貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

488 / 634
488話

気付けば季節はあっという間に年末、間もなくに迫り始めた有記念。数年前からこのG1レースの注目度は何時の間にか鰻登りになっており、気付けば凱旋門にも劣らぬ程の注目度合となりつつある。国際競争ではあるので参加しようと思えば海外から挑戦者も走ろうと思えば走れなくもないのだが……時期も関係してか参加すべきかせぬべきかと関係者の頭を悩ませているらしく、日本最大のG1レースのままとなっている。

 

「えっ嫌だ。こっちだって忙しいのにそっちの都合ばっかり通せると思ってる訳?」

 

仕事をしているランページへと入ってきた電話、それ自体は珍しくないのだが……その通話相手に対して向けられているランページの言葉に職員室の面々は戦々恐々とさせられていた。尚、上水流と坂原の両名はまったく気にしていない。

 

「お、おい上水流……今ランページの電話の相手って……」

「確かURAの幹部クラスの人だった、よね坂原さん」

「その筈だね」

「えっそんな凄い人になんちゅう口の利き方……」

「「今更過ぎない?」」

 

二人からすればランページのこういう事は慣れきってしまっているので何とも思わないが、周囲からすればとんでもない事。何故こうなったのかと言われれば……

 

「有記念の解説……だっけ?それを少し前から頼まれてるんだけど断ってるんだよね」

「その日は休養にして応援する筈、酒も飲むから運転お願いなって頼まれましたよ俺」

「御随伴しちゃおうかな」

「その場合、ランページの家まで行ってファイン殿下と夕ご飯ですけどそれでもいいなら」

「いい経験になると思わない?」

「そう言えるこの人凄いわぁ……」

 

記念は年内最後にして最大のG1レース、一年の締めくくりとされる大レース。そしてこの後に行われるホープフルステークスは新年への新しい門出として見られている為、前者を最後のG1としてされている。そんな舞台にランページを招きたいという話が来ている訳なのだが……ランページはそれを断り続けている。

 

「こっちにはもう予定を組んでんだよ、レジェンドレースに向けての予定って奴をよ。それなのに有前に連絡してきて解説してください!!とか抜かすボケの話を取り合う訳ねぇだろ、何今度はそれで俺を責めるんだ、へ~ふ~ん……アンタ名前なんだっけ?ああそうそう、そういう名前だったね……考えるだけ考えてやるよ、んじゃ」

 

そう言って電話を切ってコーヒーを啜るランページ。そんな彼女を労うように上水流は冷蔵庫にあったタルトを差し出してやる。

 

「お疲れ様。それで電話してきた幹部の末路は如何するの?」

「一々ウーちゃんに連絡するのも悪いからなぁ……メジロ家を通じて俺の名前でURAに向けて書状を書くさ。別にウーちゃん経由しなくても俺の力って強いから、ただウーちゃん経由の方が爆速な上に効果が上乗せするからやってるだけ」

「偶に思うんだけど、ウラヌス御大を頼ってしまっていい物なのかい?あちらの都合もあるのに」

「最近は自重してるのよん、ウーちゃん的には若い子に頼られると嬉しいらしいけど限度は必要。この前に家に招いて飯食ってファインとマリオ&ソニックのオリンピックやってたな」

 

ウラヌスの視点から見ればURAの膿などを排する事が出来るので極めて有難い。なので積極的に声を掛けて貰っても良いと言われている。

 

「さてと、これで終わりっと……今日は少し少なかったか?」

「それで十分早いよ、こっちはまだ掛かりそうだ」

「坂原さんは?」

「マヤの仕上げに少し悩んでる感じかな……今度はどの戦法をやらせるべきか……う~んあまり時間もないんだけどあと少しだけ悩みたい感じかな」

「分かった、んじゃ俺は……ちょっと甘い物でも調達して来るかな」

 

職員室から出たランページは適当な自販機を見つけた、基本的に珈琲は自前で淹れる方だが偶にはこういうのも飲みたくなるのだ。という訳でMAX甘い珈琲を購入するのであった、すると当たりを引いてもう一本同じ珈琲が出てきた。

 

「こういうのって当たるんだな……」

「流石ランページさん幸運ですね!!」

「ぎゃぁっ!!?」

 

思わず声を出しながらも引いた、何故ならば自販機の裏からぬるり、という音が出そうなほどに滑らかにフローラが出てきたからである。

 

「お前マジで何なんだよ!?どういう生態してんだ!?」

「其処まで言いますかね、だが敢えて言いましょう。ランページさん関連で私に不可能はない!!」

「もうお前UMAだろ……はぁっそんなUMAに敬意と侮蔑、不気味などなどを踏まえてこれを進呈してやる」

「待ってください明らかに違う感じが」

 

という訳で贈呈の体を取って二本もいらないMAXコーヒーの一本を押し付ける事にした。厄介払いのそれなのだがフローラからすればランページからのプレゼントと受け取れたのか、それを天へと掲げて拝むようにしながら涙を流す。

 

「ぁぁぁっ……これは、ランページさんから恩寵された神の飲み物……これは未来永劫保存しましょう……」

「普通に賞味期限切れる前に飲め」

「ハッそうか、これを飲めばランページさんの一部が私の中に……!!?」

「……」

「無言で後ずさるのやめて貰えます普通に傷つきますから!!?」

「だって、キモいんだもん……」

 

本当に何でこんなのが自分のライバルで凱旋門ウマ娘になれたのかが極めて謎だ……これは色んな意味でURA的にも頭が……と思った所で思わず指を鳴らした。

 

「んんっ~名案だな。おいフローラ、テメェ俺の為に働く気はあるか」

「ランページさんの為ならたとえ火の中水の中!!」

「んじゃ有の解説頼むわ」

「わっかりました~!!……えっ?」




なんか映画のタキオンがフローラみたいって言われて流石にそれはタキオンがひどすぎない?と思うんですが、真相を確かめたくても予定が空いてなくて見に行けない……!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。