貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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活動報告に新しいお知らせを掲載いたしました。

ご興味があるから下記のURLからどうぞ。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=314067&uid=11127


510話

URAファイナルズとレジェンドレースは見事に大成功、来年以降も問題なく行われる事が決定しつつも各国からの御客人からの評価も上々、なのは良いのだが矢張り世界的にそれが設営される方向性になっている事は既に覆しようのない事実らしいのでこれから日本のURAはそれらの中心存在として据えられる事が決定付けられた。

 

「……ちと無理し過ぎたか」

 

そんな事など知るか、自分は既に退いてるんだと言いたげなランページは脚を摩りながらもメジロの療養所のベットの上にいた。今回ばかりは主治医から懇々と説教を受けた。何故ならば今回ばかりは全く擁護が出来ない上に幾らトレーナーとしての仕事があるからと言えど絶対安静を外す事を許容出来ないから。

 

『いいですかよくお聞きくださいお嬢様、貴方は全盛期を維持する為だけに睡眠をとらなかったのと同じなのです。肉体面は兎も角精神的には著しく消耗している、最早衰弱と言ってもよいでしょう。それが肉体にも影響を及ぼし今にあります。昨年は毎日此方に通う事で許可は出しましたが、今回ばかりはそうは行きません。確りと回復なさるまで療養所から出る事は許可できません。これは大奥様からの御許しも貰っておりますのでご理解を』

 

「あんだけ怒られたのは何時ぶりだ、そんなに無茶してたかなぁ……」

 

正直な事を言えば無茶をしていた自覚はなかった、唯々目の前に迫ってくるレースに向けて自らが滾っていく感覚を感じる事しか出来ずにいた。しかし実際に自分はレース後に倒れるように眠っていた、しかも三女神から直々にフォローが来る程度には。

 

『子羊君、君無茶し過ぎだよ。以前も言っただろう引退して君の魂は落ち着いている、それを此方で調整したのにそれを自分で大きくしてバランスを崩したら心身に多大な影響があって当然だよ?お陰で此方は酷く焦ったよ、あのまま放置してたら下手したら君植物状態だったよ』

 

自分のウマソウルは三女神から直々の調整を受けている、が今回それを自分で精神を弄った結果、魂にまで影響して現役のそれに戻ってしまった。規格が合わない機械を無理矢理繋いで動かしたような物だ、その反動が現れて今に至る。

 

「ハァッ……マヤの事だってあるってのに何やってんだかなぁ……」

「君のそういう所は素直に美徳だとは思うが、もう少し周囲に頼る事を覚えたら如何かね?」

 

何処か呆れたような声が聞こえてきたのでそちらに顔を向けてみれば客が来ていた。

 

「それをあなたが言うのかしら?」

「元気そうだね~お土産あるよ~」

 

レジェンドレースで覇を競い合った三冠ウマ娘達が居た。ルドルフ、ラモーヌ、シービー。そんな三人は何処か落ち着いたような雰囲気があった、それを見て理解し察した。きっと周囲から見た自分もこんな感じだったのだろうと。

 

「なんつぅか、なんか一気に落ち着いたな。シービー以外」

「私はこれからも自由にやるだからね、偶にプレアデスにも顔出すけど良いよね?」

「メンバーの相手してくれるなら俺は文句はない」

「偶にはランページが相手してくれるなら嬉しいけどな~」

「それは流石にスケジュール次第―――お疲れぃ会長。ちゃん先輩、シービーさんよ」

 

そう、この三人はレジェンドレースを最後に正式に引退をした。故に今年の3月を以てトレセン学園からも去る事になっている。ルドルフはシンボリ家の次期当主としての本格的な役目をこなす事が決まっており、ラモーヌはメジロ家でアサマの補佐をする事になっている。

 

「んで会長とちゃん先輩は分かったけどシービーはなにすんのよ」

「私はそのままトレセン学園でスカウトをする事になったよ、日本を好き勝手巡りながらお目に適うウマ娘を見つけてきてって理事長に頼まれてさ」

 

シービーはなんとトレセン学園のスカウトに就任していた。と言っても基本的にシービーには行動の自由が与えられており、日本を好きに巡って貰ってそこで出会ったウマ娘にスカウトを掛けるという形式を取った。ある意味シービーを繋ぎとめる唯一の手段と言えるかもしれない。

 

「一先ず、北海道か九州辺りに行ってみようかなぁって思ってる」

「へぇっお土産期待してるよ」

「白い恋人かういろうでいい?」

「前者は兎も角、後者は名古屋名物だろ」

「あれそうだっけ?」

 

笑い声が満ちる中でルドルフはランページを改めて見た、レジェンドレースの時に纏っていた覇気は完全に無くなっていた。全盛期は矢張りあの時限定だったという事か……と思いながらも意外な事にがっかりはしてない自分がいる、そうだこれは自分に一つの可能性を齎しているのだから。

 

「これから君は如何するんだい?」

「如何するたってまたトレーナー業さ、まあ主治医から許可出たらだけどな……態々お婆様に許可取り付けたうえで療養所生活強要だからな。ありゃもう鬼の形相だったね」

「それは恐ろしいな、君はもうレジェンドレースには出ないのかい?」

「さあな……上ちゃんや坂原さん次第って事になるが―――それ以上に俺は来年度入学してくる連中が楽しみでしょうがねぇんだよ」

 

そうだ、今年の4月に入学してくるウマ娘達への期待が溢れて止まらないのだ。いや正確に言えば来年度から次々と入学してくるウマ娘達だ。黄金世代の時も胸が躍った、だが矢張りこの世代の事を思うと様々な事を思ってしまうのだ。何せ―――唯一無二の覇王がやって来るのだから。

 

「貴方がそれほどまでに言うなんてね、どんな子なのかしら」

「一言で言えば……星と花だよ」

「へぇっずいぶんロマンチックな言い方するんだね。天に輝く星と地に咲く花、最強と最弱と言い換えてもいい表現だよ」

「そうだな、だけど―――最弱が最強に劣るなんて事はないと俺は思うね」

 

端的に言えばランページの言葉は圧倒的に矛盾している、最も強いと最も弱いは完全な陰と陽。それなのに花が星を凌駕すると言いたげな言い方をする。

 

「一体どんなウマ娘が来るんだろうな、私もこの目で見たくなってしまったよ」

「遊びにくりゃいいさ、テイオー辺りは喜ぶだろ」

「間違いなくね」

「だろうね」

「ハハッ違いない、その時ははちみーでも持っていくとしよう」

 

 

「ハ~ッハハハハハハ!!ああもう待ちきれない、待ちきれないさ!!僕だけのオーバーチュア、プレリュードが聞こえてくるようじゃないか!!ああっ……待ち遠しい!!」

 

「はっやく春にな~れ~♪楽しみだな~トレセン学園、友達100人出来るかな~♪」

 

そう、伝説の世代は後一歩のところまで迫っている。

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