貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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511話

療養所での集中休養、一か月の時間をかけての回復を掛けて漸く職場復帰の許可が下りたランページ。トレセン学園に復帰しトレーナー業に励む日々がまた始まった、今年はマヤのクラシック参戦にエアグルーヴのデビューも控えている。本格的にトレーナーランページも忙しさが増して来る事だろう。そんな事も思いながらも生徒会での仕事を手伝っているとまだ会長をしているルドルフがテイオーを呼び出した。

 

「テイオー、私の代わりに生徒会長をやってくれないか」

「エッ~!!?」

 

突然すぎる言葉にテイオーは甲高い声を上げるのであった。

 

「急にどういう事なの!?如何してボクがカイチョーの代わりに会長にならないといけないの!!?ワケワカンナイヨー!!」

「一先ず落ち着きなさいテイオー、ルドルフ会長に詳しい事を聞けばいいだけの事ですわ」

「まあ慌てるお気持ちは分からなくはありませんね」

 

呼び出しを受けたのはテイオーだけにあらず、声を掛けられていたのはマックイーンとイクノ。ある意味で納得の人選だ。

 

「簡単な話だよテイオー、トレセン学園生徒会は私とラモーヌで切り盛りしていたが私達は引退し同時にこの生徒会も辞める事になる。故に後任が必要なんだ」

「デモデモデモドウシテボクナノ!!?ランページイルジャン!?」

「テイオー、ランページさんはトレーナーなのですよ?」

「まっ生徒会顧問はやってるけどな」

 

以前生徒会に誘って貰っていたのに明確な回答もせぬまま引退からのトレーナーに就任してしまったのでランページなりの謝罪の代わりである。まあそもそもがルドルフとラモーヌの二人だけで生徒会を回せるのは十二分に可笑しいのだが……。

 

「でも、それならハヤヒデとかは!?同じリギルだし凄い頭いいし」

「それも考えるには考えた、だが彼女はまだトゥインクルシリーズで現役だ。生徒会はトレセン学園の生徒と教師陣を繋げる橋渡しのようなものだ、時に忙しくなるのだがそれをトゥインクルシリーズ走者に任せるのは避けたい」

「うぬぬぬっ……そ、それならマックイーンに会長を……」

 

それ程までに会長職に抵抗があるのか、憧れのルドルフが付いていた席をマックイーンに譲ろうとまでする。譲るのは嫌だが自分が向いていないのも分かっているのだろう。しかしマックイーンがそれを拒否する。

 

「ドウシテ!?」

「格の問題ですわ。テイオー、貴方は会長さんのG1勝利数を既に超えている。そんな貴方を後任にするのは納得するものも多いですわ、ですがそれよりも劣る私が会長職を務めるのは納得しない者もいると思います。ですので、するとしたらラモーヌ姉様と同じく副会長ですわ」

「そ、そんな事言ってたらボクが会長辞める時なんてどうするのさ!?」

「その時は貴方が納得に足りうる理由付けをすればいいだけの話ですわ」

「ムチャクチャダー!?」

 

騒ぐテイオーだがマックイーンの言葉は的を射ている。生徒会はそこまで絶大な権力を持っている訳でもないし生徒達の学園生活をサポートしたり、教師陣との繋がりを密にする為の組織。言うなれば運営側、そんな生徒会を頼るのは生徒達。彼女達が頼って何とかしてくれるという安心を得る為にも威厳という物は必要なのである。

 

「イクノ、お前さんも生徒会で副会長やったら如何だ。お前さんなら似合うと思うが」

「面白そうですね、南坂トレーナーから許可を頂ければ問題はありません」

「貰ってるよ」

「流石」

 

一先ずイクノとマックイーンは副会長として就任して貰えそうだが、問題はテイオー。そもそもがルドルフが引退する事を受け入れられてきたところにその後釜に座ってくれという頼み。難しいのも致し方がないだろう―――だが

 

「テイオー、お前本当に皇帝を越えたと思ってるのか?」

「ど、どういう事?」

 

不意にランページに問いかけられてテイオーは繰り返した。

 

「会長さんの凄さは唯レースで強いだけか違ぇだろ。俺やお前、マックイーンにイクノ、この学園の連中の殆どはこの人を慕ってる。この人なら安心して相談できる、思わせるだけのカリスマって奴があるんだ。反発してんのはシリウスパイセンとその取り巻きぐれぇだろ」

「ランページ、そうシリウスを悪く言わないでくれ」

「悪くは言ってない、おちょくってるだけ」

「それどう違うのさ」

 

「兎も角だ。テイオー、本当にシンボリルドルフを越えたいならお前も会長職を立派にこなしてみろ。先輩を安心させる後輩ってのも立派な務めだし、仮にも王の名前を持つお前が皇帝から直々の推薦を逃げるなんてダメだろ」

「ウヌヌヌヌッ……」

 

ランページの話を聞いてテイオーは腕を組んで酷く悩み始めた。彼女の中では会長は何時までも会長、そんな会長に自分がなる、それで本当に良いのだろうか……と様々な葛藤をし始める。

 

「……ボク、会長みたいにカッコよくない」

「走っている姿は私にも劣らないだろう、寧ろ結果から見れば私を越えているじゃないか」

「カイチョーみたいに頭良くないし……」

「何言ってるのよ、貴方成績最上位じゃない」

 

次々と不安要素を上げていく、だがルドルフとラモーヌはそれを丁寧に一つ一つを論破していく。不安要素を覆せるだけの能力は元々テイオーにある、後は精神面の問題だけとなった頃……。真剣な表情でテイオーはマックイーンとイクノに向き合った。

 

「マックイーン、イクノ。ボク、会長になる。でもボクはまだカイチョーみたいに完ぺきにこなす事は出来ない。だから……ボクに力を貸してください。カイチョーみたいに出来ないけどボクは出来るだけ出来るように努力するから」

「それまでで結構ですわテイオー。素直に誰かを頼る事が出来るのは美徳ですわ、貴方の補佐を、副会長をお引き受けしますわ」

「私も引き受けましょう。副会長として不足ない活躍する為に努力しましょう、テイオーさんも同じように努力する、それでいいと思います」

 

こうしてテイオーはルドルフから会長を引き継ぐ事になった。副会長にマックイーンとイクノ。こうしてトレセン学園でも世代交代は進んでいく。そして季節は廻り―――また新しい一年がやって来る。

 

ランページ、トレーナーとして3年目を迎える事になる。




次回、ランページトレーナー3年目編。覇王世代、入学編!!
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