貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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486話

『フジキセキ速い速い!!第三コーナーで一気に先頭に立った!!さあ直線に入るがこれはもう圧倒的!!マイティーパワーは遥か後方!!リギルから凄まじい新星が輝きを放ちます!!今っ1着でゴールイン!!フジキセキ、デビューから無敗の3連勝でG1ウマ娘の称号を手に入れました!!2着のキャップスケートに大差をつけての快勝です!!昨年のナリタブライアンに続いて、凄いウマ娘がクラシック戦線に名乗りを上げます、フジキセキ!!』

 

「よおっG1ウマ娘おめでとさん」

「あ、アハハハ……勘弁してくださいよランページさん、貴方にまでそう言われると照れますよ」

 

食堂にて食事をとっているランページ、そんな暴君と一緒に食事をとりたいのか周囲のウマ娘達は遠巻きにキャーキャー声を出しているとそこへ一人のウマ娘が座った。そんな姿に周囲はまた色めき立つ、クラシック戦線に錦を羽織ったまま参戦するフジキセキである。

 

「麗しの奇跡とは、俺のとは違って随分とロマンチックな名前になったな」

「からかうの勘弁してください、ランページさんのだって素敵じゃないですか」

「歴史を見て見ろ、暴君がどういう奴につけられるのかが分かるぞ」

 

基本ネガティブ的な要素が強調される名前だが、そんな名前のまま世界を制した結果が今。ウマ娘グッズコーナーには暴君勢力下と書かれたランページ専門コーナーがある、何処に行ってもあるのだから不思議な物だ。

 

「言っとくが……マヤは負けねぇぞ?」

「望む所です」

 

流石にもう対決はしないがこれでフジも明確なライバル。朝日杯を大差勝ち、史実ではそのポテンシャルを発揮出来ぬまま引退してしまったが、その産駒が良く走ったが為に引退しなければ三冠を取ったのではないかと言われるフジキセキ。ブライアンとの対決よりも此方を心配するべきだったと今更ながらに気づいた。

 

「しかしランページさんはそれよりも先に心配する事があるでしょう?」

「レジェンドレースか、そっちは別に心配はしてねぇよ。ハッキリした事を言えば負けたって俺は気にしない」

「ええっ……!?」

 

チャンピオンとしてはかなり弱気というよりも興味がなさすぎる発言にフジは驚きを隠せなかったのだが直ぐにその言葉の意味を理解する事になった。

 

「俺は唯面白いレースが出来ればいい。それにフジ、どんな形であろうとも俺を越えた事は重要な意味になる。何時までもトップを立ち続けるってのも悪い影響にしかならん、俺のワールドレコードも破ってくれた方が景気が良い」

 

究極的に言えば自分が負けた所で自分は気にしないし、寧ろそれだけ強いウマ娘の出現は次の活性化にも繋がっていく。その為ならば喜んで自分は敗北を受け入れるし遠くない未来で現れるであろうウマ娘の出現を待ち続けるのもそれはそれで面白い。

 

「あ、あの!!」

 

そんな自分にフジは顔を赤くしながらも立ち上がりながら言った。

 

「わ、私は……私はランページさんのワールドレコードを更新を目指します!!貴方を越えるのは私の夢です!!ですからその―――見ていてください、私の走り!!」

「……期待してるぞフジ、麗しの奇跡が織りなす世界新記録か……面白いな」

 

期待が募った満面の笑みを浮かべたフジは大急ぎで食事を食べ終わると頭を下げてから食堂から駆けて行った。一時も惜しいとさえ思ったのだろう、だがまだ疲れも取れていないだろうしおハナさんが許可を出すとは思えない……あとでフォローを入れておいてあんまり怒らないようにしてあげなければ……そう思っていると今度は複数のウマ娘が座った。

 

「ブライアンにローレルか」

「はい、お邪魔でしたか?」

「いやフジがいなくなって寂しくなったところだ」

「ならば丁度良かったか」

 

ブライアンとローレルの後輩コンビだった。片方は凱旋門2着、片方は無敗の三冠。本当にとんでもない二人だ、そんな二人が激突する有記念はどういうレースになるのだろうか。

 

「先輩、余裕はあるか」

「是非私達と走って欲しいんです」

「有か、それなら別々の方が良いんじゃねぇのか?」

 

要件は矢張りそういう事だったのだが驚いたのは、二人が共に頼んできたという事。それはつまり纏めて相手する事を許容している事にも繋がるのだが……普通に考えれば自分の戦法を明かす事にも繋がるので避ける。まあカノープスはその辺りはかなりフリーダムだったが、リギルとカノープスという別チーム同士なのだから事情が異なる。

 

「問題はありません」「お互いに手札は知り尽くしている」

「菊花賞、沢山見ました」「凱旋門、飽きる程に焼き付けた」

 

既に二人は互いの走りの凄さを十二分に承知している。ならば他に何をすればいいのかさえも全て承知している。故に互いが共に走った所で特段困った事は発生しないどころか、相手の変化を間近で確認できるとさえ思っている。そして互いに見たければ見せてやると思っている。

 

「後は自力を伸ばすだけってか、言っとくがお前らの相手にはライスとネイチャ、そしてタンホイザもいる。お前らはクラシッククラスで考えても信じられない程の走りをするが楽なレースにはならないだろうぜ」

「「望む所」」

 

言葉は違っていたが意味は同じだった二人のそれが完全に一致した。二人にとって強者と走れる事以上の喜びはない、いやそのレースでライバルに勝ってやるという意欲に溢れ返っている。その為に自分を利用したいというのだから大した魂胆だ。

 

「いいだろう、その代わり……加減はしてやらねぇぞ、南ちゃんのお陰で錆落としは殆ど済んでるからな……ワールドレコードを出した時の走りで迎え撃ってやろう」

 

その言葉も最早二人にとっては追加燃料に過ぎないのか、闘志が溢れ出してきている。それを見ながらもランページは大盛りのカツ丼を平らげるのであった。

 

「あっランページさんだ~走るなら私もご一緒します~!!」

「フローラ先輩は結構ですので、有難う御座います」

「アンタがいると先輩の気が散る、邪魔するな」

「後輩の言葉の刃が、刃が鋭い……!?」

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