貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

481 / 634
481話 特別編 その2

「お茶が入りましたよ」

「わ~いボクたづなさんのお茶大好き~!!」

「んっ~いい香り……流石たづな秘書、お茶の素晴らしい淹れ方も心得ておられる……」

「フフッ有難う御座います」

 

「つまり―――彼女らは未来の君の娘だというのか!?」

「なんからしいっすよ……俺だってダーレーアラビアンから神託来てビビってんすから」

「ムムムッ……信じがたいが君が態々このような嘘を吐くとは思えないしこの生徒証も偽物というには精巧過ぎる……しかしタイムスリップとは……」

 

膝の上に乗っているアマテラスとフォードの頭を撫でながらも理事長と話をするランページ。未来から自分の娘が来るというとんでもない事になってしまったランページ、だが隠すのも難しいと考えて理事長とたづなさんにぶっちゃける事にした。二人は困惑したがランページがこんな嘘を吐くとは考えにくい上に4人が持っている生徒証などが証拠となって二人は信じてくれたのであった。

 

「しっかしなんでお前らタイムスリップみたいなことになったんだ?」

「いやぁ~……その、ね?」

「……」

 

応え難そうに顔を反らすアマテラスと自分の胸に顔を押し付けてくるフォード、そんなに言い難い事なのかと思っているとツクヨミが応えた。

 

「それなら俺が答えよう、実は母さんの尽力でVR技術を応用したVRウマレーターという設備がトレセン学園に設置されたんだ」

「ドローンの次はVRか……ンでなんだ、三女神がベースになったAIでも搭載されてんのか?」

「流石は俺達の母さんだ、御明察だ」

 

と、何処か自分の口調を真似ているように感じられるツクヨミ。それを微笑ましそうに見つめるたづなと理事長だが、これは中二病の一種と言えるのだろうかと真面目に考えてしまう。

 

「そんなAIに新しい物が追加されたんだ」

「何が追加されたんだよ、エクリプスを模したAIとかか?」

「いや母さんをベースにしたAI」

「何でじゃぁ!!?」

 

そこでなんで俺なんだよ!?と全力でツッコミを入れる。が、理事長とたづなは納得してしまった。

 

「納得っ!!君は世界を股に掛けた最速最強の暴君!!しかもそのデータは潤沢にあるのだから君が選択されるのも当然だろう」

「同感です。エクリプスを再現するのは些か難しいと思いますし、引退してはいますけど直ぐに協力して貰えるであろうランページさんをベースにするのは分かりますね」

「Oh……未来の俺、絶対反発しただろ」

「そりゃもう。結局お婆様やスピードシンボリ様、モンスニーさんなどに説得されて渋々承諾してました」

 

そりゃそうだろうな……自分は自分で苦労してるんだなぁ……というか未来にそんな事が待っているのか……と溜息を吐きたくなった。

 

「その試験として俺とアマテラスが選ばれたんだが……その最中に出走者の中に居たダーレーアラビアンが光ったと思ったら、此処にという訳さ」

「やっぱダーさんか……!!今度バラムツ送り込んでやる……!!」

「でもボクとフォードは全然違うよ~?」

「何っ?」

「はいそれは俺達も思いました、何故ならば……俺達が知っている二人よりもずっとロードがメスガキしてるからです」

「ダカラメスガキッテナニサー!!」

 

甲高い声で怒るロードとそういう所だ、と落ち着き払った態度でお茶を楽しむツクヨミ。一応令嬢っぽさがある所からメジロ家からそういう教育を受けたのだろうか……。

 

「ボクは三冠を取った後にタキオンさんとシャカールさんに頼まれたんだよねぇ~」

「三冠!?まさか三冠を取ったのか!!?」

「まあね~」

 

ニシシッ!!と悪戯っ子のような笑みを浮かべるロード、理事長は驚きよりもずっと嬉しさが増してきた。日本のウマ娘界は安泰という事ではないか!!未来にはこんな素晴らしいウマ娘が居るのか、ならば自分ももっともっと努力して素晴らしい学園にしなければ!!と決意するのだが……ロードが制覇した三冠というのはイギリスのクラシック三冠だったりする。

 

「つうかタキオンだぁ?何であいつが出てくんだよ」

「タキオンさんはボクの時はトレーナーやってるんだよ、それでママに色々実験をお願いしたりボク達が協力してるの~あっそっか、今のママってタキオンさんって現役時代でもないのかな」

「現役どころかあいつまだ中等部にすら入ってねぇぞ」

「え~ちっちゃいタキオンさんいるの!?見たいな~って待って、もしかして……テイオーさんもいるって事なんじゃないの!!?」

「はい、いらっしゃいますよ」

「ぜ、全盛期のテイオーさんに会えるの!?アイタイアイタイアイタイボクノアコガレノヒトナンダモン~!!!」

 

なんかどっかで聞いた事が思ったが、やっぱりロードのそれはテイオーの真似なのか。というか髪型とか流星もかなり似ている気がする……会長かテイオーの子供だって言われても違和感がない気がするのだが……。

 

「アッ!?ち、違うからね!?ボク確かにテイオーさんの事をリスペクトしててテイオーステップとか出来るけどママの事が一番大好きだからね!?ママの事大好きだからお願いだからテイオーさんの子にナレトカイッチャヤダー!!!ボクノコトキライニナッチャヤダー!!!」

 

ジト目になっていたかもしれないが、ロードを見続けていたら凄い慌てながら弁解してきた。最後の方にはテイオーみたいな声になりながら半泣きになってる。何をしたんだ未来の自分。そんな自分にフォードが服を引っ張ってきた。

 

「お、お母様。ロードね、テイオーさんの事をリスペクトしてたんだけど、一時期それが激しすぎた時があったの。お姉様達がうんざりする位に」

「あ~……ロードだし言いそうだよね……」

「いうな、ロードだからな」

「それでお母様もその時はなんかお仕事で大変な事があったからイライラしてたみたいなの、それでロードに、あっでもそれでも少しだけだよ?お母様とっても優しいから、少しだけそっけなく、そんなにテイオーの事好きならあいつの家の子になるか?って言ったんだよ。でもロードはお母様の事大好きだから大泣きしながら謝ってたの」

 

納得したような出来ないような……まあウチはウチ、よそはよその延長線上で言わなくもない言葉だ。それを真に受けてショックを受けてしまったという所だろうか……。

 

「ああもう、大丈夫だっつの。俺が嫌いになるとかありえないから!!泣きやめってロード!!」

「ホント!?ウソジャナイヨネ、ママホントウダヨネママ!?」

「ホントホント母親暴君嘘つかない、タブンネ」

「ハァァァァッヨカッタァァァァッ……」

 

そんなあやし方を見てアマテラスとツクヨミは笑っていた。若い母と言っても自分達をあやす時のやり方が全く同じだからだ。

 

「ンで、お前はタキオンの実験でこっちに来たと?」

「多分……でもタキオンさんも前以て自分でテストしたから色んな人のデータが欲しいからってお願いされたから不本意じゃないかな、タキオンさんってボクたちに凄い優しいから」

「タキオンがねぇ……(つうかシャカールもいるって言ってなかったか?この二人が組んでなんか作ったって事なの?)」

「フォードもそんな感じ?」

 

それに対して頷くフォード。フォードの場合はタキオンとシャカールが調整していたランページAIのテスト相手に抜擢されて走っていたら何時の間にか……という流れらしい。

 

「はぁぁぁぁ……未来も未来で混沌としとるなぁ……」

「その中心に貴方がいるんですけどね」

「言わんでくださいたづなさん」

 

本当に溜息しか出ない……しかしまあタキオンやらも元気なのは少しだけ安心した気がする。そう言えばタキオン繋がりで一つになった事があった。

 

「タキオン経由で聞くがよ、フローラって未来だとどうなってんの?死んだ?死んでるよね?」

「いや生きてるよお母さん!?ホント若い時から辛辣だって話マジだったんだね!?」

「ちっなんでぇ生きてるのか」

「今私の話をしましたねぇ!!!」

 

理事長室の扉が開け放たれた、そこにはなんとフローラが立っていた。

 

「何とも香ばしくも神々しい高純度のランページニウムの波動を感じて馳せ参じました」

「呼んでねぇから帰れよ」

「んもういけずぅ……んっ?」

 

その時、フローラの視界に未来の娘達の姿が入る。その時フローラの脳内に溢れた存在しない筈の無数の記憶。幸せな家庭を築く自分とランページ―――

 

「そうか、私とランページさんの娘か!!」

「「「「ンな訳あるかぁ!!!??」」」」

 

ランページが声を上げるよりも先に娘達が否定の声を上げた。

 

「ホントお母さんの言ってた通りだったんだね!?お父さんも笑うしかないって言ってたもんなぁ……あれ絶対もう対応するの諦めてるもん」

「なんでこんなのが凱旋門を制覇したんだ……?」

「強いから、かな?」

「それで納得はしたくはないよ~フォード」

 

相変わらず自分関連では恐ろしく鋭い直感を発揮するフローラに溜息しか出ない。取り合えず此処まで来てしまった物はしょうがないので未来の娘達という事だけは教えておく。

 

「因みに未来だと私ってどうなってるんです?貴方達に慕われたりしてます?」

 

これでもランページ最強のライバルとして戦い続けたウマ娘だ、JC2勝に凱旋門制覇という偉業を成しているのだから少しぐらいは尊敬してくれている筈……と思ったのだがそんな事はなかった。

 

「なんかお母さんに突然抱き着こうとしてアイアンクローされてる」

「視界に入ったら通報しろと言われてます、まあ流石に通報はしてませんが基本無視してます」

「ウマ娘としては尊敬出来る人です、でもえっと……スキンシップが激しい変な感じの人です」

「もう一人のお母さんと思ってね!!とか言われた時はドン引きしたなぁ」

「何故だぁぁぁ!?どうして、私の評価がこんなに低いのぉ!?」

「普段の行い見直せド変態」

 

やっぱりフローラは未来でもフローラだったらしい。




年齢的には皆異なるのですが、全員が同い年になるように異なる時間軸からやってきます。ロードが一番上の双子の姉に対して幼いとか言ったのはその関係。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。