貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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534話

「はい、という訳で昨日はいっぱい遊べたかな?」

「遊んだ~!!」

 

元気よく声を張り上げるウララ。合宿初日という名の前日入りをしたプレアデスの面々、その日はまるっと遊びに使って環境に慣れさせた。更に大所帯になったプレアデス、初日の遊びの時間は想像以上に喧しく、女々しい物になった。

 

「マヤはね、トレーナーちゃんがジェットスキーに乗せてくれたんだよ!!」

「ほ~そりゃよかったな、つうか坂原さん動かせんの?」

「出来るよ。カッコいいなぁ~と思って若気の至りで行動に移した結果かな」

「青春してんな~、俺なんてじゃんけんで負けてスイカ割りの時に埋められて頭われるかと思ったんだぞタイキに」

「Oh~上ちゃんトレーナーSorryデース……」

「あん時の焦り具合は傑作だったよなぁ」

「黙れやステゴ!!お前には分からねぇだろうなぁ、目隠ししてこっちに迫ってきたタイキの圧力と俺の頭とスイカの間に振り下ろされた棒の破壊力なんてなぁ!!?」

「軽くクレーターみたいになってたもんな」

 

坂原と上水流では全く違う印象となってしまった初日、と言っても二人も二人で相当に楽しんではいた。今年も確りとバーベキューをやったし花火大会もやった、十分に楽しんだ、ならば次のステップに進むまでだ。

 

「という訳で今日から本格的に合宿を開始する訳なんですが、今回ご招待したゲストの方々を紹介いたします」

「ああ、やっぱり今回もそう言うのあるのね……」

 

好い加減にこのプレアデスの異常性に慣れ始めて来たキングはまたレジェンドが来るのか……と僅かに遠い目をしたが、直ぐに気を引き締め直して強くなれるチャンスなのだから確りしなくては……と前を向くのだが、改めてやって来たメンバーに声出そうになった。

 

「この子達ね、貴方の教え子というのは……ふぅん……そこそこね」

「アンタからしたらルドルフ会長だってそこそこな癖によういいますねぇちゃん先輩」

「よっ今年は来てやったぞ、スズカとサニーは俺担当で良いんだよな?」

「取り合えずそれは確定っすかね~……」

 

初代トリプルティアラのメジロラモーヌにルドルフとシービーを同時に破ったカツラギエース。本当に凄いウマ娘しかいない、母の知り合いも凄かったがまさか指導の為だけに此処までの面子を呼ぶなんて事は有りえなかったのでキングは興奮を抑えきれなくなってきた。

 

「ンでこっちが呼んでもいねぇのに自主的に来た暇人のサンデーサイレンス」

「おう誰が暇人だ誰が」

「呼んでもねぇのにGT-Rのうるせぇエンジン音響かせながら来たのは誰だと思ってんだ」

「私は面白そうだからサプライズ目的で来ちゃった♪」

「ま~姉さんったら悪戯っ子♪」

「テヘ♪」

 

そしてお馴染みネメシスのサンデーサイレンス、そして―――途中でサンデーと遭遇してバトルしながらやって来たというマルゼンスキー。予定はなかったし力になれるなら喜んで参加したいという事なので前年に引き続いて参加する事になった。

 

「す、すごい人ばっかり……」

「あのお姉様いつも思うんですけど合宿でこんなにお呼びしても良いんですか……リギルとかだとそういうお話は全然聞かないんですけど……?」

「そりゃ聞かねぇだろ、俺とおハナさんじゃスタンスが違い過ぎるからな」

 

東条トレーナーは管理主義、自らがチームメンバーのメニューなどを確りと管理した上でそれぞれと対話をして柔軟にそれらを調整していく。それらは東条トレーナーがそれら全てに責任を持つという強い信念と行動から出来ている事。

 

ランページの場合は決まった主義はない、強いて言うならば基礎重視。その程度でしかない、それに加えてランページは自らが現役時代に築き上げたコネを使う事に一切の躊躇もないし必要であればメジロ家の力も身銭を切る事も厭わないので一部では理事長スタイルとも言われることがある。

 

「でもおハナさんはおハナさんで自分で全部の責任を背負い込みすぎる所があるのよね~……ルドルフちゃんが負けた時なんて凄い非難轟々で大変だったのよ?」

「あの人真面目だからなぁ……向けられる評価は全てのみ込んで力に変えるって感じなのはいいけど真正面から受け止めすぎる、どうせ世間の感想なんて受け止めすぎたらパンクするのに……適当に受け流すって事が出来ない不器用な人だなぁって思いますよ」

「でもそこが良い所でもあるんだけどね」

「っすよね~」

 

矢張りこの二人は相性がいいのかキャッキャッと笑い合うマルゼンとランページ。時々飛び交う死語は若い子達は分かっていないのか耳を回したり、ウララはキングやアヤベに聞いてみたりしている。それらの対応にオタオタとしていると近場の道路に一台の車が止まった。

 

「おっ来たか」

「何だ他にも誰か呼んでたのか?」

「アンタは呼んでねぇけどな、まあそうだなマヤやエアエア、後ステゴの為の人を呼んだ。サンデーアンタも満足すると思うぞ」

「ほう?」

 

それは期待してしまうじゃないか、とサンデーはワクワクさせながらも誰が来るのかを待つのだがその中でドーベルとキングは顔を青くした。

 

「ド、ドーベル如何したの顔色悪いわよ?」

「キングちゃん如何したの?日射病!?」

「帽子被りマスか?!」

 

と心配を掛けられるのだがそれすら耳に入らなかった。何故ならば止まった車は知る人ぞ知る高級車、メジロ家でも使われるような代物。キングの場合は母に連れられて行くパーティ、その迎えとしてやって来たのがああいう車だったことがある。そして運転席から運転手が下りると流れるような動作で席を空けた。

 

「やれやれ、こういう車は如何しても慣れんな。私は一般車が合う」

「あらあらそれじゃあ今度はそういうのにしないといけないわね」

「しかしまあなんとも、我々がつく前に凄い面子がいますねお婆様」

 

降り立ったのはランページにシンザン鉄を与え、そしてロンシャンの坂すら苦にもならない程に山を走り込ませて鍛え上げたシンザン。海外遠征ではトレーナー代理を務め、トレーナー職への復帰が願われているスピードシンボリ―――前生徒会長にして日本の皇帝、シンボリルドルフがそこにいたのである。

 

想像以上の登場にプレアデスの面々が愕然とする中でランページだけはフレンドリーに声を上げた。

 

「態々来てくれて感謝してるぜ~シンザンパイセン、脚鈍っちゃいねぇよな~?」

「小娘が、私の心配をするなんて10年早いわ」

「スーちゃんきてくれてあんがと~愛してるぜ~」

「私も愛してるわよ~何時でも嫁に来てくれていいからね~♡」

「ンでまぁた呼んでないウマ娘が増えたな、俺の所よりおハナさんの所行った方が良くね?」

「私もそう思ったんだが、お婆様に誘われて断り切れなくてな。この後顔を出しに行こうと思っているよ」

 

「わ~凄い凄い!!凄い人たちがいっぱい、凄いねキングちゃんアヤベちゃん!!」

「え、ええそうね……」

「ほ、本当に凄すぎてもう何が何やら……」

 

そんな反応を他所にランページは振り向きながら笑って言った。

 

「それじゃあ皆始めようか、プレアデスの夏の合宿を」

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