貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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485話 特別編 その6

「おいマジで大丈夫かマックイーン、気を強く持て。ホレ一応袋はあるからな?」

だ、大丈夫ですわ……メジロの誇りに、いえ乙女のプライドに賭けてそのような事など……

「全然大丈夫そうに見えないよマックイーン……」

「あれだけ回ればね……」

 

遠心分離機に掛けられるが如く高速回転させられ続けたマックイーン、思わず膝を付きながらも激しい嘔吐感に襲われていた。そんな彼女の背中を優しくさすりながらも励ます沖野とライアンとテイオーはこんなことになった原因であるゴルシに視線を向けるのだが

 

「うおおおしゃああ!!マックちゃんから元気を貰ってゴルシちゃん元気564倍だぜぇい♪見ててくれよマックちゃん、ラン姉ちゃんとのレースはアンタに捧げるぜってどうしたマックちゃん、腹でも減ったか!?」

「良い声と顔で言ってるが、ああいう事になった原因はお前だぞ」

「ゴルシちゃん、テヘペロ♪略してゴルゴルペロロロ~ン♪」

全く略せておりませんわ……

「こういう状態でもツッコミする所は見習いたいよボク」

 

そんなこんなで漸くここまで来た娘&ゴルシの未来連合チーム対ランページのレース。5人は制服だったのでジャージか体操着で走ろうかと思ったのだが……

 

「いやお母さんは是非勝負服でしょそれ以外ないから!!」

「そうだそうだ!!全盛期の母さんとの勝負、マジの本気で頼みたい!!」

「ボクもボクも~!!!三冠の意地にかけて本気のママに勝ちたい!!」

「フォ、フォードも勝負服姿のお母様と走りたい、な……?」

「そ~そ~大人げねぇとか全然思ってねぇから安心してくれ!!」

『それだったらお前もだぁ!!』

「あっはっ♪」

 

一先ず、娘達の抗議によってゴルシもジャージで走る事になったのでランページが以前使っていたジャージを貸す事になった。

 

「あ~えっと……何メートルで走る?」

「そりゃ2400!!ママの伝説と同じ距離!!」

「いや私はお母さんのラストランが好きだから2500が良い」

「いいや、此処はメジロ最敬礼に倣って2000を推す」

「フォ、フォードは長い方が良い、かな」

「んじゃゴルシちゃんは2400、という訳で多数決で2400に決定、異議ある奴~?」

『いねぇよな~!!』

 

決定~とハイタッチをしたり騒いだりする辺り、ゴルシと娘たちの仲は決して悪い訳ではない。寧ろ良い方だという事がよく分かる、もしかしたらこれから先の未来で幼ゴルシこと、ポイントフラッグの2009概念と遭遇するのだろうか……と少しだけ期待するランページであった。

 

「え~っと……それでは、これより模擬レースを始めるぞ。スタート役は俺が務めさせて貰う」

 

いよいよ始まる事になった模擬レース。まさかこんなことになるとは思ってもみなかったが……これはこれで、いい経験になるだろう。子供たちに少しでも親の威厳いや全盛期を感じさせるのも務めというものだろう。

 

「よ~い……スタート!!」

 

 

「さてと……そろそろ準備をしますかね」

 

まだ授業中の時間だが、自分の業務を早々に片づけてチームトレーナーとしての仕事に移行しようとする南坂。元FBIとしてはトレセン学園の業務も大したことはないらしい、そんな南坂がカノープスの部室へと向かっている最中、コースを誰かが使っているのが見えた。

 

「あれは……ランページさんでしょうか、ですが他の方々は……?」

 

模擬レースは始まったばかりなのだろうか、スタートから勢いよく飛び出したランページが見えた。だが同時に競り駆ける小柄な葦毛のウマ娘、フォードもスタートダッシュはかなり優れているのがよく分かる。

 

「ランページさんが先頭で小柄な葦毛の方が二番手……いやほぼ互角、体格的にステイヤーに見えますが……あれは大逃げ、ランページさん相手に大逃げ勝負とはまるでターボさんみたいな方ですね、しかしその後方の二人も中々……」

 

ランページとフォードの後方、先行の位置にアマテラスとロードが付いている。大逃げを打つ二人に対して二人のペースも中々に早いがその表情には余裕がありありと浮かんでいる。十二分に二人を捉えることが出来る体勢を整えている。そしてそこから離れたゴルシ&ツクヨミ、追い込み型の二人にとって大逃げが先頭を行くこの状況は余り宜しくない筈だが、困惑の色はなく嬉々とした物がそこにある。

 

「相変わらずの大逃げですね……ランページさんの調子は走りを見る限り絶好調、全盛期のそれと遜色ない筈ですがそれに着いて行くあの方は一体……」

 

南坂から見ても今のランページは絶好調、それなのにフォードはそれについて行けている。それも当然、菊花賞を大逃げでワールドレコード一歩手前で走る程のウマ娘なのだから。そして間もなく半分を過ぎようとしたところで、ゴルシとツクヨミが一気に動いた。

 

「此処で動きますか。スタートの位置から考えて2400、1000を切った此処で……ロングスパートで仕掛けていく。葦毛の方は素晴らしいストライドですね、黒鹿毛の方は全くブレていない……いやこれは面白い勝負ですね、半分を切って来ましたがここでもまだまだ抜かせないのがあなたですね。ですが後ろの二人も中々に恐ろし気、あれはテイオーさんのステップ!!一体あの方は一体……ここでスリップストリームであのステップに対抗しつつも全身走法!!」

 

南坂からしても彼女らの走りには心が躍らずにはいられない、それだけの走りをしてみせている。ロードのテイオーステップにアマテラスのスリップストリームを組み合わせた全身走法、ゴルシとツクヨミのロングスパート、そしてランページに競り合える程の大逃げを打つフォードとこのトレセンにあれほどのウマ娘がいたのか……と思ってしまう程。

 

「ママッ絶対に負けないからねぇぇ!!!」

「いいや勝つのはこのゴルシちゃんだぁぁぁぁ!!そして勝ってマグロ漁船でマックちゃんとマグロ漁ランデブーだ!!」

<ドウシテワタクシデスノ!?

「月光天の威光、今ここにっ!!」

「月は太陽に勝てず、遍く空を私の光で包んであげるわ!!」

「フォードは……フォードはヒーローになる!!」

「さあ、ラストスパートと行こうかぁ!!!」

 

 

「……ママ、如何したの?」

「んっ?いやなんでもない、ただ……ね」

 

ランページは写真を見ていた、そこには自分に抱き着くようにしている娘達と背後でマックイーンを担ぎ上げてテンションMAX状態のゴルシが映っている。マックイーンにとっては災難だっただろうが当人にこの事を聞けば苦笑しつつもいい思い出だったと語る事だろう。

 

「ロード、走ろうか」

「えっ良いの!?」

「偶には運動もしなくちゃな」

「ヤッタ~!!皆も呼んでくる~!!」

 

駆け出した娘を見送りながらも写真を撫でた。懐かしき日々に訪れた未来は現在になった、自分は結婚して娘も生まれた。そして今では―――

 

「ママっドゥラちゃんも走りたいらしいけど良いよね!?」

「あれ、ドゥラの奴来てるのか?ああ勿論いいぞ」

「やった!!あとねあとね、ディープも一緒に走りたいんだって!!あとオルフェとドンナとスティルとコンちゃんとそれからそれから……」

「待て待て待て!!どっから連れて来た!?何でその面子が此処に居るんだ、我が家今どういう状況だ!?ダーリンヘルプ!!ヘルプミー!!」

「あっパパならゴルシがマグロ漁船に拉致ってるって、さっきメール来た」

 

ホント……賑やかな日々は続くものだ。この後、滅茶苦茶走らされた。




という訳で特別編は終了です!!機を見て、特別編第二回をやって、その時に別の産駒たちを出そうと思います。
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