクス、アームドリンクスが来ている!!アームドリンクスがレディセイバーに並び立った!!』
『白いイレギュラーと剣の王妃の戦い、どっちだ、いやアメイジングダイナも負けてねぇぞ!!!』
『どうだどうなんだ、チャンピオンズカップの栄冠は誰の手に!!残り後僅か、アームドリンクスが伸びてきているのか!!?』
「ァァァアアアアア!!!!」
『アームドリンクス、アームドリンクスがハナ差!!ハナ差でレディセイバーを抑えて1着!!レディセイバー2着、3着にエーピーインディ、4着にアメイジングダイナ、5着にナリタイーグル!!フィフティーマグナは6着!!』
言葉にならない叫びを上げながらゴール板を駆け抜けていったアームドリンクス、そして彼女は勝利と共に腕を振り上げて腹の底から勝鬨を上げた。その勝鬨にイージーゴアは何か胸の内が熱くなるようなものを感じていた。
黒将ムッちゃん引けました!!素直におっしゃ!!ってなった。
特別編に関するアンケート
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ランページが未来に行く
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未来からランページ産駒来襲
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そんな事よりドゥラ出す為に本編書け