「フゥッ~……いやぁG1レース後の一杯は落ち着きますなぁ」
阪神ジュベナイルフィリーズ後、ランページは自宅でのんびりとしていた。と言ってもこの後は有馬記念やら今年のURAファイナルズとレジェンドレースに関わる事になるのでこれが最後ののんびりタイムと言えなくもないような気がしてならない……実際はそんな事ないだろうが気分的にはそんな感じである。緑茶を啜りながら煎餅を齧る姿が世界をその神速の脚で制した独裁暴君とは思えぬような姿であった。と言っても元々一般家庭出身なのはこの程度が一番性に合っている。
「そう言えば何時かこの家に上ちゃんが来るのかねぇ……空き部屋に物を突っ込んでる事はしてねぇけど掃除は定期的にしとく必要が―――」
「きゃんっドル!!」
「みゃぁっ!!?」
「WOW!!?」
「わぁぁぁっ!!?」
「ありそう……」
突然、リビングに赤い渦が出現した。そしてそこから大きな音と共に複数の人影が落ちてきた。突然の事に湯呑を落としそうになるが必死に堪える。だが同時に妙な既視感に襲われた、赤い渦と堕ちて来る人影……もしやと思ってリビングの一角においてあるミニサイズ三女神像が光っている、主にダーレーアラビアンの像が光っている。
「ぁぅっ~……一体何なんだ?こんなボッシュートされるような事なんてした覚えがないぞ……?」
「(ぐぎゅるるるるるる~……しょ、食堂まで後一歩だったのに……)」
「そういう問題デスかってWHAT!?タ、タイクーンにキャップッ!?そんなにヤングになって如何したんですか!!?」
「ふわぁ~……あれっ~お姉様方如何したんですか~?」
思わず眉間を抑えてしまった。あの駄女神……今度は雑にブッ込んできやがった……!!
「あ、あれお母さん!?あれでも私は生徒会室で仕事をしてた筈……あれ?いつの間にワープ検定取ったっけ?」
「か、母さん―――ゴメンなさいお皿洗いとかちゃんとやるからご飯をっ―――もう駄目……」
「CAP!!?マ、ママ大変キャップ姉さんが倒れたわ!!?」
「あら~ご飯の用意しないとダメですね~」
「ゆっくり出来そうもねぇなおい……」
「久しぶりの母さんの料理っ!!もう本当に限界だったところにおふくろの味っ!!堪らない!!(ガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャガツガツムシャムシャ!!!)……ふぅっ……大満足だ……」
「そりゃど~も……なんか悪いないきなりお使い頼んで」
「い、いえ……」
「キャップ姉さんの底なし胃袋は知ってたつもりですけど、これは想像以上デース……」
「見てるだけでお腹いっぱいになりそうですね」
家の食材では足りなかったのでお使いを頼んで食材の調達をして貰う事数度……漸く満足が行く量を仕上げる事が出来た、あれだけ作ったのにあっという間に消費されていく姿はオグリキャップを連想させられるが……もしかしなくても頭のティアラはリスペクトしているという奴だろうか。
「ンでもしかしてなくてもあれか、お前ら……俺の、娘って奴か?」
「あっ凄い、流石母さん分かるんですね!!」
「何を言ってるんだタイクーン、私達のお母さんだぞ?分からない筈がないだろうに」
「流石私達のママでーす!!」
「当然ですね~♪」
はい確定。つまり前にもあったアマテラスやらツクヨミと同じくという訳だ……あの駄女神、本当に好い加減にしろよ……。
「しかし私が知ってるトレジャーとファンタジーはまだ幼子の筈……時間軸がズレているのか?」
「多分ソーデスね、私達の知ってるタイクーン姉さんとキャップ姉さんはもっと大人デース」
「えっちょっと待って俺そんな時まで子供産んでるの?」
話を聞くとこの中で一番上のタイクーンは三女、つまりアマテラスとツクヨミの妹になるが、あの二人は双子なので実質的な次女に近い立ち位置になる筈……そんなこの子が知らないとなると……少なくともトレセン学園に入っている時期に最低でもファンタジーを産んでいる事になる……そうなると自分と上ちゃんは相当にハッスルしている事になるのだろうか……?
「……子宝に恵まれすぎだろ……」
尚、全員確りと健康に生まれてきたらしい。三女神のご加護な事をランページは知らない。
「改めて、私はメジロタイクーンです。これでもトレセンの生徒会会長を務めさせて貰ってます。尊敬するウマ娘は当然母さんと皇帝シンボリルドルフさんです、よく遊んで貰ったので」
取り合えず自己紹介をしようと取り持って挨拶をしてきた。三女ことメジロタイクーン。主戦はダート、ルドルフと同じような流星を持つ栗毛と金髪が混ざったような長い髪が特徴。
「母さんに挨拶というのも変な感じだな……メジロキャップだ、好きな事は母さんと食べる事だ」
続くのは大食いのメジロキャップ。葦毛にオグリのようなひし形のティアラがトレードマーク。但しティアラのひし形はランページの髪色に倣って金、そして自分の髪色に合わせて銀にしている。
「YEAH!!メジロトレジャーデース!!最近まで海外で走ってたのでこういう感じにしてマース!!尊敬する人はタイキシャトルさんデース!!」
自分と同じく尾花栗毛で元気いっぱいなウマ娘のメジロトレジャー。どうやら直近でジャック・ル・マロワ賞、BCマイルに出走したという。自分の血筋なだけあって海外に強いらしい。
「私はメジロファンタジーです~これでもダービーウマ娘なんです~♪」
のんびりとした口調で話す栗毛のメジロファンタジー、随分とのんびりとした性格だがダービーを制するだけの力があるのだからその実力は確かなのだろう。
「しっかしまあ、こんな娘が多いとはなぁ……息子とか出来てねぇとか上ちゃんの肩身狭ぇだろ」
「いますよ?途中で双子で弟が出来てますし」
「うぉいまた双子かぁ!!!どんだけの確率で産まれてんだよ!!」
息子が出来た時は上水流は涙を流して喜んだとか、これで念願だった息子とキャッチボールが出来るとマックイーンと一緒に喜んでいた。
「なんでマックイーンが喜んでんの?」
「だってほら、あの野球大好きだし」
「マックイーンさんなら一緒に野球して、私の投げた球を打ち返しましたの!!将来はプロ野球選手間違いなしですわ!!って騒いでマーシタ」
「何やってんだよマックイーン……」
「甘いぜラン姉ちゃん、今回はこのゴルシちゃんがゴルシワープのちょっとした応用で送り込んだんだぜ?へへん楽しんで来いよ~♪」
以前のアンケートで毎年産駒来襲してほしいという意見もあったのでさせる事にしました。