貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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遂に、遂に500来ちまったよ……マジでこれからどうなっていくんだ……?あと、なんかパール姐さんきました。これは来年度からプレアデスに入れろというお告げか?これ、想定しているタキオンとかファインが来るまで書いたとして、一体、何話になるんだ……?


500話

『今年より新設されたURAファイナルズ中距離2000部門、今ゲートインが完了しました。さあいよいよです、新たな伝説がこの舞台から始まります。実質的にこのレースはスタート、その始まりの王者の名を冠するのは一体誰なのか、今―――スタートしました!!おっといきなりポンと一人抜け出したのはド派手でお馴染みの黄金の貴公子オーロジパングです!!その背後につくように抜け出したのは紅玉のような瞳がチャームポイントのキタサンルビー!!』

『スタートとしてはルビーの方が上ですかね、オーロジパングは加速が素晴らしいですねぇ』

『そこからやや離れてバニシングポイント、シルクグレイッシュ、ニフティダンサーと続いております。この二人の逃げに上手く対応する為でしょうか。ホクセイアンバー、ヒッチャキリープが競りかけています』

 

「さあ陛下、更に磨きをかけて光沢を増したボクの煌をご照覧あれぇ!!」

「ほ、ほんとに元気な人だなぁ……」

 

とオーロジパングのテンションの高さに若干引いているキタサンルビー。だがその走りはその言動とテンションと裏腹に腰の重く力の入った力強いフォームというギャップがある。フォームは一切淀みを見せず重戦車のように安定感があるのに力強さからくる軽快さすら感じさせる。

 

『さあリバティーフリー、の後ろにリッシュモンとメテオロアテナイとなっております。やや縦長になっていますがオーロジパングはまだまだペースを落とす事もなく駆け抜けております。キタサンルビーもいい走りでこれに追走していきますが何処まで行けますでしょうか』

 

誰もが先頭を走るオーロジパングを注目する、どこぞの英雄王が如く全身キンキラキンというのもあるがランページを模すような逃げ方をするのでいやでも目を引くのだ。だがそれらを前にしても、後ろから激しく突っつくようなアプローチを受けてもバニシングポイントは全く揺らいでいなかった。

 

「さあ、ギアを入れますわ……!!」

 

『さあ残り半分に来ました、所でおっとメテオロアテナイが此処で上がります、此処から上がっていきますメテオロアテナイがどんどんと上がっていきます。ナイスネイチャのロングスパートを思わせるような上がり方ですがかなりの回転力です、さあ先行集団に追い付いて今っバニシングポイントに並びかけていきます』

 

一気に上がってきたメテオを横で一瞬だけ見たが、バニィは一切動じなかった。メテオはそんな姿を見て寒気を覚えた、バニィがまるでそこに居ないかのように存在感がまるでないのだ。そこに居ると分かっている筈なのに気配が捉えられない、目の前にいると認識しているのに意識がそこには誰もいないとすら感じている。まるで―――幻、陽炎。

 

 

 

『此処でバニシングポイントが動いた!!最終コーナーの入り口でバニシングポイントが一気に上がっていくぞ!!これは凄い凄い脚だ!!だがここから次々と後方からもやって来ている!!リッシュモンが怒涛の追い上げ、これは凄い!!シルクグレイッシュ、ニフティダンサーをごぼう抜きぃ!!いやシルクやニフティが落ち始めている!!そこを逃さずに付いている!!いやヒッチャキリープも来ている!!シルクグレイッシュ、ニフティダンサーと激しい競り合いだぁ!!』

 

「どっ、いっ、てええぇぇぇー!!!」

「アンタらに負けたら、私は重賞ウマ娘って看板を下ろさなきゃいけなくなるのよ!!」

「トレーナーさんの為にも負けて堪るかぁ!!」

「負けて、られないんだぁ!!!」

 

抜いたはずの重賞を勝ちあがったウマ娘達だって堪えている、重賞という一握りしか勝てない舞台を勝った者が如何して此処にいるのか……そんな事は如何でもいい。ただ勝ちたい、その一心だけがシンクロする中で―――バニシングポイントに迫れそうになった時

 

「―――私が怖い?」

 

低い声が聞こえてきて思わず背筋が凍った。

 

「さぁ輝く時が来た……華美!煌びやか!!そしてゴージャス!!!その全て!ボクだけの為の言葉さ!!」

「もっともっと、速く、強く!!」

 

前方でオーロジパングとキタサンルビーの走りが更に増すと同じように熱量も高まっていく。そんな中で……その言葉だけが静かに、冷たく響いていた。

 

「この舞台に立てたのは全て、あの人のお陰、その返礼は走りでするっ!!!」

 

リッシュモンが駆け込んだ。その風圧に圧されるかのように視界が揺らぐ、そんな中でただ木霊したのは……

 

「そんなに私が気になる?それならいいよ、『可能性』というものを見せてあげるよ。」

 

ランページの走りと重なったバニシングポイントの言葉だけだった。

 

『バニシングポイントがここで更に猛スパート!!オーロジパングとキタサンルビー必死の激走!!だがこれは、バニシングポイントがあっという間に射程圏内にまで納めて切ったぁ!!?なんという脚、此処まで二人のハイペースに適応しながらも末脚を残しているのかぁ!!?』

 

激烈な末脚だけではない、ランページを模したかのような走りは一歩を踏み出すとともに何かが重なっていく。陽炎のような何かが彼女に重なっていく……あれが可能性だというのか、と思った時その一つがキタサンルビーとオーロジパングにも重なった。

 

「まだまだまだまだまだぁ!!!もっと疾く、あの子よりも、疾くぅぅぅぅ!!!!」

「これだよボクが求めていたのは!!この熱差!!レースとは生き物、そう疾走こそがボクたちが持ちうる共通言語さ!!!さあ存分に語り合おうじゃないかぁぁぁ!!!」

 

『オーロジパング、キタサンルビーがまだまだ伸びる!!?底力を見せているぞ最早精神が肉体を凌駕しているとでもいうのでしょうか!?いやそれしかあり得ない!!オーロジパング、キタサンルビー、バニシングポイントを振り切れるか!?どうだどうなんだ!!?行けるのか!!?逃げ切ったぁぁぁぁ!!!!!バニシングポイントの追走を振り切り、勝ったのは―――オーロジパング、黄金の貴公子が逃げ切ってURA中距離2000の初代王者に輝いたぁぁぁぁ!!!二着にキタサンルビー、しかし彼女とオーロジパングの差はクビ差!!そして三着にバニシングポイント、後僅かに及ばなかった!!四着にリッシュモン、五着にシルクグレイッシュ!!』

 

「ハ~ハハハハハハッ!!!遂に立ってみせたぞこの頂点に!!ああっ今こそ親愛なる陛下に愛を捧げる時!!遂に、舞台は整い物語はエピローグへと向かうのさ!!そしてボクは貴方に全ての愛を捧げる!!ぁぁ~まるで神話の創世記のような美しさっ……!!」

 

そんな賑やかなオーロジパングを見てバニィは静かに笑った。

 

「可能性は、別の子達にもある。私だけのものなんかじゃない……キタサン、貴方達にも素晴らしい可能性が現れる、いやこの世界に、かな……?」

 

そう言い残し、バニシングポイントは静かにターフを去っていった。彼女はそのまま姿をくらましたが、表彰式には確りと姿を現し、役目を果たすと再び姿を消してしまった。そんな彼女はランページと言葉を交わしていた。

 

「ねぇっランページ、この世界に可能性はある?」

「―――あると思うよバニィ。世界は未知で溢れてるから」

 

URAファイナルズ

中距離2000部門チャンピオン オーロジパング

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