再びこの日が訪れた事を感謝する、開催自体が奇跡、もうその奇跡は二度と見れないのでは……様々な思いが交錯する中でそれは人々の不安をかき消すかのように高らかに再度の開催が宣言され、人々は安堵と共に声を上げた事だろう。
日本各地のトレセンで予選を潜り抜けたウマ娘達が今日、此処東京に集い雌雄を決する。この記念すべき第一回大会の優勝を手にするのは各部門の1人ずつ、合計5名のみだったのが今回から中距離部門が2000と2400に分離した事は良い意味で衝撃を与えてくれた。この舞台は進化し続けるのだと宣言にも思えたのかもしれない。誰もがこの舞台を期待しているのだ、何せこの舞台では何が起きても可笑しくはない、前回大会では地方勢が中央を下し続けた。中央がそれらに対する言い訳も何処か滑稽で面白かった。
誰かは熱狂を、誰かは刺激を、誰かは大番狂わせを、誰かは愉悦を……望む物は異なる。だがそれら全てを間違いなく満たしてくれるレースは他にありはしない。
『さあ皆様お待たせ致しました、本日は此処府中の東京レース場から実況はお馴染み赤坂がお送りいたします。そして今大会の解説を務めるのはウマ娘のレースコメンテーターとしてもお馴染み、MCとしても芸人としても活躍しておられるこの方!!』
『ハァ~イ皆さん、ナイスですね~!!どうも斉藤です、今年も宜しくお願い致します!!まさかまたここに座れるなんて夢にも思いませんでしたよ、かの暴君から直々のオファーが来た時なんてもう周りもビックリ仰天でしたから』
『それだけ信頼を勝ち取れていると解釈して喜びましょう!!さあ伝説として語り継がれる舞台、去年だけの伝説となり得たかもしれなかったのにもかかわらず、今年もやってきました!!ホープフルステークスから僅か数日だというのにこの熱気は異常の一言!!この舞台が帰ってきました―――URAファイナルズが!!!』
その言葉に府中は熱狂の渦が上がる、それは日本中でも上がる。各地にあるトレセンは生中継を通じて自分達の代表の勝利を心から願っている。
『既に皆様はご存じですが改めて語らせていただきます。このURAファイナルズ及びレジェンドレースは日本各地で行われました予選を勝ち抜いた者たちが集う全国規模のレースで御座います!!しかし今年は一味も二味も違います!!まず、今年から中距離部門が2000mと2400mの二つに分かたれました!!理由としては2400は長距離に片足突っ込んでいるから、との事です』
『これに関しては私も賛成ですねぇ、実際長距離部門は2500ですし差があまりないですからね。なんでしたら長距離部門もわけるべきなんて意見も出てますよ』
『もしかしたら来年あたりにまたルール改定が行われるかもしれませんね。そして今年は何と海外からの挑戦ウマ娘が続出しました!!ファイナルズとレジェンドレースの出走規定には日本在住のウマ娘向けに留学ウマ娘や長期間の滞在をするのであれば出走を認めるという物があるのですが、今回それを利用して海外から有力ウマ娘が我こそ!!と予選に殴り込んでいました!!』
『これに関しては改定の余地がありますよねぇ……留学有りにするにしても厳正に審査はすべきなんじゃないかなって私は思いますね、だってもうこれやってることが殆ど国際G1と変わらないですもん、ジャパンカップならぬジャパンワールドカップになっちゃいますよこれ』
次に審議されるのは長距離の距離区分か、それとも海外ウマ娘参戦に対するルール厳格化なのか。様々な言葉が投げかけられる中で遂にそのものが現れたのだ。ファンファーレが鳴り響く中で地下バ道から姿を見せた。絶対的な王者にして暴君、世界が認めたウマ娘、メジロランページ。だが、その姿を見た時、誰もが言葉を失った事だろう。
「―――」
誰もが知るランページの姿ではない、あれは―――暴君としての姿だと誰もが直感した。風になびく上着、青い焔が灯りその奥で赤い瞳が此方を見据えているかのようだった。その手にはマイクが握られていた、だが思った。きっとすぐにいつもの彼女に―――
「諸君、府中、東京レース場に集った諸君。この俺の姿を見る諸君、問おうお前にとってレースとは何かを」
そうはならなかったのだ、そこには覇王としての暴君の姿が変わらずそこにあり続けた。
「このレース場には覇を競う為に様々な国、地域から集った。一度、脚を伸ばせば我々にとっての常識は異なり、思考も、言語も、あらゆるものが異なる。だが―――そうだ、我らは違うが故に此処まで来た、そんな俺達でも同価値で分かち合えるものがある、それが何か分かるかぁっ!?単純だ、シンプルな答えでしかない……レースだ、此処に集った我らは勝負の為に集ったのだ!!」
叫ぶ度に風が舞う、舞った風が彼女の上着を更になびかせ言葉を運んでいく。
「国境、人種、思想、言語、俺達を作り上げた物は違うだろうがレースに掛けたこの情熱は不変でありながらも常に変化し続ける!!そうだ、この情熱は誰もが持った闘争への炎。レースとは闘争だ、熱き魂の激突だ、ここに集ったのはその熱に当てられ、その熱を求め、闘争心に炎を灯す為、そして見てみたい、その果てに映る景色とは何かを!!そう、俺達は見たいんだ……このレースの向こう側の景色を!!諸君、お前達もそうだろう、URAファイナルズ及びレジェンドレースのゴールに何があるのかをっ!!!」
そして彼女は笑った。
「集いに集った世界の猛者共、目当ては一つ勝利のみ。勝利を飾るは己の走り、強者の走り、覇者の誇り。頂点目指した疾駆が描く至高の闘争ご覧あれ!!さあさあ諸君皆様方よ、覚悟は良いか準備は良いか、これより先は見逃し厳禁待ったなし、これも究極の一系統、さあさあさあ御照覧!!!」
勢いよくマイクを投げ捨て、息を吸い込んだ。そしてあらん限りの声で叫ぶ。
なんかどっかで聞いた事がある様な感じになったな……。すげぇ色々混ざってる感がすげぇ