貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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504話

遂に来た。自分はこの日の為に自らを練り上げて来たのだ、自分の精神性のピーク、本当の全盛期を取り戻す為のトレーニングも、辛いマスク導入もこの時の為だけに。伝説の名に相応しい者達が今年も集ってくれた、自分もその伝説の一人として最高の走りを見せなければならない……

 

レジェンドレースの前日、ファイナルズが終了した後の夜のニュースで電話での生出演を依頼されたランページはコメンテーターから来年度はトレーナー業に専念する方針のランページに尋ねたのだ。暴君が出走しない舞台に参加者は集うのかと、それは単純な疑問だったのか、それともアンチ故のコケ落とそうとする言葉のか、それともファン故にレジェンドレースが見られないかもしれないという不安から出たのかは分からない、だがランページは堂々と答えた。

 

『無用な事を口にするな、例え俺が出ないとしても伝説の舞台は変わらずにそこにあり続ける。俺が出ないからレースが終わる?あり得ないな、そんなもんじゃねぇんだよ俺達の思いって奴は……心配だってんなら見てろ、夢を見せてやる』

 

そう言い残してランページは通話を切った、前以ての段取りを完全無視した出演の終了だが文句の一つも出なかった。どんな状況であったとしても自らを貫き通してそしてそんな思いは既に結実していた。

 

「やりますね、しかしっ私は負けません!!さあ行きますよさらに驀進!!!!」

「もうウチは走れんなってもええ!!頼むわ三女神様勝たしてや!!!」

 

レジェンドレース短距離、前年度覇者サクラバクシンオーは再度出走。そこで圧倒的な強さを見せながらも食らいつくウマ娘達も多かった、自分達の走りでスプリンターとしての魅力を見せ付けるのだという意地が垣間見れた。そんな中でバクシンオーは

 

「そのような思いでは三女神は微笑みません、ランページが言ってました。三女神は走り続けるウマ娘に微笑むのだと!!故に貴方も走り続けるのです、私のように!!!」

 

ラスト100mで1バ身まで迫ってきたミヤビクロスロード、それを更に加速してゴール板を誰よりも先に駆け抜けて見せた。短距離最強ウマ娘として名高いバクシンオー此処にありと示した瞬間だった。そして―――

 

『な、なんとサクラバクシンオー、スプリンターズステークスで自らが叩き出した1:07.1を越えたぁ!!!1:06.9!!レジェンドスプリンターレースを2連覇しながらも自らを越えたぁぁぁ!!!』

 

「これこそが驀進です!!!」

 

「これはっ、風……!?」

「間もなく玉風が包み込む……しかし、私はそれすら吹き返す嵐、疾風となって駆け抜ける……!!」

 

マイルの帝王、ニッポーテイオーが連覇を狙う中でそれを阻んだ暴風、ヤマニンゼファーが吹いた。その風はターフを舞いながらも空を漂う雲を突き動かした。彼女が走り終えた時―――空から雪が落ちてきた。

 

『ヤマニンゼファーがマイルの帝王を越えたぁ!!北颪が熱狂集う府中に吹くぅ!!!』

 

マイルの帝王を下した風は文字通り新たな風となって伝説の頂点へと立ってみせた。それを見つめる帝王は少しだけ寂しそうにしながらも拍手でその勝利を祝った。勝利の祝いの神風となって。

 

「さあ勝負やでぇオグリィ!!!」

「望む所だ、タマァ!!」

「おいおい忘れるたぁふてぇ事をするじゃないか!!混ぜな混ぜな!!」

「フフフッ楽しいですね!!」

 

中距離の部門分はレジェンドレースにも適応されている。その結果として2000ではオグリがライバル達と全力でしのぎを削り合いながらもそこに挑戦する者達という構図が見られた。そこにはアイネスやヘリオスも居り、正しく伝説の一幕に相応しいレースが執り行われた。

 

「今回は、ウチの勝ち、やなオグリィ……」

「ああ、だが今度は負けないぞ……!!」

「ならまた来年もこの舞台に上がるとするかい?」

「それはいいですね♪皆さんとっても生き生きしてますし♪」

 

制したのはタマモクロス。白い稲妻此処にありと示しながらも来年もこの舞台に上がる事を思わず検討してしまう。ドリームトロフィーリーグが悪い訳ではない、レジェンドレースはその性質上、自分の地元などの応援を直に受けられる。オグリなどが一番わかりやすく、今回もカサマツトレセンから出走している。そのやり方が彼女らにとってはとてもアガるのだ。

 

「そう言えば、このレジェンドレースの賞金って……結構高かったよな。これ、もしかして全部ランページの奴が出してんのかい?」

「さ、流石にURAが出資とかしとるんちゃうか……?」

「ランページは株やらいろいろやっててお金はいっぱい持っていると言ってたぞ、この前も外食に連れて行って貰って奢ってくれたぞ?」

「あららら、太っ腹ですね」

「ちょいまてやオグリィ!?どんだけ喰ったんや正直いいや、場合によってはランページに頭下げなあかんで!?」

 

 

『さあ短距離、マイル、中距離2000が終了しました。矢張りレジェンドレースとファイナルズは空気感が全く違いますね斉藤さん』

『そ~ですね、ファイナルズはお祭りという感じがしますね。文字通りの祭典でお祭りの目玉としてレースがあるみたいな、だけどレジェンドレースは本気で勝ちに来るって思いがビシビシ伝わってくるんですよね。自分達は此処に上がれた、じゃなくて此処に上がる事が最低条件で勝つ為に上がったんだって感じられますよね』

『同感です、レジェンドの舞台は胸を借りながらも全力で向かって行く感じですね―――さて、皆様お待たせしました。本日レジェンドレースのメインレースと言ってもいいでしょう!!!中距離2400が間もなく始まります!!』

 

誰もが待ってましたという言葉を唱えたくなった事だろう。このレースを本気で待っていたのだから。ランページが本格的に走るラストのレジェンドになるかもしれない……その言葉は数多くの伝説を引き寄せた。

 

『いきなりやって来たのは三代目トリプルティアラ!!欧州で、そしてアメリカで大逃げを貫いた青い流星、ドッカンターボで全てをぶっちぎる!!1枠1番、ツインターボ!!そんな彼女に対抗すると言わんばかりに隣を勝ち取ったのは同じ大逃げウマ娘!!今年の春、香港でのラストラン見事な勝利で飾り、現在は母国のイギリスでスポーツクラブチームの代表に就任し、暴君とも競り合った大逃げウマ娘!!1枠2番シルバーストーン!!』

 

「ターボ参上~!!ターボ一番~!!」

「今日こそ貴方にも勝つわよターボ!!」

「望む所だ~!!」

 

『こちらもイギリスのウマ娘ですが、出身は北海道!!日本とイギリスの二重国籍ウマ娘がこの伝説の舞台でどんな走りをするのか!?メジロランページに憧れ、全力で競いたい!!と願う乙女の願いは遂に伝説にも届いた!!G1を含めた重賞連勝街道爆走中!!2枠3番シルヴァリオ!!地方の軍神、ホウショウツキゲと競り合い、対となる地方の将軍とは彼女の事!!戦への準備は赤備、さあ今こそ伝説討つ時ぞ!!2枠4番ブラッククラウド!!』

 

「ミスランページ……今日、コノ時ヲ夢見テ、私ハイギリスデ研鑽ヲ積ンデ来タ……4年前ノアノ日、ジャパンカップデノ貴女ノ姿ヲ見タ時カラ……!!」

「成程、貴方も彼女に向けての気持が強い訳ね。それは私も同じ、あの日言った様に中距離に出させて貰う、貴女との勝負……楽しみにしている」

 

『彼女は伝説の舞台へと上がってきた!!時は前年度ファイナルズ、その初代チャンピオンにしてその勢いのままこの伝説の舞台へとたどり着いた刃は伝説へと届くのかいや届かせてみせる!!3枠5番シダーブレード!!帝王は皇帝を越えている!!そう断言してもいいでしょう、無敗の三冠にして海外戦線で駆け抜けた帝王が、アメリカでの勢いのまま参戦だぁ!!3枠6番トウカイテイオー!!!』

 

「いっやぁ……まさか本当にここに立てちゃうなんてなぁ……テイオーと一緒に走るとか、絶対に考えるだけ無駄と思ってたのに……」

「それでも君は此処まで来たんだから本当に凄いよ!!でも手加減はしてあげないからね!!」

「したら怒るよ」

 

『トリプルティアラの歴史は彼女から始まった!!彼女が居たからこそトリプルティアラという称号は日の目を見た、原初にして至宝、メジロ家が誇る至宝、4枠7番メジロラモーヌ!!彼女無くしては暴君の伝説は語れない、大華よりもずっと近く、そしてより前から競い続けた鉄の貴婦人!!安田記念3連覇という伝説が伝説の舞台に挑む!!4枠8番イクノディクタス!!!』

 

「本日は宜しくお願いします、と言っても私は負けるつもりはありません。初代トリプルティアラが如何ほどのものか、見極めさせて頂きます」

「いいわね貴方、ランページが認めるだけはあるわ……良くってよ、好きなだけ挑みなさい」

 

『クラシック三冠の歴史上、最も愛された三冠ウマ娘と言えば誰かと言えば彼女を置いて語れない。大地を跳ねるように疾駆するターフの演出家、5枠9番ミスターシービー!!!クラシック三冠とトリプルティアラが同時に達成される奇跡、その始まりは新たな時代の到来を告げた。暴君と並び立つ栄誉を最初に得たウマ娘、5枠10番メジロライアン!!』

 

「凄い人だね~、ライアン緊張してる?ほら笑顔笑顔」

「ア、アハハハ……シービーさんのびのびしてるよぉ……この舞台で」

 

『皆さん、彼女が帰って来てくれました!!当時、皇帝シンボリルドルフのライバルと目され期待を集めていたウマ娘、故障という悲しい運命に見舞われ、一度は潰えたかに見えた彼女の道!!だがそれは途絶えていなかった、ゲートが開いていなかっただけなのです!!さあ迎えましょう、お帰りなさいと!!!6枠11番ビゼンニシキ!!彼女を評するならば進化するウマ娘、走る度に強くなり速くなるという。それ以上の言葉は不要、6枠12番ロックスミス!!』

 

「お前がビゼンニシキか……この舞台だ、退屈させてくれるなよ」

「言ってくれるな……良いじゃないか、見せてやるよ私の走りを」

 

『さあイレギュラーのご登場です!!その走りは芝、ダートを問わずに全てをフィジカルで圧倒するスーパーエリート!!チャンピオンズカップではレディセイバー、アメイジングダイナの二人を越えての勝利をもぎ取った白いイレギュラー!!!7枠13番アームドリンクス!!さあ遂にこの舞台に姿を見せてくれました!!日本にとって彼女は伝説中の伝説、レースに絶対はないが彼女には絶対はあるとまで言われ、勝利よりも敗北を語りたくなるウマ娘!!!7枠14番我らが皇帝シンボリルドルフゥ!!!!彼女は一体どんな走りをしてくれるのか!?様々な事が謎に包まれているが、予選ではその圧倒的な実力で他者を蹴散らし伝説の舞台へと上がった謎多きウマ娘、かつては中央トレセンにいたという噂もあります!!だが此処に上がったのならば謎などどうでもいい、全力で走ってくれと言わずにいられない!!7枠15番ソウルディケイダー!!!』

 

「ケイ、君が此処に来てくれただけでも私は嬉しい。ニシキも君をずっと待っていたんだ。当然それは私も同じだ、君に会えて嬉しいよ」

「ル、ルドルフちゃん……私はレースの破壊者……努力を潰す悪魔……それでもいいなら、私は……」

「悪魔?カッコいい異名だね!!それだけケイちゃんって才能と学習能力が凄いんだね!!ねえねえランページの全身走法も出来る!?」

「え、ええっ!?あっえっと……モンスニーがやってたから、私も出来るけど……」

「凄いね会長さんの友達!!」

「ああ、私自慢の親友さ」

 

『さあやって来たぞ暴君に脳を焼かれ尽くされた暴君狂いの問題児が!!かの暴君に戦いを挑み続けた現役時代、その道のりは決して楽な物ではなく敗北と苦難に塗れていた。それでも逃げることなく鉄の貴婦人と共に戦い続けた末に花開いた大華!!ジャパンカップ2勝、凱旋門賞!!彼女の勝利は輝かしい!!8枠16番アグネスフローラ!!運命へと食らいつき、自らを取り巻く柵を振り払い、自らの力で成り上がった人生をアメリカンドリームそのものだと称する者も多い。アメリカのオグリキャップと表現する事は失礼でしょう。彼女は彼女なのです!!8枠17番サンデーサイレンス!!』

 

「いや待てヤァ!!なんですが最初の紹介!?いや否定する気ないけどそこは暴君を愛するでいいだろうがぁ赤坂ァ!!訂正、訂正を要求ふぎゃん!!?」

「るっせぇ変態が、黙ってサッサといけやボケカス」

「辛辣!!?ランページさん以上にバイオレンス!!」

 

そして最後に残ったウマ娘、また大外枠なのかと思うものも多いだろう。これも天運なのかもしれない。地下バ道から姿を見せた彼女へと大声が上げられる。

 

『伝説を築き伝説を生み出したウマ娘、この舞台へと集った帝王と皇帝を迎え撃つは最強の暴君!!!この舞台は最強の王者を決める場となった!!暴君は帝王、皇帝を越えられるのか、誰もが待ち侘びた決戦へと挑む我らが独裁暴君!!世界最速最強の独裁暴君!!8枠18番、メジロランページ!!!』

 

「待たせたな」

 

伝説の場を駆ける優駿が出揃った。間もなく伝説のレースが行われる、永久に語り継がれる舞台が今……走り出す。

レジェンドレース中距離部門 芝2400

 

1枠1番ツインターボ

1枠2番シルバーストーン

2枠3番シルヴァリオ

2枠4番ブラッククラウド

3枠5番シダーブレード

3枠6番トウカイテイオー

4枠7番メジロラモーヌ

4枠8番イクノディクタス

5枠9番ミスターシービー

5枠10番メジロライアン

6枠11番ビゼンニシキ

6枠12番ロックスミス

7枠13番アームドリンクス

7枠14番シンボリルドルフ

7枠15番ソウルディケイダー

8枠16番アグネスフローラ

8枠17番サンデーサイレンス

8枠18番メジロランページ

 

 

間もなく出走




幽々やよい様よりビゼンニシキ、マイスイートザナディウム様よりソウルディケイダーを頂きました。どちらもルドルフと深くかかわる設定ですので深く書きたいなぁ、有難う御座いました!!

というかまた暴君大外だよ、毎回毎回ちゃんとくじ引きしててこれ、こいつ呪われてる?まあフローラには呪われてるか。<イギアリィ!!
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