貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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476話

「勢いで酒飲んじまったなぁ……まあこの程度じゃ酔わんが……」

 

アルコール臭を消す為にチョコミントアイスを食べながらも周囲を見る。なんというか前回のパーティーよりも人が多い印象を受ける。前回は前回で初の開催だったしその関係だろうが、その盛り上がりを見て遠慮なく来たという解釈で良いのだろうか……まあ自分は既に運営に関わってないのだから興味分からないが。

 

「あっランページさん!!」

「んんっ?」

 

そんな自分に声を掛けてくるウマ娘、周囲はなんて勇気があるんだ……という畏怖の念が向けられる。まあそういう立場か自分は……と思う一方で誰かと思ったがある意味このパーティの始まりに相応しいウマ娘だ。

 

「シダーじゃねえか、今年も上がって来たか」

「はいっ!!」

 

テイオーの友人であり第一回URAファイナルズ中距離部門初代チャンピオン シダーブレード。今年も此処まで上がって来れたらしい。だがその顔には何処か決意めいたものがある。

 

「あの時のお約束通り、私レジェンドレース出場権を勝ち取って此処まで上がってきました!!」

「そうかテイオーとの勝負に来たか」

「はいっ!!」

 

あの時のパーティでその気があるならレジェンドレースまで上がって来いと言ったがまさか本気で此処まで上がってくるとはだれが思っただろうか。しかも彼女は一般校出身のウマ娘だ、それが魔境であるレジェンドレースに殴り込みを掛けて来た。

 

「中距離部門に出走登録してます、私はまだまだ至らぬところも沢山あって未熟なウマ娘である事は自覚しておりますが胸を借りるつもりで、清水の舞台から飛び降りるような心持ちでこの伝説の舞台に馳せ参じました!!」

「うむっその意気や良し!!自らの脚でよくぞここまで駆け上がってみせた、初代王者よ、この伝説の舞台で相まみえる時を楽しみにしておくぞ!!」

「ははぁっ……このシダーブレード、身命を賭して伝説に挑む所存!!」

 

突然すぎる事に周囲は言葉を失うのだが、直ぐに二人は笑い声を上げたのであった。

 

「よっくもお前、合わせられたな!!あ~笑った笑った」

「いやぁテイオーとこんな感じのバカ騒ぎとかよくやってましたから、というかランページさんもノリ良すぎですよ~本当にご令嬢なんですか~?」

「こんなガラ悪くて問題ばっか起こす令嬢がいて堪るかってんだ!!強いて言うならば悪役令嬢だっつの」

「いやいやいや、傍若無人の悪の暴君ですよ~」

「こりゃ一本取られたか、まあいい楽しめよ」

「ハ~イ!!あっテイオ~!!」

 

仲良くやった後、シダーはテイオーを発見したのか其方に走り出していく。テイオーと抱き合ってキャピキャピと楽し気な雰囲気を作る中で周囲はシダーを畏怖の目で見ていた。あの独裁暴君とあんな風に喋る事が出来る相手なんて滅多に居ない、もしかして凄いウマ娘なのでは……と色んな意味でシダーが目を付けられ、大手出版社などから声が掛けられる事になるのはまた別の話。

 

「貴方がメジロランページですね」

「はいはいお次はどなたでしょうか」

 

今度は誰だ、前回のパーティで耐性は付いてるぞと思っていたがまたすごいのが来たとため息が出そうになった。何というか、ゴテゴテの装備というか艦装を付けて海の上で砲撃戦をしているような見た目のが来た。そんな自分の内心とは裏腹に優雅な礼をしてみせながら自己紹介をした。

 

「お初にお目にかかります。私、イギリスから参りましたウォースパイトと申します。かの王であらせられるメジロランページ様にお会い出来て光栄の極み」

『猫被るのはその辺りにしとけ、アンタのせいで海外ウマ娘の大量受け入れなんて事をURAが容認しちまったんだ。ったく下らねぇ事で因縁つけて外交持ち出すんじゃねぇよ』

「―――あらっとてもストレートな事」

 

ワザと英語で返した事で彼女の気質を刺激して本性を出させる。サンデーのことを考慮して海外ウマ娘の留学やらは考えていた、だがそれを大々的に公表した上で利用したのがこのウォースパイト。日本でいうメジロやシンボリのように彼女の家は名家。しかもイギリスで英国の至宝、クイーンという異名すら取る程の超大物。許可は出す予定だったのに想像以上の存在が出てきたことにURAは大慌て、しどろもどろしている所に

 

『外交問題にされたいのかしら?』

 

と心理的な圧力をかけて出走権利を獲得、なんとも英国らしいやり口。が、これによって各国から日本に留学という形で出走を希望するウマ娘が殺到してしまった。今回、ファイナルズとレジェンドレースに海外ウマ娘の参加希望者が多かったのはこのウマ娘のせいだ。

 

「貴方が長距離に出ないのが残念でならないわ、何方が上か試してみたかったのに」

「生憎そっちに出る気は無くてな」

 

彼女が日本に来た理由は本国でも低迷気味である長距離レースの新興、彼女自身の強さもあるが長距離レースは徐々に衰退気味であるらしくその解決策として注目しているのがファイナルズとレジェンドレースらしく、そのノウハウなどを持ち帰る為に出走するのだという。

 

「まあ精々に賑わせてくれる事を期待するぜ」

「知っている?英国のウマ娘はレースと恋愛は手を抜かないの」

「知らんし興味もねぇよ、まあ期待だけはさせて貰うぜ女王様」

 

強気なお嬢様だ、肩を竦めたくなってきた。だが実際彼女の影響を受けて留学希望ウマ娘が激増して各トレセンが悲鳴を上げたのは事実、まあこの場合は問題もないのにさっさと許可しなかったURAと言えなくもないのだが。

 

「わたくし参上ですわ~!!!」

 

賑やかなパーティ会場に一際賑やかなウマ娘がやって来た。薄い桃色の長髪が生えるような白いドレスと白い帽子を被っているが、如何にも見覚えがあるような気がする……一体誰だっただろうかと思っているとそんな彼女が自分を見つけたと言わんばかりに首を動かして駆け寄ってきた。

 

「貴方がメジロランページ様ですわね!?心からお会いしたかったですわ!!本日は素敵なパーティへご招待くださってありがとうございますわ!!」

「そりゃどうも、というか今回招待したのは俺じゃなくてURAではあるんだけど」

「Ohそうでしたわ!?いいえでもこのレースの創設者である貴方に会う為に来たと言っても過言ではありません、ですからわたくしは間違っておりませんわ~!!申し遅れました、わたくしソウマフィオーレと申しますわ!!フィーとお呼びくださいませ~!!」

 

お~っほっほっほっほ!!!と手を添えながら高笑いするウマ娘、なんというか日本人がイメージするお嬢様に近いものがあるというかなんというか……兎に角元気があり過ぎる、先程のウォースパイトが可愛く見えるレベルで超元気だ。

 

「今回、わたくしはファイナルズに出走する事になったのは師匠にこう言われましたの。こほん、今の自分の実力を知り、上を知りなさい!!とそれで此処まで来ましたの!!」

「そりゃ凄いな、んでお前さんの師匠って……」

「イブビンティですわ!!」

 

それを聞いて思い出した、自分が更新する前のワールドレコードが生まれたジャパンカップ。そのジャパンカップで歓声に応える為に大逃げを打ったパワフルウマ娘がいた、それがイブビンティ。史実での名はイブンベイ。29戦10勝、内G1を4勝、何よりも英・愛・伊・仏・独・米・日の7か国を股に駆け抜けた名馬。ホーリックスが樹立したあのワールドレコードはこのイブンベイが大逃げを打ったために生まれたとも言われている。

 

「あの人か……あれ、あの人って今日本に居んじゃねえの?」

「そうですの!!しかし貴族階級ですので日本国籍でないと出れないレジェンドレースを断念なさったのです、なのでわたくしは代理として、そして日本ウマ娘レースへのリベンジとしてこうして来たのですわ!!」

 

師の思いを背負ってここまで来たというのか、それは立派だ、立派なのだが……

 

「いや、レジェンドレースは日本国籍じゃなくても出られるぞ」

「―――なんですとぉ!?」

「じゃなきゃなんであの艦ウマ娘がレジェンドレースに出られると思ってんのよ、留学しているか既に日本で年単位滞在していれば大丈夫だぞ」

「本当ですの~!!?直ぐに報告ですわ!!」

 

と携帯を弄り始めたフィー、そして直ぐに―――

 

『本当ですの~!!?それでは私来年のレジェンドレースにエントリーしますわ!!今年は全力で貴方の応援しますわ、そして来年は二人揃って出走ですわ~!!』

「それが良いですわ~!!!」

「『お~っほっほっほっほ!!!』」

 

「元気な師弟だな……」




yukikaze改2様よりウォースパイト、幽々やよいよりソウマフィオーレを頂きました。有難う御座います!!

特別編に関するアンケート

  • ランページが未来に行く
  • 未来からランページ産駒来襲
  • そんな事よりドゥラ出す為に本編書け
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