貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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583話

URAファイナルズ中距離2000部門、王道の中距離路線だが何方かと言えば人気で言えば2400の方が強いのは言うまでもないかもしれない。ダービーと同じなだけあって嘗て走れなかった夢の舞台と言われる事も多い、それでも2000部門もマイルと同じ位には人気が高い。

 

「やっぱりこの王道路線の人気は凄いね~」

「中距離こそ花形だと語る者も多いのも確かだからな」

 

VIP席に戻ってきたランページは改めてスーちゃんに迎えられてレースを見物する。マイルの熱も凄かったが矢張り中距離の熱は凄い物がある。自分も駆け抜けた故にその熱さは身をもって経験している……。

 

「ランちゃん的にお薦めっているのかしら?」

「俺的?そうだなぁ……バニィかな」

「この子か」

 

タブレットに映し出された出走者一覧からバニシングポイントを出力してみる一同。第二回ファイナルズに出走して以来、全くレースに出走しておらず何時の間にかイタリアに渡っていたり、そこで仲良くなったトレーナーとウマ娘を招待していたりとかなりフリーダムなことをやっている。

 

「出走記録が殆どない、目立つのは前回の3着だけ……極端にデータが無いね?」

「バニィはそういう奴ですからね」

「お友達?」

「あら聞いた事なかったわよランちゃん」

「まあ、そんなもんすよ」

 

 

『さあURAファイナルズ中距離2000部門、その先頭を駆け抜けるのはキタサンルビー!!第二回では二着の実力者であります!!矢張りこのメジロランページが作り上げた大会には逃げウマ娘が活躍するというジンクスがあるのでしょうか!!』

 

様々な思いが交錯しながらも始まったレース。先頭を駆け抜けるルビー、それを見ながらも一定の距離を置いて先行の位置取りをするウマ娘が多い。逃げ戦法で自分の走りが出来ていないものが多いからだろうか……だがそんな消極的な走りでは勝てる程ファイナルズは甘くはない。そんなウマ娘達に圧を掛ける存在が居た。

 

「その程度か、まぁ精々頑張る事だな」

 

青みがかった銀灰色が鋭く自分達を打ち抜く、青みがかった黒髪は何処か恐ろし気に映った。

 

『イタリアからやってきたオッツダルヴァ!!オッツダルヴァが今上がってきます、キタサンルビーの動きを鋭い瞳で見つめております!!イタリアでもその実力は随一だと言われているウマ娘、どんな走りを見せてくれるのでしょうか!!』

 

「フン、手始めにと此方に出走したが矢張りレジェンドに出るべきだったな。バニィ、お前の言葉がハッタリではない事を祈るばかりだ」

 

「今回の私は、『夢』を魅せる為に来たんだ。貴方とは違うよオッツ」

 

『バニシングポイントがやや外側のポジショニングか、そこからリッシュモン、メテオロアテナイ、ヒラノベイションが居ます。さあ間もなく1000mを超える所で先頭は未だキタサンルビー、いい走りを貫いていますがその背後にはオッツダルヴァが迫ってきている、徐々に上がってきております!!』

 

「くっ……いや焦っちゃダメ、私は私の走りを貫くんだもん!!」

 

背後から迫るオッツダルヴァの気配を感じ、思わず身体が強張り此処から逃げ出したくなる衝動が沸き上がってくる。此処で焦ったらすべてが崩壊する、だから落ち着けと必死に自分を抑える姿に僅かに口角を持ち上げる。

 

「悪くはない、だがそれまでだ―――どうした止まっているじゃないか」

 

『オッツダルヴァが此処で上がってくる!!キタサンルビーを捉え、並ばない並ばない!!そのまま抜き去った!!これがイタリアでも有数のウマ娘の実力か!!キタサンルビーをあっという間にオーバーテイクしていきます!!』

 

「貴様らには水底がお似合いだ」

「違うよ、此処からが夢の始まりだよ」

「っバニィ貴様、何時の間にっ!!!」

 

『バ、バニシングポイントが最短距離で距離を詰めてきた!!信じられません!!内のスペースはギリギリ一人が走れるか程度しか開いておりません!!ああっ何時腕を擦るか擦らないか見ていられませんが目を離せない!!』

 

肉薄するバニシングポイント、その走りは何処かあの暴君に似ていた。あの走法に極めて酷似していた、世界を魅了し駆け抜けていったあの走りに―――

 

「夢だと、その程度でこの私がっ……!!」

 

「さあ、ギアを入れますわ……!!」

「vivre à ma façon!!世界最強のウマ娘の称号は私こそが相応しい!!」

「もっともっと、速く、強く!!」

「またこの舞台に立てたんだもの、全力出さないで、何時出すっていうのぉ!!!!」

 

「夢は、原動力だよオツダル」

「っ―――!!」

 

『キタサンルビーが蘇る!!さあ後続からリッシュモン、メテオロアテナイ、ヒラノベイションも一気に上がってきた!!キタサンルビーが再び先頭集団に加わった、此処でバニシングポイントが抜け出した!!オッツダルヴァは如何だ前に出れるのかどうだどうなんだ!!?』

 

「ふざけるな、夢だと、夢なんて―――私も持っているに決まっているだろう!!!」

 

『イタリアの青い流星が再び息を吹き返したぁ!!?再び足が伸びて来る、凄まじい末脚!!バニシングポイントを捉えきれるか!?バニシングポイントも渾身の一伸び!!キタサンルビーも負けていない!!ヒラノベイションも後1バ身!!リッシュモン、メテオロアテナイも並びかけてくる!!如何なる残り100mを切るぞ、バニシングポイントがオッツダルヴァ、バニシングポイントオッツダルヴァキタサンルビー、ヒラノベイションどうなるんだ!!?―――

 

 

 

 

 

 

―――オッツダルヴァァァァァ!!!イタリアの青い流星が差し切ったぁ!!矢張り流星は伊達ではなかった!!二着にバニシングポイント、三着に渾身の一伸びでヒラノベイション!!4着にキタサンルビー、5着はリッシュモン、メテオロアテナイは6着!!素晴らしいレースでした!!』

 

 

青い流星と言われるイタリアでも随一のウマ娘は全身全霊を出し切ったと言わんばかりに荒い息をしていた。此処まで消耗させられるとは思っても居なかった……だが勝利は事実、だが誇れるような勝利ではない、自分らしくない勝利に頭痛がする。

 

「いいんじゃない、新しい勝利、それはYou、君の新しい『可能性』だよオツダル」

「バニィ……相変わらずお前の言葉は不思議だな。フン、まあいい。今度はレジェンドレースだ……そこで私の可能性を試すまでだ」

 

そう言いながらも腕を上げて観客にサービスをするオッツダルヴァを見送るとバニィは観客席にいたトレーナーと金髪のウマ娘が此方を見てニコニコしているのを見て手を振る。

 

「うん、楽しいよねレースは」

 

そんな風に語るバニィの傍には誰も居ない……自分にだけ見える何かに語り掛けているようだが、バニシングポイントは嬉しそうに笑っていた。

 

第三回URAファイナルズ

中距離2000部門二代目チャンピオン オッツダルヴァ




イスレ様よりオッツダルヴァ、マルシン牌様よりヒラノベイションを頂きました。有難う御座います!!
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