貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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530話

名選手は名監督にあらず。今回ダービーに2着に惜敗したマヤノトップガン、その事をマスコミは面白おかしく報道しようとしたのだが先手を打ったランページによる会見が行われた。それは

 

「おはこんハロチャオ、貴方の心の暴君メジロランページです。今回試験的に私のチャンネルにて私が受け持つチームプレアデス、マヤノトップガンについてのインタビューをさせて頂く事になりました。既にインタビューそのものは受けましたが、矢張り此方の方が視聴者の皆様方との距離も近いですし様々なご意見も頂けるのでこのような場を取らせていただきました。そして今回はあくまで試験的という場である事をご了承いただきたく存じます。そして公平性を保つために月間トゥインクルから乙名史記者様にも参加いただくことになりました」

「このような場にご招待頂きまして光栄です!!」

 

記者が記事に書き上げて出版されたりネット記事として出されるよりもずっと早くに配信で自らのコメントを更に発信する事にしたランページ。そこでは様々な意見を貰うことが出来た、そして何より―――

 

「今回ダービー二着をどう受け止められておりますか?というコメントが矢張り多いですね」

「そうですね、私個人としてはマヤの走りは極めて立派且つ素晴らしい物だったと言わざるを得ません。これはプレアデスのトレーナー全員の総意でもあります。解説のルドルフ会長も言ってましたけどオンリーワンの走りをしてましたから得るものは多かったです」

 

インタビューという体裁もある為に真面目にやっているランページなのだが……

 

・正直、あのさ……

・言いたい事は分かる。

・だよな。

・正直―――キモイ

・畏まってキモいよな、何時も見たいな権力何それ美味しいの?みたいなのが良い。

・キモいって言ったやつ、特定してやるから待ってろ―――アグネスフローラ

・ヒェッ⁉

 

「こんな感じのコメントが大量に来てるんですが……」

「つってもこれからトレセン学園でも導入予定だから初回位はきっちりやったろうかなぁって思ったんだあ……まあいいか、文句あるなら全部俺の所って事で。ンじゃまあ言うけどさ、俺が言うのもなんだけど俺まだトレーナー歴3年目だぜ、しかも事実上去年からデビューする子持った。ンで昨年は無敗でG1は一つ取らせ、今年はG1勝ててねぇけど皐月4着でダービー2着。普通に言って、記者にトレーナーとして貴方は向いていないのではないですか?とか言われる筋合いなくね?重賞どころかってトレーナーはハッキリ言って多い、そう言う勝負の世界で新人区分の俺は既に結果出してると思いますけどねぇ……?」

 

・うわ思いの他ハッキリいいやがった。

・そうそうこの位ハッキリさせるのが俺達の暴君だぜ

・実際普通にトレーナーとして普通に凄いもんな、勝つどころか重賞勝ってるし

・G1取らせてるしな。これで向いてないとか聞く方が向いてねぇわ

・一勝するだけさせるだけで強いって話聞くもんな。

・見てる側とやってる側の違いって奴だな。

 

「ンでまあ今回の敗因は……ぶっちゃけ解析不能だな、マヤは間違いなく最高の走りをして俺も勝つと思った、だがそれをフジが越えていったとしか言いようがない。参るよなぁ全く参るよ……これだからレースは面白い、だからこそ次は勝つ、最後の菊花賞はマヤが勝つ。マヤは元々ステイヤー気質な所がある。中距離路線にも出してるが正直2000以上だから出せるだけあいつにとっては長い程実力を発揮出来る、3000なんてマヤにとってはそれこそ独壇場だ―――ダービートレーナーになれなくて残念でした?生憎俺はそれ以上の称号を大量に持ってる、今更一国の宰相クラスになんて収まらねぇんだよ」

 

・う~んこの怖いもの知らず。

・やっぱそんだけフジの走り凄かったんだなぁ。これ最高の褒め言葉じゃね

・暴君からのお墨付きかぁ……。

・これで評論家は下手なコメントできなくなったな

 

「解説のルドルフさんもお二人の走りを物凄く褒められらっしゃいました、矢張りフジキセキさんの走りはこの世代でも飛び抜けていると言っても過言ではないのでしょうか!?当初三強と思われていましたが四強という事になるのでしょうか!!?」

「その辺りの評価は見てる皆様がする事だな、誰が強くて誰が好きなのかそれこそみんなで決める事だ。俺達トレーナーは別にそこは気にせずにレースに向けて努力するだけよ」

 

様々な質問に応えながらもランページは結局己を貫き続けた、普通のトレーナーだったならば保守的になる所を全く気にすることなく突き抜け続けた。特に記者に対してはそういう事が必要であるのにも拘らず、寧ろ記者のこういった所はダメだとか何も考えてないとか思慮や思考が足りないと言った部分をバンバン指摘していく。

 

「乙名史さんももうちょい落ち着きもったら美人記者として選り取り見取りだろ、先走り過ぎなんだよ。まあ書いてる記事にそれら載せてないから別にいいけどさ」

「先輩からも言われるんですがやっぱり自分の中に溢れた事はストレートに伝えたいじゃないですか、例え過剰であったとしても私はその位の熱意を感じています!!ってお伝えした方が取材している側としてされる側への敬意でもあると思います!!」

「だとしても行き過ぎてる感あるけどな」

 

そしてランページは締めくくるように言った。

 

「マヤはこれからまだまだ強くなれると確信してる、今年はエアグルーヴっていうのもデビューする。俺はチームの全員を信頼している、それが俺に出来る最大限且つ最低限の礼儀だ。俺のチーム・プレアデスに入ったからには全員俺の可愛い子供達、俺は皆を信じ続けるし支援し続ける」

 

そう言いながらカメラを掴んで見上げるように傾けながら、それを見下ろすようにして言った。

 

「それに言の刃を向けるなら、覚悟しとけ。それ相応の物を書かねぇなら……俺が潰す」

 

そこで配信を切った。余りにも大胆不敵且つ強気な言葉だった。だがそれに対して乙名史は滂沱の涙を流していた。

 

「素晴らしいです……ウマ娘の為ならば自らの名誉が傷つく事も恐れる千尋の谷へと飛び込む事も勇んで身を投げる程の覚悟、心に染みわたりました。担当ウマ娘やチームのウマ娘の為ならば幾らでも身を張る、これこそトレーナーの真のあるべき姿―――こ、この事を是非記事にさせてください!!!」

「言ってるだろ、貴方の事を信頼してるってな。好きに書きな、但し常識の範囲内でな」

 

ウィンク交じりに笑うランページに応えるように乙名史が今回の事を記事に纏めた上げた時、それをチェックする先輩は今まで以上に真面目だが真摯な気持ちが伝わってくるような内容に驚いたが同時に乙名史の事を見直したという。

 

『私はその時トレーナーはこうあるべきだと思いました。トレーナーとは担当ウマ娘の最大の味方であり相棒なのだと。彼女らと真摯に向き合って共に歩んでいく者こそがトレーナーなのだと。そんな彼女の事をこれからも取材させて貰える事への信頼と責務を私は果たしておこうと思う』

 

と最後には綴られていた。この記事は大好評で月間トゥインクルは歴代最高峰の売り上げを記録したという。




「ラストのランページさんやべぇ……見下ろされて、言葉攻め……ハァハァハァッ……うへへへっ……もっと、もっと私を見下してぇ……」
「フ、フローラさんどうしたんだろ、なんか息荒いし調子悪いのかな……?」

そんな風に心配するライスが目撃したのはVR機器に先程の配信のラストをインプットした物を堪能し、ヘヴン状態になっているフローラの姿だった。
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