貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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480話 特別編 その1

「ど~も三女神様」

 

自宅に三女神が降臨するという恐らく他にあり得ないであろう事象が起こった辺りだろうか、ランページは三女神像の前へと出向くようになった。これまでも偶に顔を見せに来ていたが、今回は別の物もある。女神像の前に何か重箱のようなものを置いて手を合わせる、するとそれが消え失せて代わりに脳内に声が溢れてくる。

 

『おおっ誰かと思ったら子羊君じゃあないか、君の作る料理は美味しいからね』

「俺以外に誰がいると思ってんすかねぇ……」

『あっはっはっは!!まあいいじゃないか』

 

三女神が一柱、ダーレーアラビアン。どうもランページはこの女神様に気に入られている、もしかしたら自分は彼女の血統の内に入るかもしれないという推測を立てているが、真実は謎。追及するのも面倒だし何か深淵に触れそうだからやめておくことにしている。

 

「というか天下の三女神が高々一個人が持ってる女神像に反応していいんすかね」

『いいんだよ子羊君だから♪おおっこのトンカツ今までのものとは味わいが違うね!?』

「ヘイヘイ……まあバラカツですから」

 

これまでは律儀にトレセン学園の三女神像に御祈りやらをしていたが、ダーレーアラビアンから

 

『此方に来て祈るのも大変だろう?市販されているミニ女神像に祈ってくれても十分此方に届くぞ子羊君。その方が色々と渡しやすいだろう?』

 

と言われたので市販されている三女神像を購入して、自宅の自室で祈るようにしている。そして、神様への祈りなのでお供え物としてまんじゅうなどを備えてみたら目の前で消えるという現象が発生、言葉を失っている時にアラビアンから美味しかったよ~、でもご飯系だと嬉しいねぇ。という神託が下りてきたりもした。

 

「というかダーレー様だけっすか?ターク様やバルブ様はいないですか」

『んっ~からしを付けるとまたたまらないな!!』

「聞けや残念女神、バラカツじゃなくてバラムツ送りつけるぞコラ」

『タークは真面目だからね~世界各地の様子を女神像を通じて見守ったりしてるんだよ、偶に努力している子にご褒美を上げたりしてるけど。バルブも同じだね、まあタークと違ってこっちは唯見守ってるだけさ』

「アンタは?」

『ほら、子羊君の所担当?』

 

一体何が気に入られたのか分からないが、まあ美人女神の加護があると思えば良いだろうか。

 

「ターク様にバレたら怒られるんじゃないんですかね」

『はっはっはっそんなに間抜けに見えるかい?』

「少なくとも残念女神には見えますよ、それでも美人だから需要見込める辺り日本だなぁって感想に至りました」

『手厳しいね~子羊君にも需要はあるかい?』

「まあ見た目云々で言えば好みではありますよ、男のままだったら放っておかなかったですよ」

『はははっ嬉しい限りだよ』

 

本当にたわいもない話をし続けていると、唐突に話を変えられた。珍しい事もある物だと思いながらも耳を澄ます。

 

『そんな愛する子羊君には神様らしく神託を授けてあげよう』

「わ~凄いですね~これまで神託という名のリクエストは沢山受けましたけど」

『フフフッ……今回ばっかりは真剣な神託だよ』

 

いまいち信頼性がない。これがタークだったりバルブならば真剣に聞く心構えも出来るのだが……。

 

『子羊君、君は子供を産む気があると言っていたね?』

「アンタに言った覚えはないけどな」

『茶化すなよ、言った事あるよね?』

「まああるけど……」

 

それが一体どうしたというのだ、もしかして自分は誰とも結婚出来ないというのだろうか。それはそれで困る気がする……まあ生涯独身を貫くのも面白くはあるのだが身体が女である為かそっち方面に興味はある。

 

『大丈夫君は素敵な相手と結婚出来るさ』

「まあできなかったら南ちゃんで妥協すっから」

『仮にも相棒を妥協というかい、まあ南坂氏も受け入れそうな気もしなくもないけどね』

 

女神にすらこう言われる南坂、それだけお互いに気心が知れているどころか通じ合ってしまっているのがランページと南坂なのである。実際ランページが求婚した場合、一体どうなってしまうのだろうか……。

 

「へっくしゅ!!!」

「おっなんだ南坂風邪か?」

「ランページさん辺りが私をからかいましたかねぇ……いえ確実にからかいましたね」

「どんだけ通じ合ってんだよ……もう結婚しろよお前ら」

「ありですね」

『えっ!!?』

「冗談です」

『(アンタの冗談程分かりにくい物はねェ~……!!!)』

 

「ンで神託って一体何なんですか?」

『うん、今から1時間後ピッタリにトレセン学園の三女神像に行く事。それだけだ』

「へっ?」

 

一体何を言われるかと思ったらトレセン学園の女神像への指示とは……一体どんな意図があるんだ?と首を傾げる、あの像はトレセン学園の安全やレースを走るウマ娘の大願成就やらを祈願している物でもあるので定期的に確りとした手入れが成されている筈だし……しかも時間指定まで。

 

『さあ神託は以上だ』

「いやマジでそれだけな訳!?神って奴はマジで言葉が足りねぇなおい!!」

『神様なんて本来そんなもんさ、必要以上に下界に干渉しないのが普通なのさ』

「応、ブーメランで切腹出来るぞ」

『取り合えずそういう事だから~』

 

ブツッ!!まるで通話でも切ったかのような音と共にダーレーアラビアンとの言葉は無くなった。本当にあの神の俗っぽさは一体何なんだろうか、色んな意味で日本と親和性が高すぎるのではないだろうか。

 

「1時間後、か……10時そこらで授業中かな。理事長から過剰労働!!と言われたことがまさか功を奏するとは……」

 

最近(数年間)色々と忙し過ぎた為に理事長がゆっくりでいいと言ってくれた日だからこそ家でお祈りをしたのだが……まさかこんなことになるとは……

 

「まあ兎に角、行ってみるしかねぇか……」

 

取り合えず普段通りに勝負服を着こむ、もう自分にとっての私服の一つになっている。尚、他の勝負服は一切着ていない。だからどっかの母親にも恨み言を言われるのだが……。

 

「んじゃファイン俺行ってくっから。飯は作ってあっから、おやつは冷蔵庫な」

「ハ~イ!!」

「隊長さんも頼むな、出る時は戸締り頼むわ」

「承知しております。行ってらっしゃいませ」

 

二人に挨拶をしてからトレセン学園へと向かう、一体何があるのか……ピッタリに行けと言われたが気持ち早めに着くように調整してやって来た女神像。一体何が起こるというのだろうか、そう思いながら適当に待っているといよいよ時間になった。さて何が起きるのか……と思った時に三女神の一つ、ダーレーアラビアンを模した像が赤く輝いた。

 

「えっ何因子継承でも始まんの?」

 

そう言えば自分はしていなかったと思いだした、というかそれなら現役の時にやってくれよ!?と突っ込もうとした時に、赤い光の渦のようなものが出現した。

 

「ハッ?」

 

そして、その赤い渦から声が聞こえてきた。声は次第に大きくなってくると何か影のような物が見えてきた。それはいよいよ人程の大きさになると出現した。

 

「うわあああっ!?あいたたた……んもう一体何が起こってるのぉ~!?」

「私が知る訳ないでしょう……というか重い~!!?」

「わぁぁぁっゴメン!?大丈夫ツクヨミ!?」

「そ、それより早く、私の上からどいてぇぇ~……」

「「「わぁっ~ごめんごめん!!?」」」

 

突然現れたのは4人のウマ娘だ。煌びやかな金色の髪を靡かせている快活そうなウマ娘、光を飲み込みそうなほどに漆黒の髪と目つきが少々キツいウマ娘、淡い紫が混ざったような葦毛の髪をした気弱そうなウマ娘、4人の中では一番小柄ではあるが、一番元気そうな甲高い声のウマ娘がそこにいた。これが神託の意味なのだろうか。

 

「ってあれ、なんか二人共なんか……幼くなった?」

「何よ何が言いたいのよ?」

「ダッテダッテ、何か……メスガキっぽいんだもん二人共」

「「アンタだけにはメスガキとか言われたくないわい!!!」」

「ドウシテ!?」

「ぴぃっ!!」

 

大声に驚いてしまったのか、一人のウマ娘が飛び退くがその際に自分の胸に飛び込んでくる。

 

「ぴゃぁっ!?ご、ご、ご、ごめんな、サイ……?」

「あ~……お元気?」

 

何がどうなっているか分からない取り合えず声を掛ける、ぶつかってきたウマ娘は自分の顔を見て目を白黒させながら耳をくるくると回転させる。そして次第に涙ぐんでいき、遂には―――

 

「うわあああああああんお母様ぁぁぁ~!!!」

「何ですとぉ!?」

 

と大声で泣き出してしまったのである。突然の事に戸惑いを隠せないランページだが、その声に反応して言い争いをしていた3人もこっちを見てきた。

 

「あっホントだお母さんだ~!!」

「母さんっ!?えっ何どうして勝負服着てんの!?」

「というか……なんかママ凄い若くない!?ナンデナニガオコッテルノ!?ワケワカンナイヨー!!」

「お母様ぁ~……!!」

 

抱き着いてくる、状況に混乱する、抱き着きながら泣く。全く違う反応を見せてくる彼女達に流石のランページも混乱しそうだがダーレーアラビアンの事を思い出した。そう言えば子供云々と言っていた、そしてこの子達は自分の事を母と呼んでくる。つまり彼女達は―――

 

「……ダーレーアラビアン、アンタ人様の子供を連れてくんじゃねえええ!!!」

 

そう、このウマ娘達は未来のランページの子供達。メジロアマテラス、メジロツクヨミ、メジロフォード、メジロロード。それを理解して思わずこの状況を引き起こしたであろう女神へと文句を上げた。そして―――胸の中で震えている娘を抱きしめてあげる。

 

「どういう状況かは分からないがお前たちは俺の娘なんだろ?突然の事で驚いてるだろうがそれはお互いさまって奴だ……そんなに泣いてばっかりじゃダメだぞ、可愛い顔が台無しだ」

「お母様、お母様ぁ……!!」

「あぁ~んフォードズルい!!お母さん私も抱きしめて~!!」

「そうなると、貴方は若い時の母さん!!?えっ走ってくれない!?」

「若い時のママ!?凄い~!!」

 

一先ず、元気過ぎるこの子達を何処かに連れて行こう……なんだか大変な事になってきた……と空を仰ぐのであった。




という訳で、アンケートで最も多かった未来からランページ産駒襲来を特別編として投稿します。活動報告にてコメントを頂いた結果、ライアン産駒のアマテラス&ツキヨミ、マックイーン産駒のフォード、テイオー産駒のロードが登場します。他の産駒たちは特別編が続いていった場合、第2弾として登場するかもしれません。
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