貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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54話

「それではカノープス、定例会議を行いたいと思います」

「お~っ!!」

 

何時しか定例化した会議、元々はターボとタンホイザが自分達がどうやったら活躍出来るかを話し合う為にセッティングしたものなのだが、折角だから活用しようとランページが取り計らった結果、南坂も協力した本格的な物へと発展していった。

 

「今回の議題はこれからのスケジュールについてです、ランページさんとイクノさんの次走は9月のローズステークスで構いませんね?」

「応よ、後一冠も完璧に戴冠してやるよ」

「今度はそうはいきません、次こそは私が頂きます」

 

既に勝った気でいるランページを牽制するイクノとそれを受けつつも飄々としているランページというお決まりの光景が広がっている。無敗での三冠を果たすのか、それともイクノがそれを阻止するのかというのも大きな見所になっているティアラ路線。そんな先輩二人の背中を見ながらもデビューの日を今か今かと待ち侘びているターボは好い加減我慢できないと言わんばかりに声を上げた。

 

「ムッ~!!トレーナーターボも好い加減にデビューしたい~!!イクノだって去年の7月にはデビューしてたじゃん~!!」

「ターボ落ち着きなって、と言いたい所だけどネイチャさんとしてもデビューしたい気持ちはあるね」

「そろそろそう言われると思っておりました」

 

そう言いながらも南坂はホワイトボードを軽く殴る。回転しながらも裏側になった所でそれをぴたりと止めた、そこにあったのは―――ツインターボ、ナイスネイチャデビュー日決定!!とデカデカと書かれていた。

 

「おおっ!!トレーナーさんそれってもしかして……!?」

「はい、お二人のデビューの日取りが決定しました」

「やったぁ~!!何時何時!?明日!?」

「流石に違いますよ、お二人とも9月を予定しています」

「9月か……まあ暑い夏の後だから良い時期だね」

「やった~デビューだ!!」

 

思わず飛び回ってしまうターボ、ネイチャも落ち着きを取り繕ってこそいるが口角は上がり尻尾と耳が嬉しそうに動いている。

 

「おっ~!!ターボにネイチャもおめでとう~!!」

「9月か……南ちゃん大丈夫かよ、俺達のローズステークスもあるんだぜ?」

「この位なら大丈夫ですよ。平気な顔をして二冠を達成されるよりもずっと楽です」

「こりゃ一本取られたな、んで距離は?」

「ターボさんとネイチャさんも芝1800です」

 

マイルでのメイクデビュー、それならば問題はないだろう。特にターボはその距離ならばスタミナも持たせる事は出来る事だろう。ネイチャは言わずもがなだしきっと勝つこと間違いなしだろう。

 

「う~もう辛抱できない!!今から走ってくる、デビューに迎えて特訓しなきゃ!!」

「ああおいターボ!!行っちまったか」

「追いかけて来るね!!」

「もうそのまま特訓させちゃおうか、そっちの方がターボも静かだろうし」

「一理ありますね、それでは行きましょうか」

 

とカノープスメンバーが次々と向かっていく様子にランページは思わず一言。

 

「大本はあいつが始めた会議なのにあいつがいの一番で投げ出すって如何よ」

「ターボさんらしくはありますけどね、まあ私としてはトレーニングをしてくれるのは有難いですが」

「まあ面倒臭がってやらねぇよりかはマシ……なのかあれ」

 

それでもまだ議題は残っていたんですがね、と困り顔で笑っている南坂に対してやっぱりまだあったんじゃねぇかよとランページは席に着き直すのであった。一応自分がこのチームのキャプテンというか纏め役的なポジションなのでチームトレーナーからの話には確りと耳を傾けて置かなければならない。それを分かってくれているランページには南坂は素直に感謝している。

 

「それですね、二つ目の議題というのか加入希望者が増えてきている事なんです。しかし如何せん人数が多い物ですからどうしますかという事だったんです」

「あ~うん、俺が悪目立ちしてるもんな。そりゃ俺が聞かねぇと不味い話だわ。んでどん位いんの?」

 

尋ねてみると直ぐに紙を渡された。そこにはカノープスに加入希望を出しているウマ娘の名前があるのだが……思った以上に名前があった。

 

「何これミーハーって奴か?」

「違うと思います」

「しっかし思った以上にいるもんだな……んっ?」

 

その中に知っている名前があった、それは以前顔を合わせたウマ娘の名前……ウイニングチケットの名前があった。今の所、ビワハヤヒデとナリタタイシンの名前はないが、以前の絡みを考えるとあの二人がカノープスに来る事もあり得るのか……というか本当に世代が一つ入れ替わってもそこにはほぼ確実にスターが居るのだからこの世界の凄さを改めて感じる。

 

「流石に全員を私一人で見る事は出来ませんし何人かに絞る必要があるのですが……」

「選抜レースで入部試験をやれば良いんじゃねえの?そこで上位成績出したら合格的な」

「やっぱりそれが一番ですかね……ではそうしましょうか、丁度来週には選抜レースがありますし」

 

そう言われて思い出した事があった、来週の選抜レースにはライスが出るのだった。そこで彼女のトレーナーが見つかればいいのだが……。

 

「そうだ南ちゃん、どうせだからそこでライスの事も見てやってくれね?」

「ライスシャワーさんをですか、構いませんが何か?」

「いやさ、ライスの奴トレーナーがいないってちょっと不安がっててさ、いざとなったらカノープスに入ればいいって言っちまってさ……だからいざって時は南ちゃんがスカウトしてやってくれねぇかな~って」

「成程そういう事でしたか。勿論、ライスさんならカノープスに喜んでお誘いさせて頂きます」

「そりゃ助かるわ」

 

それを聞けて思わず安堵する。彼女に対してあんな大見得を切ったとのに断られたらどうしようかと思っていた。まあ彼女が自分でトレーナーを見つけられればこれも要らぬ配慮ではあるのだが。

 

「一応聞きますが、秋華賞の後はエリザベス女王杯ですよね」

「言わずもがな。あ~でも有は今ん所考えてねぇ」

「はい分かりました、そのようにしておきますね」

「いっその事、エリ女の後にJCかマイチャンにでも殴り込むとか面白くね?」

「エリザベス女王杯の後だとマイルチャンピオンシップ中1週どころか来週なんですけど……流石に休んでください」

「え~い」




流石にエリザベス女王杯からマイルチャンピオンシップと聞いた時は血の気が引いた南坂。

尚、史実イクノは古馬時代に天皇賞(秋)11/1 → マイルチャンピオンシップ 11/22→ジャパンカップ 11/29 のスケジュールでG1連続出走した模様。
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