貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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RPG-7様より新しいAIイラストを頂きました!!


【挿絵表示】



606話

「フゥッ……」

 

遂に此処まで来たんだという実感が湧いてきた、クラシッククラスには既に上がっている筈なのに今日この時を持っていよいよ自分はクラシッククラスになったのだという不思議な感覚がある。

 

「ようっエアエア、準備は万端何時でも行けますってか?」

「はい私は何時でも―――行けます」

 

控室で勝負服に身を包んでいるエアグルーヴへと言葉を贈るランページは何処か愉快そうに笑っている、とてもこれからティアラ路線の第一戦、G1レースたる桜花賞へと出走するウマ娘のトレーナーとはとても思えない程の気楽さにエアグルーヴも何処か気負っていた緊張が解れたような気がしてならなかった。

 

「そうか、予想と期待通りのお前さんが一番人気か。予想通りの下評でつまらんつまらん、なんだったら嵐のように荒れ狂ってた方が見る方の期待が湧くってもんなのによ」

「私のトレーナーがそれを言ってしまうんですか?」

「それはそれでお前も気合入らね?自分を超える程の期待を背負うウマ娘がいるのかって」

「なりますね」

「だろ」

 

気付けば自分も随分とランページらしくなった物だ、それは自分にとっては嬉しい限りだし光栄の至りだ。銜えたハーブシガーに火を灯してワザとらしく煙を吐くランページは少しだけ、語る。

 

「エアエア、桜花賞はお前にとっては重要な物になるだろうな、俺みたいになりたいつって学園祭であったのが始まりだったかなぁ……だがそれだけじゃ駄目だって言ったのも覚えてるか」

「はい、自分を超えるつもりで行けと、おっしゃっていました」

「良くも悪くも世間はお前さんを第二の俺として見てる節がある、笑えるよな脚質的にも活躍的にはもうターボで間に合ってるのによ」

 

ケラケラと笑うランページはそのまま続ける。

 

「お前はお前だ、自分の走りに徹すりゃいい」

「はいそのつもりです、元より非才の身ですので私は私の走りしか出来ません」

「お前のどこが非才だトレセンの生徒全員なら殴られるぞ」

「おや、ならば暴君ガードの発動ですね」

「流れるように盾にすんな」

「「アハハハハハッ!!!」」

 

一方は走者で、一方はトレーナー。どちらもウマ娘なのに此処まで違う、だけど二人は愉快そうに笑ってしまった。そんな時にランページはエアグルーヴの耳へとあるアクセサリーを付けた。銀白色のダイヤ型のアクセサリーだった。

 

「お守りだ、お前の勝利の女神からのプレゼントでもあるな」

 

エアグルーヴは鏡を見るとそこには綺麗なアクセサリーが輝いていた。ダイヤの形をしたそれは光を受ける度に美しく煌めく、突然光る物は嫌いだがこういう物は好きなのでエアグルーヴの内心は沸き立った。

 

「……私の宝物ですね、惚れてしまいますよ?」

「そこでやめとけ、でないとエグいキスで戻れなくしてやるぞ」

「それは怖いですね―――……いえなんでもないです」

「今フローラにでもしろとか思ってねぇだろうな、誰がするか、するなら上ちゃんにするわ」

 

そこで上水流を引き合いに出した事にエアグルーヴは少しだけ笑った、二人が良い仲なのでは?という邪推がチームでの女子会で起こった事があった、結果的にはそうだったらそれは喜ばしい事だから祝福して上げようという結果だった。上水流か南坂ならば寧ろ相応しいという結論に至っていたが……成程、これは後日にいい話題になるな。そう思っていると頬へとキスが落とされた。

 

「改めて、三女神から祝福されているウマ娘からのエールのキスだ……さあ楽しんで来い」

「勿論……行ってきます、ランページ(トレーナー)さん」

 

お返しのキスをランページの頬にする、仮にこの人が結婚したらそれはそれでショックかもしれないがそれ以上に嬉しい。この人は私にとって姉のようであって母のような人だ、その人に女としての幸せが訪れるならば嬉しいし―――自分もその後に続きたいと思っている。

 

「んっなんか顔赤くね?」

「き、気のせいです!!い、行ってきます!!」

「おう行ってら~」

 

ランページを振り切るかの如く、早足で控室から出る。そして途中で少しだけ息をついた……何を考えているんだ自分はまだ学生だぞそういう事は卒業してからゆっくりと考えればいいんだ……そうだそういう事だ……と自分を諫めると直ぐにレースへの高揚感が溢れ出て来た。何ともここまで自分は単純だったのかと少しばかり首を傾げる。

 

「調子、良さそうじゃない」

「……そう見えるか」

 

気付けば地下バ道の途中にまで足を進めていた、そんな自分をビワハイジが何処か挑戦的且つ挑発的な顔で見ていた。ビワハヤヒデを思わせる勝負服だが、白の要素も強い、以前も見たがよく似合っている。

 

「新しいアクセサリーも付けてG1勝利記念って奴かしら、ならそれごと私が勝って貰うわね」

「ああ、やっても構わんぞ」

 

あっけらかんと言ってのけるエアグルーヴにビワハイジはポカンとした。だが直ぐにそれが挑発だと気づいた、エアグルーヴのそれが鋭く、強い笑みへと変わったから。

 

「だがこれを私から奪うという事は私をランページさんから奪うという事だ、その事の意味を……理解しておけ。私はチーム・プレアデス、メジロランページトレーナーのウマ娘―――エアグルーヴだという事をな」

 

そう言って地下バ道から日の元へと歩き出すエアグルーヴ、その迫力にビワハイジの喉が鳴った。彼女だけではなく、近くにいたウマ娘全員の喉が鳴った。たったそれだけの言葉で彼女は既にこれから行われようとするレースの流れの中心地へと立ったのだ。

 

『さあ遂に主役の登場か!?桜花賞の主役は彼女か、それとも彼女を押しのける主演女優が現れるのか!?女帝と呼ばれるに相応しい冠を戴冠出来るのか!?奇しくも彼女はあの暴君と同じ番号を得た、これは前触れか!?それとも凶兆か!?それを決めるのは彼女の走り!!8枠17番、エアグルーヴ!!!堂々たる今回1番人気です!!』

 

「さあ―――楽しませて貰おう!!」




ランページ「あっ、あのアクセサリーマジもんのプラチナだって伝えたっけかな……まあいいや、ちゃんと勝負服と同じ加工はして貰ってるから大丈夫だろ」
エアエア「(なんだろう、不思議と寒気が……)」
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