貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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497話

幕上がったURAファイナルズ。流れ自体は昨年と同じ、短距離から順々に行われることになっている。そしてそんな短距離ファイナルズをいきなり飛ばすウマ娘がいた。

 

『電撃6ハロンの死闘、ファイナルズ短距離部門!現在トップを行くのは記念すべき第一回大会短距離部門の覇者、ラビットパラベラム!!今年も無事にカーブを越える事は出来るのか!?』

 

前年度覇者たるラビットパラベラムの出走、そして彼女は連覇した上でレジェンドレースへの出走も表明している。初代チャンピオンとして堂々な立ち振る舞いをしながらも挑戦者の気持ちを備えたその言葉に多く者の心が跳ね上がった事だろう。そんな彼女に勝つ為にも多くの者が出走している。そして彼女の快速は健在でトップのまま問題のカーブへと入ろうとしていた。

 

『さあ遂に今レース最大の見どころといってもいい場面が来ました!!あっとととと矢張り大外へと凄い膨らみだ!!というかこれはいけないラビットパラベラム外ラチに一直線んんんんっ!!!?』

『わあああ曲がれええええ曲がってぇぇぇ!!?』

 

思わず赤坂と斉藤も悲鳴を上げてしまう程、文字通りに曲がれていない。これが99%の確率でカーブを失敗する所以なのだろうか、だがしかし彼女は曲がる事を諦めていない、しかしスピードを落とさない。何故ならば―――

 

「ラビットちゃぁ~ん頑張れ~!!」

「見ててよウララちゃん、これがっ!!私なりのっ!!コーナリング、じゃああああ!!」

 

『ラビットパラベラムとは対照的に美しい程に素晴らしいコーナリングを決めるマーベラスサニデイ、そしてカンタートリマリン!!このままトップはっとエエエエッ!!?』

『と、飛んだぁ!!?ラ、ラビットパラベラム外ラチに蹴り入れて無理矢理衝突を回避してそのまま直線に戻ってきたぁぁ!?』

『何という力技!?後方から追い込んで来たライトライン、プラチナセボンこれにはビックリそのままラビットが駆け抜けていくぅ!!しかしこれが火を付けたのかライトライン、プラチナセボンも凄い脚で伸びてくるぅ!!』

 

「凄い凄い凄~い!!ねえねえ見た見た今の!?ヒーローみたいにキックでばびゅ~んって飛んだよおばあちゃん!!」

「呵々々!!良い根性してるよ全く、流石はこの私、パラベラムバレットの曾孫だ」

 

ラビットの走りに目を輝かせてニコニコと笑うピンク髪のウマ娘とその様子を酷く楽しそうにしながら笑う葦毛で和服のウマ娘。歳を重ねてはいるがその瞳は未だ衰えを知らぬ様子。そんな彼女が見据える先は―――

 

「イェイイェイイエーイ!良い走りしてるね~!!」

「無茶するね~!!」

「これが、私の走りなもんで!!」

 

あっという間に先頭集団を射程圏内に収めて見せたラビット、先程のような無茶をすれば脚にも相応の負担が掛かる筈なのにそんな様子は全く見せない。それは覇者のプライドか、それともウマ娘の矜持がそうさせるのか。

 

「行ってきなラビット、アンタの生き様みせてやりな!!」

 

『さあ先頭はカンタートルマリン、マーベラスサニディも伸びてきているが何とビックリもう此処までキタのかラビットパラベラム!?なんという末脚!!電撃6ハロン、矢張り彼女の領域だと言わざるを得ません!!だがしかし、そうは行かぬと叫ぶ乙女の意地!!プラチナセボン内を付いて伸びてきているが外からはライトライン、マーベラスサニディも競り合って全頭が横一線に並んだぁ!!先頭は誰が手にするのか飛びだすのは一体誰なんだ!?これはまたどうなってしますのか!!?』

 

「私は、私はっ約束したんだ。これはウララへの餞別にするんだからぁぁぁぁ!!!!」

 

『こ、此処でラビットパラベラムが一伸びだ!!ラビットパラベラムが伸びる伸びる、1バ身、抜け出たぁ!!そのままこのリードを保ったままで、ゴール!!!ラビットパラベラム一着!!二着にはマーベラスサニディ、三着にライトライン!!昨年度覇者は矢張り強かった!!初代チャンピオンはこのまま、伝説の舞台へと駆け上がる事になりましたぁぁぁぁ!!!』

 

「うおっしゃああああああ!!!ウララ見てた~!!?私の勝ちは貴方への餞別なんだから、頑張れよ~!!!」

 

ラビットパラベラムが勝ったのはレジェンドレースに進みたいという事もあったが、来年度から中央に通う友人の為でもあった。高知の代表として中央に行く彼女の為に出来る事を考えた結果、この舞台を連覇する事以外に考えられなかった。

 

「凄かったよ~ラビット、まさかラチ蹴って戻って来るとか思わなかった!!」

「いやぁっあれは完全に咄嗟だったから……狙ったわけでもないから何とも言えないなぁ」

「しかしあのような事をしたら蹄鉄や脚も心配ね、後で見てあげるからちゃんと脚みせてね?」

「あははは~……でも、勝ててよかった……」

 

レジェンドレースに進むことが出来るという達成感よりも安堵の気持の方が強かった。彼女の友であり中央に行くウララは正直言えばどうして中央に行ける事になったのか分からないから、実力第一主義と行ってもいい筈の中央が友人の輪の中でもぶっちぎりで遅いウララを選んだ。皆で首を傾げたほど、しかし誰もウララの事を悪く言わなかったのは彼女の人柄と人徳だからこそだろう。

 

「パラおばあちゃん」

「何だいウララ」

「やっぱり、やっぱりレースって凄いね!!」

「そうかいそう思えたかい……アンタも見てる人にそう思えるようなウマ娘になりな」

「うんっ!!」

 

 

「ふふっ早くも来年が待ち遠しくなってしまいましたねぇ!!」

 

レジェンドレースの短距離部門に出走予定のバクシンオーはファイナルズを連覇し来年は自分が再び出走するであろう舞台に上がってくる彼女に嬉しさが沸き上がってきた。短距離という領域、バクシンオーを越える者は恐らくいない。だがラビットは直線に限ればワールドレコードすら狙える程の逸材、そんなウマ娘と競える事が溜まらなく嬉しく―――闘志が掻き立てられた。

 

「バクちゃん、嬉しそうだね」

「ええ、ええっトレーナーさん!!委員長ですので強い方が来て下さることに滾らずにはいられないのです!!故に私は勝ちます、そして―――来年必ず彼女と走ります!!」

 

第二回URAファイナルズ

短距離部門チャンピオン ラビットパラベラム




Rodo様よりライトライン、シャイダンを許さない様よりマーベラスサニディ、うみへすろ様よりプラチナセボン、終焉齎す王様よりパラベラムバレットを頂きました。有難う御座います!!
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