貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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540話

「フゥッ……ウララさん貴方は大丈夫なの?」

「うん大丈夫だよ!!高知だとね、ダートって深かったりするから平気!!それに私ね、友達とよく漁師さんの所に行ってたんだ~お手伝いしたらお魚くれたり、漁師飯?っていうのを食べさせて貰ったりしたんだ~」

「お、思ったよりも活動的なのね」

 

砂浜を走るウララを見ながらもパラソルの下で休憩に入っているアヤベ、海に入ってのスクワットに砂浜でのボールキャッチ、カノープスから受け継いだ基礎練メニューはまだ入学したばかりのアヤベに辛い物があった。そんな彼女とは対照的にウララはメニューを楽し気且つどんどんとこなしていく。

 

「ウララさん、もしかして凄い才覚があるのかしら……?」

「ちょっち違うな」

 

背後からランページが現れる、その手にはラムネがありアヤベへと差し出した。おずおずと受け取りながらもラムネの開け方に苦戦しているとランページが代わりに開けてやった、良く冷えて身体の中に染みわたる様な甘さと炭酸の刺激が疲れた身体を癒してくれる。

 

「あっラムネさんだ~!!」

「ウララも水分補給はしとけよ?」

「ハ~イ!!えいっ!!」

 

ラムネを一発で開けて両手で抱えるように飲むウララ、その姿からもどうしても幼げな印象を受けるのだが、実は凄いウマ娘なのかもしれない……。

 

「ウララは言うなればリンクスに近いタイプだな」

「リンクスって……もしかしてアームドリンクスですか、ランページも対決した」

「そ、芝ダート両刀のフィジカルエリートだ。あいつの場合は文字通りに身体が強いがウララも方向性は違うけど身体が強い、ウララの場合は丈夫なんだ」

 

「よし、ウララちゃん少し休憩したらまた走り込み、その後は海に入って泳ごうか」

「泳いで良いの!?」

「遊んでいい訳じゃないぞ?」

「わ~い!!」

「いやホント分かってる!?」

 

元気に走り出していくウララの姿を見てアヤベはランページの言いたい言葉の意味が解せた。ウララは自分と同じメニューをこなしている筈なのに元気が損なわれていない、自分が砂浜になれていない事を差し引いても余りにも元気が過ぎる。それは身体が丈夫だからこそ。

 

「それにウララはいつも元気だろ、病は気からっていうだろ。気持ちが落ち込んでると身体って奴は正しい力を発揮出来なくなる、無意味な精神論を正当化する訳じゃないけど精神面って奴は肉体的にも大切なのさ。健全な精神は健全な肉体に宿るともいうだろ、つまりイコールなんだよ」

 

確かに、自分も妹の事が解決してからは体調もいいし練習にも身が入るようになった。そう思えば精神が肉体に及ぼす効果というのは計り知れないのかもしれない。

 

「……ランページさん、私はデビューしたらどの位のウマ娘になれますか」

「ダービーウマ娘」

 

不意に将来の事が心配になって尋ねてみたらノータイムで返答が返ってきた、思わずギョッとなりながらもランページの方を見ると寝っ転がりながらラムネを飲んでいた。

 

「ダ、ダービーウマ娘って……ランページさん、冗談が好きですね」

「俺ちゃんは確かに冗談は好きだ、だけどこれはマジだぜ。お前にはそれだけの素質がある」

 

マヤですら勝てなかったダービーを自分が勝てる、何を言っているんだ……そんな事ある訳が―――

 

「アヤベさんや、クラシック三冠路線のそれぞれには求められるものが違うとされる。それぞれ何を持つ者が勝つと言われているか分かるか?」

「え?あっはい、えっと皐月賞が速さ、ダービーが運、菊花賞が強さ……ですよね」

「そう、マヤの場合は文字通り時の運で上回られたんだ」

 

フジのエンターテイナー気質とフジを慕うポッケの声援、それらが引きだした肉体の潜在的な強さの全て。時の運で負けたとしか言いようがない。菊花賞ではそれらを纏めて強さでねじ伏せるつもりでいる。そしてアヤベは……

 

「お前には俺が付いてる、独裁暴君たるメジロランページがな。それはマヤも同じだって?マヤとお前さんとじゃ俺の意味合いは違うだろ、妹さんの事は普通に考えれば解決は難しい。だがそれと対話出来る存在が傍に居る事はお前にとってこれ以上ない幸運だったんじゃありませんかねぇ?」

 

お前にとってこれ以上の幸せはあるか、これ以上に運に恵まれている事はあるのか。既にアヤベは最高峰の運をその手に掴んでいる、後はその運が引き寄せてくれた様々な事象を力に変えるだけ。それらは彼女にしか出来ない事だが、出来ると信じている。

 

「お前の相手には沖さんのナリタトップロードに和多ちゃんのテイエムオペラオー、それにスズカの妹のラスカルスズカと相手に恵まれている。そういう意味でもお前は運がある、ライバルが豊富ってのは良い事だ」

「そう、なのかしら。三冠ウマ娘になる為には相手の強さも重要って聞いたけど……」

「一般的にはそうだな、良くも悪くも相手の強さに左右されるから弱い事も大切だが―――どうせなら強い相手に勝った方が気持ちいいし闘争心、掻き立てられるだろ」

「それは、はい」

 

覇王世代は本当に逸材が多い。トプロやオペラオーだけではない、ラスカルスズカだけではなくトウカイポイントにスティンガー、マグナーテンなどなど凄い存在ばかりだ。なんだったらこの中にオペラオーさえいなければと言われるドットさんことメイショウドトウだって加わる。黄金世代も凄いがこの世代だって怪物ばかりだ。

 

「ねえねえランページさんアヤベさんと何お話してるの~?」

「んっ~何、アヤベさんは凄いぞ~って話」

「え~そうなんだ~!!アヤベさんは凄いんだ~!!」

「ラ、ランページさん!?」

「スぺちゃん達にも教えてくるね~!!」

「待ってウララさん本当に待って!!?」

 

「仲良くていいな~」

「いや原因だろお前」

「気にするな上ちゃん」




RPG7様より、500話記念という事で新しいランページの絵をいただけました。目次でも掲載していますが改めて此方でもお知らせさせていただきます。

RPG7様、本当に有難う御座いました。


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