貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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500話がもう目の前だぁぁぁ……一体何話まで続くんだろうか。


498話

短距離の王者が決まり、次からは激戦区のマイル。ウマ娘として一番多いのがマイル中距離、走れなくはないが走るものが少ないのが短距離、走れるものが少ないとされるのが長距離という印象を受ける、そして実際にマイルと中距離が最も予選出走者が最も多かったのも事実。そして前年度も激しかったマイル部門、一体どんな走りになるのかと誰もが期待する。

 

「トアちゃ〜ん応援に来たわよぉ~!!」

 

地下バ道から次々とウマ娘が出てくる中、その声に出走者の一人であるロケットアローが反応した。顔を向けて見るとそこには暖かそうな上着を駅員の制服の上に羽織った駅長帽を被ったウマ娘がいた、紛れもない自分の母だ。

 

「母ちゃん仕事は!?」

「終わったから大急ぎで来たのよ~応援するんだから勝ってよ~!!」

「応任せとけい!!」

 

ガッツポーズで応える娘に微笑ましく笑顔を浮かべるが、その時隣に居た男性、観戦しに来ていた沖野が首を傾げた。ロケットアローの母、如何にも見た事がある気が……

 

「あっアンタ中央の独裁者って言われたグスタフマックスか!?」

「ゲェッ!!?なんで私の黒歴史をっ!?」

 

 

「何か観客席が騒がしいですねぇ?」

「何かもめごとでも……?」

「……あっちゃぁありゃあ母ちゃん昔の事バレたなぁ?」

 

ゲートの前で待機している時にそれに気づいてロケットは溜息を吐いた、周囲のダンシングブレードやサクラコガレオーは何故かと問えば応える。ロケットアローの母、グスタフマックスも昔は競争ウマ娘であり、父はその時の担当トレーナーだった。それだけなら誇ればいいだけの話なのだが……

 

『吾輩こそが中央トレセンの絶対独裁者、グスタフマックス総統だ!!』

 

ドイツ風の勝負服に加えて眼帯、ステゴ並みの気性難も重なって独裁者と呼ばれていた。それを知るファンからはグスタフ総統閣下と呼ばれているが、当人からすれば黒歴史も良い所である。

 

「その話は勘弁して頂戴……私の黒歴史なのよ……若気の至りだったのよぉ……」

「立派なウマ娘じゃねえかお前さん……」

「お願いだからもう忘れて……」

「お、応なんかすまん……」

 

『なんか客席が賑やかですね、お母様が応援でも来たのかな?』

『ど~やらそのようですね、あっ今情報が来ました。ロケットアローのお母様は現役時代中央で走っていたウマ娘のようですね、それで当時のファンが声を上げてしまったのかもしれません』

『それならば確かに彼女の大逃げにも納得がいきますね、さてさて今年はどうなるんでしょうね』

『期待しましょう!!さあゲートインが完了したようです、URAファイナルズマイルレース、今……スタートしました!!おっといきなり飛び出したのは先程話題に出たばかりのロケットアローだ!!今年も圧巻のスタートダッシュを決めて一気に逃げる逃げる逃げるぅ!!一気に突き放しにかかる!!』

『最ウチだったのもあってか凄い勢いですね!!やっぱり逃げウマ娘は華がありますね!!ディプレッシング、フィールザディ、サクラコガレオーと逃げを打つウマ娘います。がんばれ!!』

 

「前回は負けたが今回は負けねぇからな!!強化されたオレのスピード、篤と見やがれ!!」

 

ウマ娘として走ることの楽しさを知らなかったわけではない、だがあの敗北から走りにも情熱を傾けるようになったロケットアロー。その加速力は一段と磨きが掛かっており、既に後方とは8バ身を付けたまま激走している。ダンシングブレード,サクラコガレオー,シャドーエース,ヴェルトロ達と仲良くなったことも走りに熱を入れるきっかけにもなっている。

 

「(ホント、バカみたいなスピード……でもあれは持つ、今度こそ負けないっ!!)」

 

『サクラコガレオーが良い位置に付きながら控えております、ロケットアローの落ち着きを待つ作戦でしょうが。その前を行くディプレッシング、フィールザディは懸命にロケットアローを追いかけていきます!!』

『想像以上のスピードに焦ってますね、少し掛かり気味になっててこれは危ないかなぁ』

『ヴェルドロ、コガレオーの背後を上手く取っております。その背後にはリボンカルロ、ブラングリモア、やや一塊になっております。そして少し離れた所に前回覇者たるダンシングブレードが控えております。その名の通りの末脚のキレが何時炸裂するのか楽しみであります。シャドーエース、アーゼウスとなっております』

 

先頭は未だにロケットアロー、だがその後方との差異は詰まってきている。闇雲に追いかけ続けた逃げウマ娘は既に落ちた。あれは唯追いかけるだけでは捕まらない、見極めがいる。

 

「では勝負を始めましょうか……誰が一番早いかとくと見せてもらおうか、そして全てを終わらせるとしましょうか!破壊破壊!!」

 

『此処でアーゼウスが上がってきた!!間もなく第4コーナーへと入ろうとするところでアーゼウスが攻めに入ったぁ!!どんどんと上がっていく、だがしかしロケットアローはまだ先、真っ先に最終コーナーを越えていくか!?』

 

「行くぜ爆走特急!止められるもんなら止めてみやがれぇ!!」

「ならば、止めましょう、戴冠の時です」

 

『ロケットアローが猛スパートを掛けるが、後方からもヴェルドロが上がってきている!!いやサクラコガレオー、ダンシングブレード、シャドーエース!!前回大会で覇を競い合ったウマ娘達が一斉に猛スパート!!!残り僅かな所で始まる死闘!!激戦区マイルの頂点に立つのは一体誰だぁ!!』

 

「今度こそアタシの、勝ちだぁぁぁぁ!!」

「負けるかぁぁぁぁ!!」

「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」

「勝つのは私だぁぁぁ!!!」

 

叫びをあげるウマ娘、可憐さも美しさもない闘争心が剥き出しになった彼女たちの姿に人は魅了されるのだ。愛らしさと美しさが同居したアイドル的な可愛さとそれらとは対極と言っても過言ではないアスリートとしての顔の二面性。それらがファンを引き付ける大きな要因でもあるのだ。

 

「エースは、私だぁぁぁ!!!」

「負けっかぁぁぁぁ!!!」

「渡すかぁぁぁぁあ!!!」

 

競り合いが続く、先頭を駆け抜けたロケットアローが。バ群を抜けて一気に加速して上がってきたシャドーエースが、坂路であろうとも関係なしに直線で途方もない伸びを見せるダンシングブレード。一体誰が取る、一体誰が最初にゴール板を駆け抜ける。声援が爆弾のように響く中で決着の瞬間は訪れる。

 

『URAファイナルズマイルレース、一着は―――ロケットアロー!!ロケットアロー一着!ダンシングブレードは驚異的な伸びを見せましたが僅かに届かず二着!!シャドーエースは僅かクビ差で三着!!!四着にヴェルドロ、五着にサクラコガレオー!!激戦区が一角、URAファイナルズマイルレースを制したのは爆走特急ロケットアロー!!大逃げウマ娘がこのファイナルズの舞台でも頂点に輝いて見せましたぁ!!!』

 

「っしゃあああああ!!!勝ったぁぁぁぁ!!」

「あと少しだったのに、届かなかった……!!連覇出来なかったかぁ……」

「だぁあああバ群抜けるのが少し遅かったあぁぁぁ!!」

「阻止には至らなかったかぁ……でもまあ悔いはないかな」

「全く、何なんですか貴方のラストの伸びは……?」

 

制覇したのはロケットアロー、だが友人たちは素直にその勝利を称賛した。そして母も涙を流しながらも歓声を上げてくれていた。それに応えるかのごとく、大声を張り上げながら笑った。

 

「見たか、俺の走りを!!これがロケットアローだぜ!!」

 

そんな風に胸を張っているロケットアローを遠くから見るアーゼウス、矢張りそう簡単にはいかぬとも思いながらもこの舞台で立てただけでも不思議と満足な気分だった。今回出たのは自分がランページと同じ学校だったから故の縁。周囲はランページに続けだの、呼んで来てくれだのと言っていたが自分はそんな事は興味がなく唯々このレースを楽しんだ。そして―――満足できた。

 

「ロケットアローさん、完敗でした。本当に、お強いですね」

「応!!何せアタシは母ちゃんの娘だからな!!」

 

第二回URAファイナルズ

マイル部門チャンピオン ロケットアロー




レイザル様よりアーゼウス、マイスイートザナディウム様よりグスタフマックスを頂きました。有難う御座います!!

……どっちも遊戯王関係じゃね?
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